VENEZIA、ヒカリへの浮遊・・・No.2
HELLO! I am KUMA!
航空運賃が少しは安くなる連休明けの出発が、
いよいよ前日に迫った。
荷物は機内持込のトランクひとつ。
携帯用の煎茶セットやプロモーション用の作品集、
カミソリ、パソコンなどでいつもながら荷物は少ない。
初めて訪ねるヴェネチアでは、
ヴェネチア硝子の後継者・TUCCHIとの
展覧会会場を決めたり、
六トンのヒカリを運び込む方法、
マエストロたちとのコラボレーションなどの打合せ で、
ムラーノ島の硝子工場で過ごすジカンがほとんどなのだろう。
予定の一切は向こうに着いてからのジカンに身を任せるのだ。
村田萌山に作ってもらった尺八は手持ち。
所持金は一〇万円也。
もっと在ったら安心だが無いのだから、
パッションで補うのだ。
マ、今さら何があったところで
ジタバタしても仕方がないわい。
オレは自分で接近戦に持ち込めば
ムカシから強かったのだ。
夕方になって、オレがやっと手に入れた
ミラノ経由のアリタリア航空が、
機体整備のために出発が3時間遅れると、
同行する本多から「どうしましょうか」と 電話だ。
オレが<箱モノ屋>と呼んでいる彼は若い建築家で、
勉強の為にオレの旅に
是非同行させて欲しいとの申し出だった。
荷物運びでも何でもするからと言うので、
オレよりゼニを持っているだろうが
若いのだからエコノミーにせよというコトで
承諾してやったのだ。
オレは勿論、自費でのビジネス・シートである。
同じアリタリア航空の便で行くのだが、
JAL扱いのエコノミー席だった<箱モノ屋 >に
FAXが入ったらしいのだ。
オレがアリタリア航空に電話しても
土、日は休みときて誰も出ない。
明日は早く家を出てNARITAの
アリタリア・カウンターで、ローマ経由の便に変えれば、
到着は一時間ほど早くなる。
早くも、イタリアのアバウトの洗礼だ。
頼むぞ、アリタリア航空!
早速役に立った箱モノ屋。
それにしても何だか胸騒ぎのヴェネチア行きである。
トランク作りは簡単に終わった。
一〇〇〇年の水とヒカリの都市・ヴェネチアへの浮遊は、
すでに慌しく始まったのだ。
落ち着くためにゆっくりと尺八に息を吐く。
マエストロとゆっくり煎茶でも入れてと思っていたのを
まず、出発前のオレが飲む事になった。
<2002極東からきたKUMA'S BLUE>
がイイ方向に向かうことを…
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