クマちゃんからの便り

大人の会話で酒を呑んだ ＨＥＬＬＯ！ Ｉ am ＫＵＭＡ！ 新作の窯詰めや、一トンちかいＫＵＭＡＢＬＵＥの手配、 十二月を目前にして慌しい。 まだ誰もしてないコトへの試みは快い興奮もある。 それを支える体力や精神力みたいな物理的なモノは 振り絞れば何とかなるのだが、 絞っても出ないのはゼニである。 マ、これも自分のゲージツ活動の一部、 材料集めと同じことだ。 たまには千葉の海に出掛けては蒼に漂い、 マダイやカワハギを引き抜くジカンを過ごしながらも、 体力を駆使して走り回りながら 少しずつ目途が立ってきた。 今まで毎年のことだがゲージツ・スケジュールは、 クソ寒くなる年末・年始になると、 温度や物質の急激な変化と重なって オレはそれに翻弄されてきた。 陶芸だとか、硝子工芸だとか、 鉄細工なんてモノではないゲージツ。 ＜ゲージツ＞がオレの生きている 九十八パーセントの理由には変らないのだから、 今年はもっと激しくなるのだろう。 体力や精神力やゼニなぞではない、 ゲージツを支配するもっと大きな存在は、 カレンダーという ちっぽけな時間を無視してやってくるのである。 自分の仕事で忙しい荻野さん・ＩＺＵＭＩさん御夫妻は、 ミラノ・ギャラリーＭＵＤＩＭＡでの オレの個展をサポートしてくれている 心強い友人である。連休が始まった東京で、 彼等の強力な友人達を集めて エン会を企画してくれた。 ここに来て嬉しい人たちである。 久しぶりに大人の会話で酒を呑んだ。 オレのミラノへの道はまだまだ始まったばかりだが、 ますます、大きな何かに火がついたぞ。 『蔓草のコクピット』 （つるくさのこくぴっと） 篠原勝之著 文芸春秋刊 定価　本体1619円＋税 ISBN4-16-320130-0 クマさんの書き下ろし小説集です。 表題作「蔓草のコクピット」ほか 「セントー的ヨクジョー絵画」 「トタンの又三郎」など８編収録。 カバー絵は、クマさん画の 状況劇場ポスターの原画「唐十郎版・風の又三郎」です。

2001-11-28-WED

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