Kuma
クマちゃんからの便り

アングラの底力

不景気とやらで、国民的なギャンブル<有馬記念>という
馬の競走に熱狂している最中に、
博打に興味のないアングラたちが、
高円寺に降り立ったのは数十年ぶりだった。
ムカシ盛んに漂っていた北口商店街も、
今やネーミングも叙情的な<純情商店街>と変ったところで
家並みはムカシと変ってない。
送ってきたFAXに導かれて
細く懐かしい気配の商店街をブラブラと歩く。
二十数年前、オレ等はまだアングラのド真中にいた。
今でも、まだアングラの火を
燃やしつづけているのかもしれない。
根津甚八、不破万作、四谷シモン…。
約束の午後一時前には、
音楽担当の安保由夫宅にぞくぞくと集まり出した。
北海道から取り寄せた<トントロ>や
<ジンギスカン>を焼きながら、
根津が持ち込んだドンペリのロゼを飲み
イモショーチューを呑んだ。
だらだらと十二時間喋るは呑むわ、
みんなムカシより大人の呑み方になっていたが、
心地イイ時間だった。



みんな明日はシゴトが残っているから、
真夜中三々五々と消えていく。
オレも24日はTBSラジオの昼一時から一時間の生出演だ。
その足で新宿からアズサにて山梨のKILNの元へ。
オレが傍にいなくてもサイバー・KILNは順調に上昇中で、
これから先は重要な温度帯の実態温度と
雰囲気温度を見極めながら、
年末も年始もないゲージツ・ジカンである。
大武川に立ち現れる<水の樹>の制作も順調。



北九州<いづつ屋>黒崎店の吹き抜けは、
四メートル×一〇メートルある大壁面である。
オレは一月末には北九州に乗り込み、
現地のTOTOの焼成KUMABLUE生産ラインと
熟練した窯場スタッフ等とチームを組んで
巨大な陶板を創りあげるのだ。
地方局RKBがこちらに出向き
準備段階からドキュメント撮影が始まっている。
いよいよ21世紀。
アングラの底力とパワーを御見せする時が来たぞ。


『蔓草のコクピット』
(つるくさのこくぴっと)
篠原勝之著
文芸春秋刊
定価 本体1619円+税
ISBN4-16-320130-0
クマさんの書き下ろし小説集です。
表題作「蔓草のコクピット」ほか
「セントー的ヨクジョー絵画」
「トタンの又三郎」など8編収録。
カバー絵は、クマさん画の
状況劇場ポスターの原画「唐十郎版・風の又三郎」です。

クマさんへの激励や感想などを、
メールの表題に「クマさんへ」と書いて
postman@1101.comに送ろう。

2001-12-27-THU

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