Kuma
クマちゃんからの便り

2002ミラノへのジカン

寒冷前線が停滞したKUMABLUEの空に覆われた
山のFACTORY近辺には、
来客もなくあまりの寒さに地元のカラスも姿を見せない。
風邪を完全に撃退してタフが戻った身体で
ひたすらヒカリを研磨するコンプレッサーの音だけが響く。
地下水を混合した圧搾空気で高速回転するダイヤデスク。
地下からの水は、地上に出た瞬間は温かいのだが
直ぐに大気で冷やされて
作業を休むと手はかじかんでしまうから、
出来るところまで休まず続ける。
作業台の縁から小さなツララが下がる一時間半が限界である。




熱を蓄えたコンプレッサーのタンクに掌をあてて暖を取り、
去年IZUMIさんから戴いたシガーで一服。
KUMABLUEの空にそびえる甲斐駒を眺める…
MILANOへ…。
体温を戻して再開…。
世間は今日が仕事始めらしい。
今日もオレはヒトとコトバを交わすでもなく
日がなヒカリを削って、
日が沈んだ夕方、研磨用のホースから完全に水を抜き
凍結防止の栓を締めて終了。
サイバー・KILNのセンサーも順調。



『蔓草のコクピット』
(つるくさのこくぴっと)
篠原勝之著
文芸春秋刊
定価 本体1619円+税
ISBN4-16-320130-0
クマさんの書き下ろし小説集です。
表題作「蔓草のコクピット」ほか
「セントー的ヨクジョー絵画」
「トタンの又三郎」など8編収録。
カバー絵は、クマさん画の
状況劇場ポスターの原画「唐十郎版・風の又三郎」です。

2002-01-10-THU

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