ミラノ遠征支援パーティ
青山の小洒落た一角にあるレストランカフェで、
荻野氏が発案したくれた
<ミラノ遠征支援パーティ>なる寄り合い。
木内ミドリさんが進行し、
JINOやDOMINIQUE、荻野氏、IZUMIさん、水野誠一氏、
山田詠美、村上隆はじめ二〇〇人ちかい人々が集まってくれ、
石川セリが歌い、大倉正之助が<三番叟>を打ち、
坂田明が<カイガラ節>を唸り、
遥かミラノまで12トン以上あるOBJE群を運ぶ道のりの
門出を祝ってくれた。
有難いことである。
世界のプレスや評論家がミラノに一番集まる
ヴェネチア映画祭や、
ミラノコレクションの開催にぶつけて
9月12日から10月12日までと
JINOとDOMINIQUEが早めてくれた会期に合わせて、
もうひとつ大作を創ったり、
百数ページのカタログ用撮影やら、
梱包やジェノバまでの船積み、
MUDIMA美術館展示までいろいろ厄介なことの連続だが、
スリリングでエキサイティングな出来事すらも、
オレの現象でありゲージツである。
JINOが寄ってくれと言った
出身のプリミティヴなシシリー島や、
外尾のメールで案内を約束してくれた
サグラダ・ファミリアのてっぺんやガウディの里で、
オレの頭蓋や皮膚が感じ獲るヒカリはどんなモノなのか。
装飾的ではないヒカリを求めて
オレは往けるところまで往ってみるのだ。
パーティ用に運び込んだ数点のヒカリを片付け終わると
雨が降り出した。
格闘王・前田日明が
待機していたワンボックス・カーに拉致されて、
六本木<OPP>に流れ
最高級のCOHIBAシガーとスコッチのハイボールで
シミジミとクールダウンしていた。
さっきソウルフルに唸ってくれた坂田明が舞込んで
たちまちムカシのように呑みだし騒いでいると、
ラヴリーなコトバを贈ってくれた山田詠美が
編集者等となだれ込んで大騒ぎだ。
釣り好きの前田とのんびりと海に漂う約束をして、
朝4時、昼からのテレビ収録のため切り上げた。
明け方、創りはじめる大作の音楽をたたえながら
春の雨にぬれながら歩く。
北野武巨匠とやっている<誰でもピカソ>は
6年目に突入して、
タイトルロゴも村上隆が描いてリニューアルした。
『蔓草のコクピット』
(つるくさのこくぴっと)
篠原勝之著
文芸春秋刊
定価 本体1619円+税
ISBN4-16-320130-0
クマさんの書き下ろし小説集です。
表題作「蔓草のコクピット」ほか
「セントー的ヨクジョー絵画」
「トタンの又三郎」など8編収録。
カバー絵は、クマさん画の
状況劇場ポスターの原画「唐十郎版・風の又三郎」です。
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