クマちゃんからの便り |
やっぱしまだ冬なんだ 雪虫が舞うような雪が降りだしたFACTORYの 部屋の温度計は零下二度。 灯油ストーブを焚いて、 一旦冷え込んだ室内が二〇度になるまで、 一昨年ミラノへのカンパネラ、 去年ヴェネチア行きのチルコランテを、 今頃の時期のクソ寒いなかヒートアップして 創っていたのだと、布団にくるまって待つ。 だんだんと布団に貯まっていく体温の自給自足。 パリのキュレター、ジェラール氏から 今年のスペインでのシンポジュームが楽しみだと NEWYEARカードが届いた。 やっと二五度になった頃、 はじめてパソコンのDVDで<AKIRA>を観た。 面白かったが前半三〇分ぐらいで飽きてきた。 オレにはアニメーションを楽しむ回路が 欠如しているのかもしれない。 液晶の廃墟シーンに落ちてきた土色の<カメムシ>を、 部屋の隅に弾き飛ばした。 爪が飛沫で曇った。 オレにはわからなかったが、 相当な匂いが充満していただろう。 アズサで新宿<陶玄房>夜七時。 八〇人ほどが詰まっていた。 唐十郎氏の演劇賞受賞パーティである。 「寒グレを送るよ。今が美味いんだ」 「駄目だ、祝い事なんだから。 優勝力士が手にするようなデッカイやつを頼むよ。 黒いグレだったら、エライことになっちまうわい」。 祝儀にはやっぱし<マダイ>だから、 高知の親しい漁師に頼んでおいたのだ。 まだ新宿のアングラ文化が華やかだった六〇年代、 初日を迎えた<状況劇場>のテントに ライバル劇団<天井桟敷>から不祝儀の花輪が届き、 双方入り乱れて乱闘に発展した有名な事件があった。 祝い事を侮ってはイケナイ。 無事届いたようで、 マダイの紹介でエン会がはじまった。 ほとんどが演劇や出版人で、 嵐山光三郎、麿赤児、若松孝二、大久保鷹、 緑魔子、渡辺えり子、林海象、佐野史郎ら 懐かしい六〇年、七〇年代アングラ人らの 顔ぶれが自然に集まり、盛り上がっていく。 幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風ふきました 今夜ここでのひと盛り 今夜ここでのひと盛り サーカス小屋は高い梁 そこにひとつのブランコだ ゆあーん ゆおーん ゆあゆおん ゆあーん ゆおーん ゆあゆおん <NADJA>に流れて大騒ぎ。 イイエン会だった。午前三時、やっとお開き。 しかしウッカリできないオレは、 八時の飛行機で高松の石切場に行かなくちゃ。 <西山石材>のヨシが迎えに来ていた。 橋の親柱の仕上げである。 昨夜というか、今朝までのエン会エナジーを 残したままの外での作業に、 雪までちらつきだした。 |
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2004-01-25-SUN
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