クマちゃんからの便り

SWEET ENERGY






琴平のオブジェ<宙にかぶく>から牟礼に戻り、
五月から削り続け最後の一個を削りだしたトラバーチンを、
ニイチャンにクレーンで吊りあげてもらい、
石工のヨシ、デコパチ君、
ボウソウ君等と配列していくと、
はじめて<SWEET ENERGY>の形が
石切場のヤードに現れた。





今は牟礼の冷たい木枯らしの地面に横たわっている
この<SWEET ENERGY>は、
十二月に大型トレーラーで運び込む
山梨県立中央病院では、
足場を組みながら垂直に創り上げていくのである。

充分な大きさに満足して眺めていた
石の粉で真っ白になった掌や顔から
水分が奪われてヒリヒリする。

しかし、鉄はバーナーの火炎で
切ったり貼ったりが自在なのだが、
石の加工はひたすら頼りは筋力だ。

これから一個ずつヒカリのカタマリを研磨したり、
トラバーチンの積層模様を磨きだしたりする。

患ったり、怪我したりのヒトが
大勢出入りする広いロビーに、
建つ<SWEET ENERGY>へパワーを込めた
仕上げの大シゴトが残っているわい。

「いい色の石だね。欠片を少し分けてもらえんか」

通りかかった石彫家が声をかけてきた。
瀬戸内で捕ってきたという蛸と交換してやった。
若い石工がふたり手伝ってくれたから捗ったから、
連れ立って焼き鳥とショーチューを呑みにいく。

クマさんへの激励や感想などを、
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2004-11-19-FRI
KUMA
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