めざせ復刻!冷水希三子のたずね鍋

料理家の冷水希三子さんは、
お気に入りの揚げ鍋を長年愛用されています。
使いやすいし、ゾウさんみたいでかわいいので、
まわりからも褒められるし、ほしがられもするそうです。
でも、ずいぶん前に、なんの気なしに買ったものなので、
どういうものなのか、ぜんぜんわからない。
そこで、この場でみなさんに訊いてみることにしました。
「うちでつくっています」とか、
「近所で売ってるのを見たことがある」とか、
「これだったら、おなじものをつくれるよ」とか、
この揚げ鍋をご覧になってピンときたかたは、
ぜひ情報をお寄せください。
つまり、「たずね人」ならぬ「たずね鍋」です。
うまく出どころが見つかって、扱わせていただくか、
おなじものをあらたに複刻するかして、
LDKWAREの1つとして紹介できたらと思っています。 たくさんの情報をお寄せいただき、ありがとうございました!
「たずね鍋」の今後の展開については、
またLDKWAREのページでお知らせいたします。
楽しみに待っていてくださいね。

サイズがちょうどいい

――
これがその揚げ鍋ですか。
冷水
はい、そうです。
――
もともとは、どんな出会いだったんでしょう?
冷水
もう20年前くらいかなぁ、
大阪の四天王寺で毎月21日にやってる、
朝市というか骨董市でたまたま見つけました。
――
そのころは大阪にいらっしゃったんですね。
ちょうど揚げ鍋をさがしてたんですか?
冷水
いえ、そういうわけではなくて、たぶん最初は
「なんとなくよさそう」っていう感じだったと思います。
――
で、実際使ってみたらよかった、と。
冷水
サイズがちょうどいいんです。
わたし、油は1回使ったら捨てちゃうので。
大きいともったいないですから。
――
なるほど、サイズが。
冷水
たとえば出張料理の仕事とかなら大きい鍋を使うけど、
友だちが家に来るとか、試作でつくるとかだったら、
このくらいがちょうどよくて。
――
大きすぎないほうがいいわけですね。
冷水
唐揚げが4つくらい入るので、
家族4人で、ちょうどいいくらいの感じです。
揚げものって、いっぺんに入れると、
油の温度が下がっちゃうんですよ。
――
そうか、揚げる前はつめたいから。

背が高いから、油が飛び散らない

冷水
あとは、高さがあるところもいいですね。
フライパンに油をうすく張って、
揚げ焼きみたいなのをする人もいますけど、
そうすると、フライパンって背が低いので、
すごく飛び散るんです。
――
ああ、たしかに。
冷水
これは背が高いおかげで、ぜんぜん飛び散らないので、
おっくうにならない。
――
じゃあ、油もそんなにいっぱいは入れない?
冷水
そうですね、3分の1くらいかな。
背が高いおかげで熱がこもるので、
温度が下がりにくい気もします。
それから、鉄でできているので、
微妙に油が染み込んでいっていると思うんです。
――
ええ、そうでしょうね。
冷水
ストウブとかル・クルーゼってホーロー加工されていて、
表面がガラス質になっているから、
油が染みていかないんです。
だから、何回使っても底にひっついちゃう。
――
ああ、食材が。
冷水
これは揚げものの衣がついたとしても、
ちょっと時間がたって固まってきたやつを
ツンって突くと、すぐはがれます。
――
そうなんですね。
冷水
へんにひっつかないから、ちょうどよくて。
揚げものって、衣がはがれたら、
もうそこから油が染みていっちゃうから。
――
そうか、油っぽくなっちゃうんですね。

揚げるときの音がきれい

冷水
あっ、そうそう、あと、音がきれいです(笑)
――
え? 音が?
冷水
揚げる音がきれい。
――
はあー‥‥。
冷水
鉄だからかな、揚げてるときに
キンキン、キンキンっていう、
高い、きれいな音がするんです。
――
他だとそんな音はしない?
冷水
はい、あんまりしない気がします。
なんかすごくきれいな音。
――
へえ、これはちょっと、意外なポイントです。

バランスがいい。そして、かわいい。

冷水
それから、取っ手があるので、油を流したり、
揚げながら鍋を動かしたいときに、やりやすいです。
ほかにも取っ手がついてるのはありますけど、
なんかこれは使いやすいんですよ。
――
なぜでしょう?
冷水
うーん、たぶん、直径と高さのバランスが、
ちょうどいいんでしょうね。
――
そういえば、あれなんですってね。
使っていて、まわりの評判がすごくいいとか。
冷水
「それどこのですか?」ってよく訊かれます。
――
みんな何に反応してるんでしょう?
冷水
かわいいところかな。
最初、「何が?」って感じだったんですけどね。
「かわいいのか? これが?」みたいな(笑)
――
あはは、でも、かわいいと思いますよ。
ゾウさんみたいだし。
長野
うん、かわいい。
(※長野さんはこの日の撮影を担当してくださいました)
冷水
ふつうに20年以上使っているから、
自分ではこれがかわいいのか、もっと言えば、
いいものなのかすら、もうわからなくなってて。
――
あたり前の存在になっているわけですね。
冷水
揚げものといえば「これ」っていう感じで。
そうだ、揚げてるときに「やりやすそう」っていうのは、
やっぱりあるみたいです。
大きさとバランスのよさが伝わるみたい。
長野さんも、見てすぐおっしゃったんですけど。
長野
そうそう、使いやすそうだなって思いました。

手がかりなし。情報求む!

――
これって、南部鉄器なんでしょうか?
冷水
それがよくわからないんです(笑)
メーカー名も書いてないし。
――
じゃあ、もっと言うと、国産かどうかもわからない?
冷水
わからないです。
――
売ってくれた骨董市のおっちゃんから、
「こういうものですよ」という説明はなかったですか?
冷水
なかったです。
当時の四天王寺の骨董市にいるおっちゃんは、
自分で何を売っているかわかっていない人も、
多かったんじゃないですかね。
――
じゃあ、いまのところ、手がかりはまったくなし。
冷水
すいません(笑)
――
そこで、たまたまこのページをご覧になったかたが、
「あ、うちがつくってますよ」って、
教えてくれたりしたらいいなあということで、
「たずね鍋」することにしました。
冷水
公開「たずね鍋」。
長野
こういうの、ありそうで、ないですよね。
ぜひやってほしいです。
ぼく、買います。
――
あ、ほんとうに?
長野
ぜったい買うと思う。
ちょうどいいサイズで、
1人で揚げものするのにラクじゃないですか。
冷水
4人くらいまではぜんぜんいけるし。
――
そう言われたら売れる気がしてきました。
複刻するとしたら、冷水希三子ブランドで出すのかな。
冷水
いやいやいや。
長野
底に「冷」って書いてあるとか(笑)
冷水
揚げ鍋なのに(笑)
でもともかく、やれたらいいな。
――
ひとまずは、たのしみに情報を待ちましょう。

「たずね鍋」の情報求む!

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