2024-11-23

布巾が擦り切れてしまった。

昔、結婚する予定だった人の家族が、ご挨拶に伺った時にくれたちょっとお高いかや織の。直後にご縁がなくなって、いろんな思いとともにえーい!と部屋の隅に放り投げたカラフルな3枚セット。袋ごとホコリをかぶっていたのを引越しの時に見つけて、「モノに罪はない!」と叫んで今のおうちに連れてきたやつ。

お皿を拭く布巾から始まって、台拭きになってガス台周りの布巾になって、油汚れ専用になって、シンクの汚れとりになって、床に降りて雑巾として活躍していたのに、ついに破れたボロ雑巾になってしまった。もとの色は見る影もない。人間にも同じだけの時間が流れて、ちょっとおしゃれなエプロンでかわいいキッチングッズにばかり目を惹かれていたわたしも、温泉タオルを首にひっかけてパン祭りの皿で食卓を彩り冷蔵庫をひょいと足で閉める立派な大人になりました。

たかだか雑巾が破れてきたくらいでブツブツ言ってないで、新しいの買えばええやんと笑ってる家族は誰も知らないけれど、この布巾を惜しいと思う日が来るだなんて、思ってもみなかったのよわたしは。

(きたの)

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