サイレンの音を聞きながら

昨年のこの時間、私は母と妹と三人で介護していた祖父を抱え家にある車庫の二階へと必死で逃げていた。

「東と南から流れ込む黒い水」

それが何かわからなかった。
車、ドラム缶、大木、冷蔵庫、販売機。
ほんの1時間前まではあるべき場所で動いていた物が、おもちゃのように流れてゆく。
「水」に気がつかずにいたら、多分生きてはいなかった。

今日はただ静かに、市内で響くサイレンの音を聞きながら黙祷。
家族もにゃんこたちもわたしも、静かにこの時間を迎えている。

東北に思いを馳せてくれているみなさん、ほんとうにほんとうにありがとう。

(おと)

※写真はぐっさんが撮ったものです。


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