ブータン最後の夜。

こんばんは。永田です。
黄昏チーム、ブータンの4日目です。

今日は朝からブータンの小学校を見学し、パロの町を散策したあと、美術館や古い僧院に行き、夕方にもう一度民族衣装の
「ゴ」と「キラ」に着替えて最後のディナーをみんなで食べました。

そう、今日が最後の夜。
明日は帰国なんです。

今日の経験も得がたいものでした。
たくさん書きたいことがありますが、印象的なことばをひとつ、記します。

パロのお土産屋さんで並んでいる素朴な民芸品を手にとりながら、南伸坊さんがしみじみとこうおっしゃいました。

「いまは、木や骨でできた 民芸品を売っているけど、 たぶん、そう遠くないうちに ぜんぶプラスティックになるだろうね」

いろんな国を旅してそういった文化に詳しい伸坊さんだからこそ予感できる変化なのでしょう。

ブータンで働いている日本人の方も、その予感を裏づけるようにこうおっしゃっていました。

「首都ティンプーの規模は どんどん大きくなっています。
 パロもちょっとした建設ラッシュです。
 あと、ここ半年で 車が倍くらいに増えた気がします」

ブータンの道路にはまだ信号がありません。
それでも、どんどん車が増えているそうです。
ぼくらも、なぜだかわかりませんが、
「何年か後にここを訪れたら、 様変わりしているんじゃないだろうか?」
という予感があります。

たぶん、このブータンという国は、変わりつつあるのでしょう。
よいとかわるいとかそういうことではなく、事実として。

それを、上っ面な気持ちで残念に思うようなことは違うと思いますし、そもそもぼくらはただの旅行客です。
ここにはここの生活と進化があり、進むことと守ることは、ここに住むひとたちによってきっと真剣に模索されています。

それで、知らず知らずのうちに考えてるのは自分たちの暮らしのことです。

今日の午前中、ブータンの小学校の見学を終えた糸井重里は、ものすごく集中して授業を受けている子どもたちの表情を見ながらぽつりとこうつぶやきました。

「文明っていうのは ヒステリーをつくってる」

もちろん、いろんなことの整理はぜんぜんついていません。
けれども、往々にして、よい旅は、新しい考えを呼び込む。

そして、新しい考えが宿り始めたころに旅が終わってしまうというのもたいへんよくある話ですね。

この時期に、この時期のブータンを、見ることができて、よかった。

この原稿を送り終えたら、荷造りです。

2011/05/21 03:03

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