[糸井]
今年の田口さんはつらそうだなぁと思ったのは、夏ごろ、代打で出た日のブログに、
「今日は凡退したけど、 はっきりした手応えをつかんだから つぎは必ず打てると思う」
って書かれてたんですよ。
で、へぇ、と思って、続きを楽しみにしてたんですけど、つぎの出場機会がずっとなかったみたいで。
[田口]
ああ‥‥あのときはもう、あきらめてました。
「つかんだ!」と思っても、3日もすればその感覚は離れていきますから。
[糸井]
だからこそ、つかんだときに出たいという気持ちは強かったでしょうね。
[田口]
はい。わかってるときに行きたい。
しかも、できれば、複数(の打席数が)ほしいんです。
2打席もらったら、ぜんぜん違うんですよ。
[糸井]
2でいいんですね。
[田口]
2でいいんです。2で。
1は、きついんですよ。
[糸井]
代打出場だけだと1ですもんね。
[田口]
けっきょく、今年は年間の打席が90打席だったんです。
メジャーリーグのほかの球団の選手と比べても、1年間通してベンチにいるにもかかわらず、年間の打席数が100を切るというのはちょっと異常です。
[糸井]
かといって、信頼されてないわけじゃないんですよね。
[田口]
そうなんですよ(笑)。
[糸井]
おもしろいなぁ(笑)。
[田口]
監督室に乗り込むと、最後は必ず、真っ赤になりながら
「かならずオレたちといっしょにいろ!」
って言われて終わるんですよ。
「おまえは絶対に必要なんだ。
だから、離れるな」って怒りながら。
[糸井]
いい監督じゃないですか、やっぱり。
[田口]
そういうところだけでいうと、本当に、人間味あふれる、いい人なんです。
「おまえがチームに必要なかったら、 とっくの昔にリリースしてるか トレードに出してるんだから」って、たしかに、そのとおりなんですよ。
[糸井]
いや、ぼくはもう、赤鬼派ですよ。
マニエル監督に成り代わって
「いったい何が不満なんだ、ソウ?」と問いかけたいところです。
[田口]
うーん‥‥まいったな‥‥。
でもね、もっと愚痴っていいですか。
[糸井]
「言いたいことがあるなら言ってみろ、ソウ」。
[田口]
ありがとうございます、監督。
あの〜、監督。
打席のことはともかく、守備にもつかせてくれなくなりましたよね。
[糸井]
「そ、そうだったかな‥‥」
[田口]
ま、たしかに、ぼくよりずっと若い選手がヒューストンからヘッドコーチといっしょに移ってきましたから、その選手を優先させざるをえないのはわかります。
[糸井]
「ソウは、ものわかりがよくて助かるぞ」
[田口]
けどね、忘れもしません。
6月に最後の守備機会があって、それから、8月まで、まる2ヵ月、ぼくは守備につかせてもらえなかったんですよ。
[糸井]
「そ、そうだったかな‥‥」
[田口]
練習するのは昼間ですから、つまり、ナイトゲームでの守備はまる2ヵ月、ぼくはやってなかったんです。
そういう、夜のフライを2ヵ月も捕ってない状態のぼくを、監督、あなたは8月のドジャース戦の、一打サヨナラの大ピンチの場面で守備につかせましたよね?
[糸井]
わはははははは。
「そ、そういうこともあったかな‥‥」
[田口]
あれにはびっくりしましたよ。
「ソウ、守りに行け!」って2ヵ月ぶりに言われて、思わず確認しましたから。
「‥‥‥‥オレか?」って。
[糸井]
(笑)
[田口]
「ほかにもいっぱい外野手いるぞ?
でも、どうしても、オレか?」
[糸井]
「ソウ、出たいのか、出たくないのか、 いったいどっちなんだ?」
[田口]
だから、そのあたりの野球観がまったく合わなくて困ったんですよ。
あと、監督、憶えてますか? ぼくが、
「先発させてくれ。複数打席、立たせてくれ」
ってずっと言ってたら、
「そのうち先発させたる」っておっしゃいましたよね。
ところが、5月31日に先発したあと、そのつぎの先発は9月28日でしたよね?
[糸井]
え? 9月28日ってことは‥‥。
[田口]
最終戦ですよ、監督!
最終戦まで先発がなかったんですよ、監督!
[糸井]
あはははははは。
「そ、そうだったかな‥‥」
[田口]
しかも監督、最終戦に先発したぼくが、見事に3安打、打ったとき、試合後の記者会見で何言ったか、憶えてます?
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