2008.03.24
ぼくの宝物をためてくれる貯金箱みたい。(1/2)

テレビやラジオで スポーツキャスターとして活躍するだけでなく、 白鴎大経営学部の助教授として スポーツマネジメントを教えていたり、 北海道の栗山町に「栗の樹ファーム」という 手作りの野球場まで運営している栗山英樹さん。

365日、休みなし!
いつもどこかでなにかをしているという お忙しい日々のかたわらでほぼ日手帳は どのような役割をはたしているのでしょうか。


カギカッコの言葉が大事。

[ ―― ]
栗山さんが初代からほぼ日手帳を 使ってくださっていると聞いて、 ずっとお話を伺いたかったんです。

[ 栗山 ]
お役にたてるといいんですけど‥‥ 昔からぼくにとって一番大事なことって、 カギカッコなんです。

[ ―― ]
カギカッコ?

[ 栗山 ]
ええ。
選手と話をする、関係者と話をする、 球団のフロントと‥‥って ぼくの仕事はいろんな人と話をすることなんです。
彼らが話すこと、 つまりかれらのカギカッコの言葉と その言葉の行間を読み取るというのが 仕事のひとつなんです。

そのためには自分の中にベースとなるものが必要ですよね。
それがノートや手帳に蓄積されているんです。
ぼくは引退してから結構長いんですけど、ある人に 「同じ形と大きさのノートに書いておかないと、  なくしちゃうよ」って言われたんです。
メモやノートって違う形のものを使ってしまうと 十何年経つと、昔のものがなかったりするんです。
だから昔から一般的な大きさの大学ノートを 使っているのですが、 そのノートは大きいので持ち切れないことも多い。
そこで一番、活躍してくれるのが手帳なんです。

スケジュールには行く場所となにがあるかということが おおざっぱにしか書いていないのですが こっち(1日ページ)には カギカッコの言葉がバーッと書いているんです。


[ ―― ]
手帳に書くのはどのようなタイミングなのでしょうか?
インタビュー中? インタビュー後?

[ 栗山 ]
ぼくは人前では、メモを取らないんです。
話に集中してあげたいというか、 ぼくらは記者とちょっと違っていて、 選手が個に対してぶつかって話をしてくれるんですね。
だからこそ話をしてくれているときは相手の目を見て、 じっくり聞いて、把握をして、 その後に出していいもの、 出しちゃいけないものを咀嚼しながら 表に出すっていう作業がいるんですね。

そこでインタビューが終わって、 一人になったり、移動中に バーって手帳に書いていくんです。
ただ、2時間後に書き始めても、 ちょっと忘れていたりしていますよね。
これがつらくて(笑)。

ぼくの宝物をためてくれる貯金箱みたい。

[ ―― ]
けっこう細かく書かれていらっしゃるようなのですが こんなことが書いてあるというさわりを 教えていただくことはできますでしょうか。

[ 栗山 ]
いいですよ。なにかいい話、残ってないかな‥‥。
(しばらく手帳をめくりながら)


去年の7月9日に早稲田大学の斎藤佑樹君が 大学の日本代表として アメリカのマイナーリーグ「ダラム・ブルズ」
というチームと対戦したときに聞いたことはどうでしょう。
今年、ソフトバンクに入った大場(翔太)くんや ヤクルトに入った慶應の加藤(幹)くんたち4年生の中に、 斎藤君が1年生として入っていたんです。
アメリカでの試合が大変ですごく疲れているのに、 大場くんはものすごいタフで 本当に遅くまで野球の話をしているんですって。
そのときに 「『今、楽するな』って言われているんですよ」って。
「疲れているし勝つことを宿命づけられているから、  変化球が多くなっちゃうんだけど、  まっすぐをちゃんと投げていないと、  まっすぐが行かなくなる、  っていう話を言ってもらったんですよ、俺」って。

注目されているので どうしても勝つために、変化球を投げてしまう。
するとまっすぐを投げる数が少なくなるから、 将来的にまっすぐが走らなくなる怖さがあることを、 先輩の大場くんなんかが見ているんですね。

そういう、みんなが助け合う場が、 なにかの会話の拍子に起こっていたりする。
そんなことを知っていると、 斎藤祐樹くんがプロに入って、大場くんと対決したときに、 お互いの感謝の気持ちの中で勝負をするから、 全力を尽くして相手に勝とうとするし、 見ている側としても 楽しかったりするじゃないですか。

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