「ほぼ日手帳」をつくる上でなくてはならない
特長のひとつが、使用している「紙」です。
この紙は「トモエリバー(手帳用)」といって、
手帳のためにつくられたオリジナルの紙なんです。
とにかく薄い、丈夫、裏うつりしない、
インクが乗りやすい。
これらの、手帳にとって大事な特長を
兼ね備えた特別な紙です。
本日は、トモエリバーをつくっている、
新巴川製紙の樋口昌二さんと植村龍一さんに
お話をお聞きしました。
新巴川製紙の樋口さん(左)と植村さん(右)
[ ── ]
そもそもトモエリバーの中で、
手帳専用紙をつくられた経緯は、
どういうことだったのですか?
[ 植村さん ]
それまで、手帳は、
コピー用紙などでよく使われる
上質紙と呼ばれる紙を使ったものが多かったのですが、
手帳は毎日持ち歩くものなので、
もう少し、スマートにコンパクトにならないか
というニーズがありました。
たまたま、薄くて軽いトモエリバーをつくっていたので、
この従来のトモエリバーから、
さらに「手帳」という機能に特化した紙はできないか
というリクエストを受け、
手帳用のトモエリバーの開発をスタートしました。
そこから、手帳屋さんと呼ばれる、
手帳を専門につくっている工場に、
できあがった紙を持ち込んでは試作をつくっていただき、
何度も改良を重ねながら、
現在のものに「作り上げた」と聞いています。
[ ── ]
従来のトモエリバーと
手帳用につくられたトモエリバーとは、
どういったところが違うのですか?
[ 樋口さん ]
従来のトモエリバーは、
郵便コストをおさえることを目的に、
薄くて軽い紙ということで開発された紙です。
それに対して、手帳用のトモエリバーの方は、
「薄くて軽い」という特長にくわえ、
「書き心地」を重視してつくられた紙です。
実際にいろいろなメーカーさんのペンを購入してきて、
他社の紙や従来のトモエリバーの紙にも書いてみながら、
・にじみにくい
・インクの乗りがよく、かすれにくい。
・細かい字でもシャープに書ける
・強い筆圧で記入しても紙が破れにくい
こういった書き心地のテストをくりかえし、
「書きやすさ」を追求して開発しました。
手帳用のトモエリバーの断面図。
表面の黄緑の部分の薬剤と、
中のパルプの部分にかかった白い粉状のものとダブルで、
インクのにじみをおさえ、
裏うつりを防ぐ役目を果たしています。
[ ── ]
「ほぼ日手帳」をお使いの方からも、
1日1ページでありながら、
この薄さ、この軽さは、
すばらしいと言われています。
[ 樋口さん ]
トモエリバーの薄さについては、
こちらのグラフをごらんください!
薄青 棒(重ね厚さ200枚)/ 黄棒(重ね厚さ100枚)
赤棒(重ね厚さ60枚)/青棒(重ね厚さ30枚)
このグラフのとおり、
トモエリバーは、一般の上質紙とくらべると、
同じページ数に対しての束の厚みが、
かなり薄いのがおわかりいただけるのではないでしょうか。
持ち歩くには、極力薄くて、
コンパクトなものの方がいいですよね。
[ 樋口さん ]
トモエリバーは、薄い紙でありながら、
同時に1年間の使用に耐えうる「丈夫さ・強さ」も
特長です。
余談ですが、もともと新巴川製紙が、
電線に巻く紙を日本ではじめて作った製紙メーカーなので、
基本的に、「薄くて強度のある紙」つくるのは、
得意分野なんですよ。
[ ── ]
たしかに、「ほぼ日手帳」は、
多少乱暴に扱っても、紙が折れたりしにくく、
丈夫な紙という印象があります。
[ 植村さん ]
トモエリバーは、紙質がやわらかいんです。
やわらかいと、外からの圧力を吸収しするので、
折れにくく、
反対に、紙質が硬いと折れやすいんです。
[ 樋口さん ]
ふつうの上質紙ですと、紙が硬いので、
手帳を開いたときに、紙が跳ね返ってしまいます。
その点、トモエリバーは、
やわらかいからふわっと紙が開くんですよ。
[ ── ]
「ほぼ日手帳」の手でおさえなくても180度開く特長は、
製本だけでなく、
紙も重要な役割を果たしていたんですね。
[ 樋口さん ]
はい。
紙が硬かったり重たすぎると、
パタンと180度開く仕様に耐えられません。
たとえば、辞書も、
開いたまま勉強するものですので、
手でおさえなくても開くように、
トモエリバーを採用いただいているケースが多いです。
また、辞書はページ数も非常に多いので、
ふつうの紙でつくってしまうと、
それこそ、ものすごく分厚くて
重たくなってしまいますので、
トモエリバーは、
「紙が薄くて軽くて、やわらかい。
なおかつ裏うつりしにくいので、
細かい字が読みやすい」
ということで、
辞書や法令集などでも根強く採用いただいています。
[ ── ]
トモエリバーを使っている製品は、
ほかには、どういったものがありますか?
[ 樋口さん ]
参考書なんかでも、
たまにトモエリバーが使われているんですよ。
参考書って、みなさん書き込まれるでしょ。
だから、ペンがにじまない方がいいですし、
アンダーラインを引いても裏うつりしないということで、
ご好評いただいております。
あと、「やわらかい割に強い」という特長としては、
システム手帳のリフィルでも採用いただいております。
よく6穴のところから破れてしまったりするケースが
あると思うのですが、
その点、トモエリバーは、丈夫な紙ですので、
破れにくくてよいと言われています。
新巴川製紙には、
トモエリバーが使われている辞書などといっしょに、
「ほぼ日手帳」も展示されています。
[ ── ]
最後に「ほぼ日手帳」について、何かありますか?
[ 植村さん ]
取引先のお客さまから、
「ほぼ日手帳」のトモエリバーですねと
言っていただくこともありますし、
トモエリバーを営業先のお客さまにおすすめするときに、
このページを見てくださいと、
「ほぼ日手帳」のページを紹介させていただいております。
今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします!
おふたりそろって、2007年版の「ほぼ日手帳」の中から、
お気に入りの手帳を持っていただきました。
樋口さんはオリーブグリーン、
植村さんはダークブラウンをえらんでくださいました。
樋口さん、植村さん、どうもありがとうございました!
「ほぼ日手帳」が、2002年の誕生以来、
トモエリバーを採用している理由が
伝わりましたでしょうか。
「ほぼ日手帳」のユーザーのみなさまも、
すらすら書きやすく、裏うつりしない、
トモエリバーの書き心地を日々、ご堪能くださいね。