2006.10.13
トモエリバーは、手帳のために生まれた高級紙です。

「ほぼ日手帳」をつくる上でなくてはならない 特長のひとつが、使用している「紙」です。
この紙は「トモエリバー(手帳用)」といって、 手帳のためにつくられたオリジナルの紙なんです。
とにかく薄い、丈夫、裏うつりしない、 インクが乗りやすい。
これらの、手帳にとって大事な特長を 兼ね備えた特別な紙です。

本日は、トモエリバーをつくっている、 新巴川製紙の樋口昌二さんと植村龍一さんに お話をお聞きしました。


新巴川製紙の樋口さん(左)と植村さん(右)

「書きやすさ」を重視して開発した紙
[ ── ]
そもそもトモエリバーの中で、 手帳専用紙をつくられた経緯は、 どういうことだったのですか?

[ 植村さん ]
それまで、手帳は、 コピー用紙などでよく使われる 上質紙と呼ばれる紙を使ったものが多かったのですが、 手帳は毎日持ち歩くものなので、 もう少し、スマートにコンパクトにならないか というニーズがありました。
たまたま、薄くて軽いトモエリバーをつくっていたので、 この従来のトモエリバーから、 さらに「手帳」という機能に特化した紙はできないか というリクエストを受け、 手帳用のトモエリバーの開発をスタートしました。
そこから、手帳屋さんと呼ばれる、 手帳を専門につくっている工場に、 できあがった紙を持ち込んでは試作をつくっていただき、 何度も改良を重ねながら、 現在のものに「作り上げた」と聞いています。

[ ── ]
従来のトモエリバーと 手帳用につくられたトモエリバーとは、 どういったところが違うのですか?

[ 樋口さん ]
従来のトモエリバーは、 郵便コストをおさえることを目的に、 薄くて軽い紙ということで開発された紙です。
それに対して、手帳用のトモエリバーの方は、 「薄くて軽い」という特長にくわえ、 「書き心地」を重視してつくられた紙です。
実際にいろいろなメーカーさんのペンを購入してきて、 他社の紙や従来のトモエリバーの紙にも書いてみながら、 ・にじみにくい ・インクの乗りがよく、かすれにくい。
・細かい字でもシャープに書ける ・強い筆圧で記入しても紙が破れにくい こういった書き心地のテストをくりかえし、 「書きやすさ」を追求して開発しました。


手帳用のトモエリバーの断面図。
表面の黄緑の部分の薬剤と、 中のパルプの部分にかかった白い粉状のものとダブルで、 インクのにじみをおさえ、 裏うつりを防ぐ役目を果たしています。

[ ── ]
「ほぼ日手帳」をお使いの方からも、 1日1ページでありながら、 この薄さ、この軽さは、 すばらしいと言われています。

[ 樋口さん ]
トモエリバーの薄さについては、 こちらのグラフをごらんください!


薄青 棒(重ね厚さ200枚)/ 黄棒(重ね厚さ100枚)
赤棒(重ね厚さ60枚)/青棒(重ね厚さ30枚)

このグラフのとおり、 トモエリバーは、一般の上質紙とくらべると、 同じページ数に対しての束の厚みが、 かなり薄いのがおわかりいただけるのではないでしょうか。
持ち歩くには、極力薄くて、 コンパクトなものの方がいいですよね。
丈夫で、なおかつやわらかい。 180度開くのは、紙にも秘密がある。
[ 樋口さん ]
トモエリバーは、薄い紙でありながら、 同時に1年間の使用に耐えうる「丈夫さ・強さ」も 特長です。
余談ですが、もともと新巴川製紙が、 電線に巻く紙を日本ではじめて作った製紙メーカーなので、 基本的に、「薄くて強度のある紙」つくるのは、 得意分野なんですよ。

[ ── ]
たしかに、「ほぼ日手帳」は、 多少乱暴に扱っても、紙が折れたりしにくく、 丈夫な紙という印象があります。

[ 植村さん ]
トモエリバーは、紙質がやわらかいんです。
やわらかいと、外からの圧力を吸収しするので、 折れにくく、 反対に、紙質が硬いと折れやすいんです。

[ 樋口さん ]
ふつうの上質紙ですと、紙が硬いので、 手帳を開いたときに、紙が跳ね返ってしまいます。
その点、トモエリバーは、 やわらかいからふわっと紙が開くんですよ。

[ ── ]
「ほぼ日手帳」の手でおさえなくても180度開く特長は、 製本だけでなく、 紙も重要な役割を果たしていたんですね。

[ 樋口さん ]
はい。
紙が硬かったり重たすぎると、 パタンと180度開く仕様に耐えられません。
たとえば、辞書も、 開いたまま勉強するものですので、 手でおさえなくても開くように、 トモエリバーを採用いただいているケースが多いです。
また、辞書はページ数も非常に多いので、 ふつうの紙でつくってしまうと、 それこそ、ものすごく分厚くて 重たくなってしまいますので、 トモエリバーは、 「紙が薄くて軽くて、やわらかい。
 なおかつ裏うつりしにくいので、  細かい字が読みやすい」
ということで、 辞書や法令集などでも根強く採用いただいています。


[ ── ]
トモエリバーを使っている製品は、 ほかには、どういったものがありますか?

[ 樋口さん ]
参考書なんかでも、 たまにトモエリバーが使われているんですよ。
参考書って、みなさん書き込まれるでしょ。
だから、ペンがにじまない方がいいですし、 アンダーラインを引いても裏うつりしないということで、 ご好評いただいております。
あと、「やわらかい割に強い」という特長としては、 システム手帳のリフィルでも採用いただいております。
よく6穴のところから破れてしまったりするケースが あると思うのですが、 その点、トモエリバーは、丈夫な紙ですので、 破れにくくてよいと言われています。


新巴川製紙には、 トモエリバーが使われている辞書などといっしょに、 「ほぼ日手帳」も展示されています。


[ ── ]
最後に「ほぼ日手帳」について、何かありますか?

[ 植村さん ]
取引先のお客さまから、 「ほぼ日手帳」のトモエリバーですねと 言っていただくこともありますし、 トモエリバーを営業先のお客さまにおすすめするときに、 このページを見てくださいと、 「ほぼ日手帳」のページを紹介させていただいております。
今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします!


おふたりそろって、2007年版の「ほぼ日手帳」の中から、 お気に入りの手帳を持っていただきました。
樋口さんはオリーブグリーン、 植村さんはダークブラウンをえらんでくださいました。


樋口さん、植村さん、どうもありがとうございました!
「ほぼ日手帳」が、2002年の誕生以来、 トモエリバーを採用している理由が 伝わりましたでしょうか。
「ほぼ日手帳」のユーザーのみなさまも、 すらすら書きやすく、裏うつりしない、 トモエリバーの書き心地を日々、ご堪能くださいね。


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