第8回
<「会長への道(日本奇術協会編)」>
PART2
我々ナポレオンズは、プロ・デビューしてすぐに
日本奇術協会の会員となりました。
20年以上前のことです。
当時の会長はアダチ竜光先生で、
我らの師匠、初代引田天功先生、
「なにかご質問はありませんか?」で一躍人気者になった
伊藤一葉さんなどが役員を務めていました。
我々にとって初めての改選選挙は、
副会長の改選選挙になりました。
その日は驚きの連続で、
私にとっては想像を絶する選挙模様となったのです。
副会長の座は、会長への一歩前の席であるのは
言うまでもなく、
実質的に次の会長候補選出を意味しています。
候補者はA先生、B先生。
お二人ともキャリア、人望、甲乙つけがたい
候補者でありました。
お弟子さんも多く、選挙結果は
予測し難い状況だったのです。
部屋の空気は重い緊張に満ち、まだペーペーの私にさえ、
この選挙に懸ける両陣営の意気込みが伝わってきます。
さて選挙の前にまずは昼食を、ということで、
協会員の前に弁当が配られました。
まぁ、ここまでは、別にごく普通のことでありましょう。
ヒモを解き、フタを開け、
まさに弁当にかぶりつこうとしたその時、
僕の思考を激しく混乱させる声が響いたのです。
「え~、本日のこの弁当は、
A先生からの差入れでありま~す!」
耳を疑うとはまさにこの事、
だってだってA先生は有力候補者、
その候補者が選挙直前に弁当を配給、
それってかなりまずい行為なのでは?
私は思わず皆さんの顔を見、反応を待ちました。
しかし、誰もそれを気にとめる風でもありません。
それどころか、
「A先生、いただきま~す!」
の合唱さえ起きたではありませんか。
私は混乱したまま、とにかく弁当を頂いてしまいました。
さぁいよいよ投票です。
投票用紙が配られ、皆サッサと記入をしています。
追い込まれた私は、仕方なく「ご馳走様」とだけ
書いてしまいました。
たった一個の弁当が、
私の判断能力を奪ってしまったのでしょうか。
さて出席者は50名余り、開票作業はすぐに終了しました。
結果は「ご馳走様」の無効票が一票のみで、
A候補の当選となりました。
ところが、この選挙ドラマはまだ終了ではなかったのです。
満面の笑みのA候補、彼を祝福する声が満ちるなか、
遥か遠くからのような微かな<おえつ>が
聴こえて来たのです。
無論、惜しくも敗れたB候補の、夢敗れた者の
声無き声だったのでした。
この魂をゆさぶる<おえつ>が、
ドラマの二幕をこじ開けてしまったのです。
「かわいそうじゃないか! 」
「B先生は、これまで一生懸命やってこられた!」
等々の声が次々に沸き起こり、
「もう一度、選挙をやり直したほうが
良いんじゃないか?」
などということになり、あれよあれよと言う間に多数決、
再投票決定。
その結果は、なんとB候補の逆転当選!!!
まさにジェット・コースター選挙、
涙は弁当より強かったのでした。
こうして選ばれた方々のご尽力の結果、
我々プロ・マジシャンの様々な権利は主張され、
護られているのです。
最近では社団法人として認可され、
またマジシャンの殿堂となる奇術の館、
マジック・キャッスルの建設も
実現への歩みを始めています。
日本奇術協会バンザ~イ! の今日この頃なのであります。
ちなみに、現会長は北見マキ先生、
副会長は渚晴彦先生であります。
一同の者、えぇ~い、頭が高~い!
毎年12月3日は「奇術の日」として、
協会主催の華やかなパーティが開催されます。
興味のある方はぜひお問い合わせを。
さて、誕生日と年齢をイッキに当ててしまうマジックです。
1.<生まれ月×100>=
2.+<生まれた日>=、×2=
3.+8=
4.×5=
5.+4=
6.×10=
7.+4=
8.+<年令>=
ここまで相手に電卓でやってもらいます。
9.出た答えから<444>を引く。
下2ケタが年令、千と百が生まれた日、
万の位が生まれ月です。
どうです? 面倒でしょ、すいません。
でもやってみるとすごい効果ですよ!
さて、ナポレオンズのホーム・ページはご存知ですか?
こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/tvland/
tvland@bekkoame.ne.jp
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