MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

「マスク・マジシャンの正体とは? 」

最近、我がマジック業界を揺るがす大事件が起きている。
(この事件が、一般にはまるで認知されていないのが
 残念なのだが。)
先日、日本テレビで放送された
「マスク・マジシャン」が事件の中心人物である。
この覆面の手品師は、
よせばいいのにマジックのタネ明かしばかりをしている。
大ネタから小ネタまで、
古くから知られているマジックを
惜しげもなくテレビで明かしてしまった。
さぁ、これでは黙ってられない我が日本奇術協会、
番組を制作した会社及び日本テレビに抗議文書を発送。
それをきっかけに、
「あれくらいは許されるのでは。」
「とんでもないっ。
 あんなマジシャンは業界から抹殺しろ。」
等々、意見が飛び交うこととなってしまった。

実はずいぶん以前(10年前)にも、
同様のタネ明かし番組が企画されたことがあった。
今回と同様にマジシャンから猛抗議があり、
出演したマジック関係者が
除名などの処分を受けてしまった。
それらのスッタモンダをスポーツ新聞が取上げて
一般の話題にもなり、か
えって視聴率が上がるという、
マジシャンにとっては皮肉な結果となった。
更に、
「こんな番組は、放送を中止しろ! 」
などと気勢を揚げていた本人が、
タネ明かし番組の第2弾に
しゃあしゃあと出演したりしてヒンシュクを買うという、
お粗末の一席でありました。
処分者は数名に昇り、
まるでマジック版「黒い霧事件」であった。

さて今回はというと、
そこまでヒート・アップはしていないものの、
やはりあちこちで論戦が続いている。
しかしまぁ、なんといってもタネ明かしが
視聴率を獲るという現実があることは事実で、
普通のマジック番組を放送するとひと桁の視聴率なのに、
タネ明かしすればふた桁を確実に取る。
テレビ番組ならば、1%でも視聴率が高い番組こそが
良い番組といっても過言ではないでしょう。

我々ナポレオンズはといえば、
すぐタネ明かしをするマジシャンという
イメージが定着している。
(実に不本意ではありますが。)
だから、マスク・マジシャンに
シンパシーを感じていると思われがちである。 

でもね、あの覆面がちょっとね、嫌だなぁ。
なんか後ろめたいところがありそうで。
「彼、マスク・マジシャンは
 世界中のマジシャンから命を狙われている。
 したがって常にマスクをしている。
 彼の素顔は誰も知らない。」
なんていってたけど、
マジック業界の人はマスク・マジシャンが誰なのか
とっくに分かっているらしい。
しかも、誰も命まで奪おうなんて思ってない。
ということで、
「覆面するからさぁ、許してくれよ。」
みたいな気がしてしまう。
あくまで「謎」を強調するプロレスラーの覆面とは
違う意味にしか思えないのだ。
何となく情けない雰囲気が漂う。
「フェ~ヘッヘ、 これからおいらが、
 あらゆるマジックをバラしてやる! 
 そう、この世からマジシャンを一掃してやるのだ。
 フェ~ヘッヘッヘ。」
くらいは堂々と宣言してほしい。
そうしておいてセコいネタをバラして、
「さぁどうだ、マジシャンども。
 これですっかり困っただろう。
 なに? ちっとも困らない? 
 ははは・・・、おいらが困った。」
みたいなコントにしてくれないだろうか。

タネ明かしの是非については広く深く議論を重ねるとして、
僕が気になっているウワサがひとつ。
あのマスク・マジシャンが
実は我が相棒のボナ植木ではないか? というのだ。
そうだよ、考えてみれば、
あの番組は我々の所属している事務所の社長が
プロデュースしたものだし。
きっとボナ植木が職内
(事務所を通さず仕事をして、
 ギャラを独り占めすること。)
としてやっていたに違いない。
ボナ植木よ、ただちにギャラの半分を
僕の口座に振り込むように!

2001-07-31-TUE
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