MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

親愛なる読者の皆様、まずはお詫びがございます。
前回、この「ライフ・イズ・マジック」に
掲載していただいた『その言い訳が超能力?』は、
以前にも同じような内容で掲載されておりました。
私は、ついウッカリと同じ題材を
同じように書いてしまったのです。
どうりで、書いててスムーズに書けるなぁと思ったのです。
以前に書いたことがあれば、
そりゃぁ、書きやすいですよね、ははは。
笑ってる場合ではないです。
本当にごめんなさい。
これからは、ちゃんと確認します。
アンコールでもないのに、
同じことを書かないようにします。
さて今回は、以前にはまったく書いたことがない新作です。
内容はともかく、新作です。題して、


『マジシャンのいるBAR???』


「ねぇ、まりこ~、昨日さぁ、
 やよいと二人でバーにいったんだ」
「へぇ~、なんだか珍しいねぇ。
 で、どんなバーに行ったの?」
「それがさぁ、マジック・バーだったのよ」
「マジック・バーって、
 あの、手品とか見せてくれたりする?」
「そうそう、それがさ、もうすごいのよ」
「どんなに、すごいの?」
「え~っと、まず最初に教えてくれたのは、
 やよいだったんだ。
 やよいがさ、急にマジックが見てみたい!
 なんて言って、ネットで調べたらしいのよ」
「そしたら、bar-closed
 (年中無休で開いているのに、ばぁー・くろーずど。
  HPはwww.bar-closed.com
 っていうのにヒットしたんだって」
「でさ、上馬の交差点
 (環七と246号線が交差するところ。
  最寄り駅は東急田園都市線の駒沢大学前駅。徒歩5分)
 からすぐのところだって言うしさ。
 二人でビューって駆けつけてみたのよ」
「そいでそいで?」
「環七ぞいを柿の木坂方面に歩いてさ、
 ほんと、すぐ近くにあったわよ。
 でもさ、やっぱ、マジック・バーだっていうから、
 妖しげな看板でもあるのかって思うじゃない」
「なんか、ピンク色の鳩の絵でも描いてあるとか?」
「きゃははは、それも良いかも。
 でも実際は、ウイスキー樽から切り出した木板に
 金属の英文字がはめ込んである、
 渋~い、おっしゃれ~な看板しかないのよ。
 だからさ、通り過ぎちゃうところだったわよ」
「そいでそいで?」
「2階だっていうから、階段を上がってさ。
 やっぱりなんだか、そぉ~っとドアを開けたのよ」
「すると急に鳩が飛んで来たとか?」
「鳩は忘れなさいよ、もう。
 まぁ、雰囲気は良い感じの普通のバーだったのよ。
 でさ、もう5、6人のお客がいてさ。
 別にマジックを見てるっていうのでもないのよ」
「バーテンの人がえんび服かなんか着てるとか?」
「着てない着てない。
 そんなバーテンさんがいたら帰るわよ。
 バーテンさんは、ホラ、
 すっごい昔からやってる3人組の、なんだっけ、ホラ、
 そ、そうよ、東京ボーイズ
 (1965年結成。仲八郎、菅六郎、旭五郎の3人が、
  アコーデオン、三味線、ウクレレを演奏しながら
  ボケ倒すという、関東の寄席にはなくてはならない
  お笑いトリオ。ボーイズバラエティ協会所属)
 とかいうお笑いのおじさん3人組の、
 真ん中のアコーデオン弾いてる人にソックリだったのよ」
「へぇ~、おじさんなの?」
「いや、まだ若い人だと思うよ。
 だからさ、なんか雰囲気が楽しそうな人っていう意味よ」
「で、その人がアコーデオン弾いてくれたの?」
「あんた、バカじゃない?
 だからマジック・バーに行ったんだってば。
 お笑いバーじゃないの」
「だってさぁ、しげみが
 そんなマニアックなお笑いの人の話なんかするからよ」
「とにかく、まずはカウンターに座って
 メニューなんか見てたらさぁ。
 奥の方にいた男の人がテケテケって近づいてきてさ」
「きゃ~、その人がまたまたお笑い系?」
「だから、お笑いじゃないってば。
 うん? でも、お笑い、かもねぇ」
「えぇ? なんなの?
 お笑いじゃぁないけど、お笑い?
 でもってマジックなわけ?」
「だからさ、その近づいて来た人の顔を見たら、
 どっかで見たことある人なのよ。
 ホラ、ずぅ~っと前から、
 あの、頭をぐるぐる回してる、
 ヘンテコリンなマジックの、
 頭回してる人にソックリだったのよ」
「ホントにしげみって、
 マニアックなお笑いに詳しいわねぇ。
 ひょっとして、あんたのお父さん、
 小島貞二(戦中戦後の寄席文化の移ろいを綴った
 著書多数。演芸研究の第一人者)さん?」
「まりこ、あんたの方がマニアックだわ。
 とにかく、思い切って聞いちゃったのよ。
 ここでマジックは見られますかって」
「頭回してくれたりしたの?」
「そんなバー、やだって。
 雰囲気のいいバーなんだからさ、
 頭回ったり、胴が切れちゃったり、
 人が浮いてたりしたら落ち着かないでしょ」
「あたしは、みんなと話しててひとり浮いちゃったり、
 しょっちゅうだけどね」
「浮いてる意味が違うよ。
 だからさ、マジックは見られるかって聞いたら、
 『もちろん、僕で良ければ』って言うじゃない」
「で、いよいよマジックが始まったのね~?」

(たぶん、続く)

「これって、早い話がバーのコマーシャルじゃない?」
そう言われてしまうと反論の余地もないのですが、
なにか面白い夜をお求めの皆様、
こんなBARで一杯はいかがでしょう。

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2004-04-29-THU

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