MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

日本に来る外国人マジシャンの通訳を、
一手に引き受ける日本人女性がいました。
彼女はマジックが大好きで
「マジシャンの通訳ならタダでもいい」
とまで言ってくれる、ありがたい存在でした。
彼女は海外で生まれ育ち、
大学を卒業後に来日という経歴の持ち主でした。
従って外国語はあれこれ堪能でも、
日本語はかなりアヤシかったりするのでした。
そんな彼女の珍妙な日本語解釈の数々、題して


『私は日本語の苦手な日本人で~す!』


『たくさんの動物が放たれています』
ラジオから流れて来たニュースを聴いて、彼女は思った。
「やっぱり日本は寒いから、動物も鼻垂れてるのね」

『懐柔策を練っています』
彼女はかなり困惑して、
「怪獣の柵?」

『晴れの表現には日本晴れ、五月晴れ、などがあります』
これを聞いて、彼女は大きな声で叫んだ。
「みみずばれ~」

『退役軍人』
かなり考え込んで、
「たいやきを焼く人?」

『漆箪笥(うるしだんす)などを販売しています』
へぇ~と感心した様子で、
「それって、どんなダンス?」

『挑発されました』
首を傾げて、
「長髪にされたの?」

『心筋梗塞』
間違える方向がねぇ。
「きんしんそうかん」

『小間切れ(こまぎれ)』
豚肉を買おうと店先で、
「すいません、この豚肉の『こかんぎれ』を100グラム」
なんだかすごく痛そうな肉。

『目くじらをたてないで』
ずぅ~っと間違えてたなぁ、
「目頭(めがしら)をたてないで」

『ペリカン便』
なんだか嬉しそうに、
「ペリカンの形をしたビンでしょ!」

『彼は今、帰省中です』
心配そうに、
「寄生虫って、薬で治るよね」

『バブル崩壊』
「えぇ~っ、壊れちゃったの?」
彼女の頭の中には、バルブが壊れて
大量の水が溢れ出ている絵が浮かんでいたに違いない。

『団塊の世代』
この漢字を読んでみて、と言われて、
「だんこん、の、よだい」

『生き字引と言われております』
パーティの司会を頼まれ、
ある業界の偉い先生を紹介した彼女、
「先生は、この世界の『生き地獄』と言われています」

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2004-12-26-SUN

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