MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

『私は悩んでいる』

私は今、世の中の急速な進歩に付いていけるかどうか、
とても不安に思っている。
世の中は常に進化、ハイテク化し、日々便利になっている。
しかし、その進化について行けない場合、
便利なはずの進化がいきなり不便と化してしまうのも
事実である。
ビデオ機器を例にとると、
これまで番組の録画用にベータを買いVHSを買い、
8mmビデオを買いDVDに買い替えてきた。
しかし、進歩という怪物はまだまだその歩みを止めない。
次世代DVD、ハード・ディスクなどという言葉を
聞くたびに、私の心は激しく動揺するのだ。
「はたして、私はこれ以上の進化に
 ついていけるのだろうか?」

近い将来、ビデオ機器の操作は音声認識が主流になり、
「おい、今夜のこの番組の録画、頼むよ」
「はい、承知しました」
で、録画してくれる。
ところが、その機械も5、6年過ぎると
早くも機能があやしくなってしまい、
「おい、今朝頼んでおいた録画はどうした」
「あのぅ、え~っと、忘れました」
なんて、機械も老化してしまうというジョークを
聴いたことがある。

DVDでいいじゃないか!
画質もこれで充分だよ!

携帯電話の進化も著しい。
初めて「携帯できる電話」という言葉を聞いた時は、
そりゃもう興味シンシンだった。
携帯電話を見たこともなかったある日、
私は都内の編集スタジオにいた。
出来上がった映像に音声を入れる作業中であった。
すると、スタジオの廊下にある
赤電話(覚えてますかねぇ、赤電話)が鳴った。
私が出ると、
「もしもし、ワシや。もうすぐスタジオに着くがな」
この大阪弁は、まぎれもなく制作事務所の社長の声である。
「皆さ~ん、まもなく社長が来るそうで~す。
 さぁ、仕事してるフリをしましょうね~」
とスタッフに声を掛けた直後、
私の目の前に電話の声の主である社長がいた!
社長は手に入れたばかりのショルダー・タイプの携帯電話
(覚えてますかねぇ、かなり大きかったですよね)で、
スタジオの玄関からこの赤電話にかけていたのだった。
その後の携帯電話の進化はすさまじい。
今後は携帯電話ですべてがまかなえるような勢いだ。
すでに携帯電話で電車に乗り、買い物をし、
音楽を聴いている人も多いのかもしれない。
意外と電話機能がいちばん使われてなかったりして。

パスネットとスイカでいいじゃないか!
それで充分便利じゃないか!

私が生業にしているマジックだけは、
糸とか磁石とか、
これまで同様にアナログであり続けてほしい。
切に願う私である。

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2006-11-29-WED

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