MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『旅ごはん』


ちょい長めの旅に出た。
旅となれば、楽しみは
あちこちでいただく美味しいもの。
いつも食べているものでも、旅先でいただくと
妙に味わい深いから不思議だ。

東京駅から新幹線に乗る。
最初の目的地は岡山で、新幹線の中で
朝ごはんと昼ごはんを食べることになる。
エキナカで鮪カツサンドと鉄火丼を買う。
鮪ばかりになってしまったが、鮪カツサンドは大好物で
鉄火丼は見た目が実に美味しそうだったのだ。

品川を過ぎた頃、鮪カツサンドを食べる。
うん、いつもながら旨い。
肉のカツとはやっぱり違う歯触りと、ソースのコクと
香りが際立っている。

大阪を過ぎた辺りで昼ごはん。
鉄火丼のフタを開けた。
酢飯の香りが漂う。
添えてある醤油をちょい多めにかける。
そのまま少し待って、浅い漬け鮪のようにする。
弁当だからか、酢が強めのごはんに多めの醤油がしっかり。
ごはんと鮪のひと切れを箸に乗せ、口の中に放り込む。
旨い、やっぱり鮪は旨い。

ふと通路を見ると、大きな荷物に四苦八苦している
外国人の老人が目に入った。
『お・も・て・な・し』の心が沸き上がり、
丼を置いて老人の荷物を席まで運んだ。
「サンキュー、マグロ、デスカァ。オイシーネ」
みたいなことを言ってくれた。

岡山駅で降り、車で倉敷に向かう。
文化ホールに着き、楽屋入り。
リハーサル等が終わると、夕食の弁当が楽屋に届いていた。
海老フライとかミニカツとかの揚げ物が多い弁当。

出番が終了し、すぐさま岡山駅に戻る。
新幹線で名古屋に移動し、名古屋駅から車で岐阜に向かう。
岐阜駅前のホテルにチェックインし、部屋で荷物を解く。

夜更けにホテル近くのラーメン屋さんを発見し、
味噌ラーメンを注文。
味噌は懐かしい八丁味噌で、独特の香りと味わい。
細いちぢれ麺をすすり、スープを飲むたびに、
「あぁ、八丁味噌だぁ、はぁぁ、八丁味噌だぁ」
と思う。
やっぱり、子供の頃から慣れ親しんだ味は
たまらなく旨い。

早起きして岐阜市内の小学校に行かなければならない。
朝食はホテルのレストランでごはん、味噌汁、焼き魚、
オムレツ、ソーセージなど。
和洋折衷というか混沌というか。

午前10時半から
『ダマされない人になろう。
 ダマす人になってはいけない』
特別授業の講師を務める。
つまりは、反面教師役というところ。

授業を終えて車で中学校に移動。
お昼は、中学校の給食をいただく。
ごはん、若布スープ、クジラの立田揚げ、野菜の煮物、
牛乳、ミカン。
おかずが薄味で体には良いのだろうけれど、
そのせいでごはんの量が多いなぁと感じる。
大人って、濃い味のおかずを食べているのだなぁと思う。

「給食を残してはいけませんよっ!」
子どもだった頃に聞いた先生の声を思い出し、
思わず背筋を伸ばして黙々といただく。
給食は、ありがたきかな。

その後、お昼はあちこちの学校で給食。
ある日の給食。
肉味噌ダレが丼にたっぷり、それに麺をつけて食べる。
つけ麺なんて、僕が子供の頃にあったかなぁ。
これも味噌が旨いのなんのって。
麺が柔らかいのだが、肉味噌ダレと一体となって
良い味わいだ。

岐阜は季節外れの暑さだった。
もう10月だからと、秋冬物の衣装を持ってきてしまった。
教室には夏のような陽射しが降り注ぎ、
気温は早くも30度越え。
40分くらいの授業だが、衣装が汗で重くなるほど。

連日汗だくになるが、お陰で夕食時のビールが旨い。
エネルギー消耗が激しいように感じられて、
つまみは焼き肉。
飛騨牛のカルビが、たまらない。
しかも、値段が安い。
量が少ないのかなぁと思いきや、
皿にたっぷり盛られてきてビックリ。

翌々日は帯広へ。
帯広はさすがに寒いかと案じたが、
秋の爽やかな風が吹いていて涼しい。
ホテルの食事が楽しかった。
名物の豚丼は、ごはんと豚肉が別々に盛ってある。
スープカレーも大鍋にたっぷり。
トッピングのポテト、人参なども
こんがりと焼かれて皿にある。

まず、ごはんを椀に盛り、タレをまとったこんがり
肉を乗せてハグハグと。
次にスパイスが強烈に効いたスープカレーを。
つまりは、北海道名物を食べ放題というわけだ。

南方に行き、真ん中に移動し、北へ飛んだ。
それぞれの、旅先ならではの味わい。
旅ごはんは、思い出までも美味しい。

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2013-10-13-SUN
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