MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『僕の夏休み』

北海道に行ってきましたよ。
朝早く出かけたのだけれど、
東京はとても暑いのでした。

羽田空港は、とても混雑していました。
でも、みんな楽しそうでした。
普段、仕事で羽田に行くけれど、
こんな楽しい雰囲気は
夏休みシーズンならではだなぁと思いました。

荷物を預けるところが、
一部、自動になっていました。
下から上へグィーンと扉が開いて、
そこに荷物を入れます。
チケットをかざすと、タグが出てきます。
それを荷物に巻いて確認ボタンを押すと、
扉が閉まります。

色んなことが自動化されます。
今はまだ、そばに係りの人がいて
困った時には教えてくれるから
分からなくなっても大丈夫だけれど。

新千歳空港に着きました。
思ったより空港内は暑い、というか暖かいのでした。
やはり、北海道も暑いのかなぁと心配しつつ
空港の外へ出ると、涼しい風が吹いていました。

空港内は空調で生温かく、外は自然の涼風なのでした。
思わず、
「わ~いわ~い、北海道はやっぱり涼しいぞ~」
とはしゃいでしまいました。

でも、それくらい嬉しかったのです。
なんせ、東京の猛暑は、僕の肺が、
「おいおい、こんな熱い空気は吸いたくありません」
と言うから、深呼吸なんてできなかったのです。

それが、この涼風。
本当に久しぶりに、
深呼吸したい涼しい空気を味わったのでした。

レンタカーで千歳から札幌に向かいました。
初日の夕ご飯は、カニにしようかなと思っていましたが、
レストランに入ってジンギスカンの香りを嗅いでしまい、
完全にラム肉モードになってしまいました。

たぶん、東京でもジンギスカンは食べられると思うけれど、
なんでしょうねぇ、北海道で食べると
とびきり旨いような気がします。

涼しい空気が胃袋にまで到達して、
昨日まで冷たいものばかり食べていたのに、
熱々の肉を食べたいという気分なのでした。

翌朝、がんばって早起きして農場に行きました。
札幌市内から車で40分くらい走ると、
もう広大な農園が広がっているのでした。

用水路と並行して伸びる細道を走っていると、
大きな犬小屋が見えました。
中に大きなレトリーバーがいましたが、
まるで吠えませんでした。

尻尾をふって、まるで、
「いらっしゃい、こっちですよ~、こっち」
と歓迎してくれているようでした。

農場の母屋の庭先に入り、車を停めました。
遠くで手を洗っているおじさんが見えたので、
「こんにちは」
と挨拶しましたが、しらんぷりしているのでした。

近づいていって、
「あの、トウモロコシをもいで
 生かじりしたいんです」
と言うと、
「あぁ‥‥」
とつぶやくように言って、
隣にいたおばさんの方を見るのでした。

おばさんは、
「生で食べるの? 茹でないの? 焼かないの?」
と言うので、僕は、
「とにかく、もいでその場で剥いて生で食べたら、
 う、う、旨い~! 甘い~! と聞いてきたんです」
と言いました。

その言い方が良かったのでしょうか、
おじさんは急に嬉しそうな顔をして、
「そう、それなら、あっちの畑で食べてきな」
と言い、おばさんは、
「1本100円、いくら食べてもいいけど、
 男の人は食べすぎると、アレだからね」
と言うのでした。

僕は、
「アレって、お腹が、アレになって大変、
 ていうことですよね」
と言いました。

トウモロコシをたくさん生で食べると
男性だけが下痢をするらしいのです。
不思議だなぁと思いました。

どこまでも続いてそうなトウモロコシ畑に入り、
大きいのをもいで、皮を剥いてかじりつきました。

確かに、
「旨い~! 甘い~!
 1本だけなんてむりむり~!」
食べながら、
もう次のトウモロコシを探しているのでした。

お昼は、農場から車で20分くらいの、
美しくて広大なガーデンの中にあるレストランでした。
お目当はスープカレーです。

ガーデン内の農園で採れた野菜、
それも見たことのない種類までズラリと並んでいます。
それらをトッピングしていただく
スープカレーの美味しさ。

ジャガイモだけでも数種類あり、どれも美味しい。
小さな玉ねぎを丸ごと焼いたのも、
ビックリするくらい美味しい。

それらをスープカレーに入れて食べる、食べる。
もう何回もお代わりをしました。
ここでは、
「スープカレーは、いくら食べてもいいけど、
 男の人は食べすぎると、アレだからね」
という忠告もないので、安心して食べられました。

「猛暑に苦しむ皆さん、本当にごめんなさい」
心の中でつぶやきながら、
僕の夏休みはもう少し続くのでした。

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2015-08-23-SUN
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