『小石はなんて』
「あぁ、いかんいかん。
なんだか今日はダメっぽいなぁ」
なんちってね、ため息ばかり。
今日は珍しくブルーな気分。
でも、それは小さな悩みから来ている。
マジックのアイデアが少しも浮かばなかったり、
鼻の横に赤い小さな腫れを見つけたり。
小さい小さい今日の僕。
申し訳ないくらいに小さな悩み。
大きな悩みを抱えている人ごめんねと、
また小さく小さく悔やむ。
小さい小さい小石さん。
寒空見つめ悶々としていると、不思議な詩を見つけた。
『 小石はなんて幸せなんだ
道路に独り ころがって
キャリアのことも気にかけず
衣食住のこと欠くも恐れず
その天然の茶色の衣
通りがかりの宇宙が着せた
ひとり立ちして お日様のよう
仲間と和すも 独りっきりで輝くも
さりげなく 素朴に
天命を果たしつつ 』
エミリー・ディキンソン
はるか遠くから励ましてくれているように思われて、
思わず僕も書き始めた。
『 僕はなんて幸せなんだろう
部屋にひとり 椅子に座って
仕事のことなど気にかけず
衣食住に多くを望まず
この地味すぎるけれど温かいフリース
通りがかりの店で見つけた
ひとり立ちしてるといいな 小さな星のように
仲間少ないけれど 独りっきりも苦でなくて
さりげなく ゆっくり
天命を果たせればいいね 』
どうか怒らないでね、エミリー・ディキンソンさん。
 
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