『続・私の好きなもの』
< 猫 >
猫が好きだ。
小学生の頃、帰り道で鳴いていた子猫を
家に持ち帰った。
以前から猫を飼っていたこともあり、
親の反対もなく私の猫になった。
ぬるま湯で体を洗ってやったら元気になった。
育てたというより、一緒に育ったような気がする。
人間といるけれど、猫の世界で生きていて、
それでも人間をよく分かっているような、
不思議な生き物。
猫が出すゴロゴロという音も好きだ。
あの音は、猫が幸せを感じている時に出すらしい。
耳に聴こえる、ただひとつの幸せの音。
聴いている私まで、幸せな気分になったものだ。
< 納豆 >
納豆が好きだ。
知人が、錦◯梅という高級ふりかけをくれた。
そいつを適量、納豆にマゼマゼして食べてみた。
これが旨くってたまらない。
ふりかけと混然一体となった納豆を、
ご飯の上に乗っけて食べる。
食パンにはさんで納豆サンド、これもまた好きだ。
納豆にオリーブオイルを絡めても美味しい。
私はいつしか、納豆が大好きになった。
< 雷 >
急な雷雨に追われ、慌てて部屋に逃げ帰る。
ガラス窓の外、遠かった稲光が近づいてくるようだ。
近くの建物の向こう、稲光が縦に黄色く光って落ちた。
何本も続く稲光から、私は目を離せないまま
見つめてしまう。
私は案外、雷や稲妻が好きなのかもしれない。
< 懐メロ >
私はどうやら懐メロが好きらしい。
時々テレビでやっている懐メロ特集を、
ついつい録画してしまう。
私が18歳くらいから30歳までの頃の、
懐かしい歌。
別にあの時代が好きだというわけでもない。
むしろ、とても生き辛かったような記憶ばかりだ。
なのに、懐メロはとても幸せな感情を運んでくる。
悲しい歌も切ない歌も、懐メロになって聞こえてくると
なぜか幸せな気持ちになるから不思議だ。
悲しい日々も切ない日々も、
過ぎてしまえば幸福な思い出になるのだろうか。
一瞬の幸せを届けてくれる、私は懐メロが好きだ。
< ウンダーベルグ >
夜、ベッドの脇の小さなテーブルに、
ウンダーベルグというリキュールを置く。
ドイツの田舎、お婆さんが山に入って摘んできた薬草を
家で煎じて生まれた薬酒、ウンダーベルグ。
いやいや、私が勝手に想像しているだけだが。
暑い時はロックで。
寒い日にはそのまま。
私のナイトキャップ。
私はウンダーベルグの深い酔いが好き。
 
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