『ナポレオンズの旅ぐるぐる』
礼文島の仕事が入った。
羽田から稚内空港まで、約2時間ほど。
お迎えの車に乗り、30分くらいで稚内港に到着。
2時間近く待って稚内港を出港、
大型フェリーで2時間の船旅。
羽田を飛び立ったのが午前11時、
礼文島に上陸したのは午後6時近くだったろうか。
今日は礼文島に到着するのが仕事で、
ホテルにチェックインしたら、
あとは夕食をいただくのみ。
北海道、礼文島の夕食は美味しかった。
ウニ、カニ、ホタテ、ボタンエビなど、
まさに竜宮城定食。
朝ごはんも美味しかった。
イカ刺しにおろし生姜を乗せ、
醤油をたらして飯に盛る。
あとはかっこむだけ。
焼き魚も味が濃い。
ネバネバ海藻汁を啜れば、あぁ海が胃袋にしみる。
快晴で暑い夏のような陽射し。
だが、海風は冬を連想するほどに冷たい。
この季節、礼文島には夏と冬が同居しているよう。
映画『北のカナリアたち』のロケ現場が
そのまま残されている。
吉永小百合さんの等身大パネルがあり、
横の丸い穴から顔を出せば、
たちまちツーショット写真が撮れるようになっている。
私も勇んで撮ってもらったが、
「なんだか、小石さんが穴から顔を出すと
顔がぐるぐる回りそう」
などと大笑いされる。
夕方やっと本番、出番がやってきた。
持ち時間は30分。
6、7時間かけてやってきて、出番は30分。
島の皆さんは大いに笑ってくれたから、まぁいいか。
翌日、早朝のフェリーで稚内港~稚内空港~羽田。
東京はまだまだ蒸し暑い夏の空気が残っていた。
埼玉に出かけた。
西武新宿線に乗って、狭山市駅に到着。
お迎えのマイクロバスで温泉施設へ。
宴会場のステージでマジック・ショー。
出番をこなして帰りのマイクロバスに飛び乗る。
特急電車に乗れれば、新宿までたちまち戻れる。
それほどまで急いで帰る用事もないのだが、
犯罪者と芸人は
一刻も早く犯行現場を立ち去りたい習性があるらしい。
岐阜市内の小学校を巡る仕事が入った。
『ダマしのプロが教える、
ダマされない大人になる方法』というタイトルが、
ちょいと恥ずかしい。
『元ドロボーが教える、空き巣に入りやすい家、
入りにくい家教えます』なんてのと一緒。
インチキ・マジックを連発すると、
小学生から激しい抗議の声が沸き起こる。
「インチキ~、詐欺師じゃないかぁ~」
私はすみやかに、爽やかに反論する。
「詐欺師は去年でやめました。
今年から手品師だよ~ん」
我ながら大人げないなぁと反省しつつ、
再び旅に出るとしよう。
 
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