人が外に出れば、7人の敵がいると聞く。
私も外に出たら、様々な敵が待っていた。
< 風邪 >
私が外に出ると、風邪という敵が待っていた。
必死の抵抗むなしく、風邪菌は私の喉に張り付いて、
声が変になった。
私の仕事は、しゃべり。
かすれた声でなんとか15分の出番をこなしたが、
あらためて風邪という敵の怖さを知った。
風邪に加えて、インフルエンザという難敵も
多くの人を襲っているというではないか。
へ、へ、ヘックション。
ところで、フランス人のくしゃみは、
「ファ、ファ、ファクスィオ~ン」
と聞こえるらしいが、本当だろうか。
< 煙 >
外へ出たら、煙という敵が
先に漂っているではないか。
後ろを歩いていたら煙いし、
ずっと副流煙を吸わなければならない。
私は急ぎ足で煙を追い抜く。
永六輔先生の言葉を思い出す。
「吸ってもいいけど、(煙を)吐いちゃダメ」
< 高齢化社会 >
私が外に出ると、
やっとこさ進んでいる自転車が
ふらふらと迫ってきた。
日本は高齢化社会である。
自転車の老婆も、相当なお歳であろう。
私に向かってせまってくるが、
まったく避ける気配なし。
「歩いた方が安全じゃないですか」
なんて進言したのだが、
「バカ言ってんじゃないよ、
歩けないから自転車に乗ってるんだよ」
< ボブン >
外に出る前にSNSをチェックすると、
『Kカフェ、本日の料理はボブン』
とあるではないか。
ボブンはベトナム料理のひとつで、
フォーという麺に野菜、甘辛煮の牛肉、
揚げ春巻きなどが盛られ、
そこに独特のうまうまエスニック・ソースが
かけられている料理。
全部をよぉく混ぜ、レモンを絞りかけて食べる。
これがまぁ、陶酔の味わい。
酸っぱいような、甘辛いような、
ほんの少し辛いような。
あぁ、これは美味い旨いうま過ぎる。
ご飯気分、ラーメン気分、蕎麦気分などが
完全に消えて、すっかりボブン気分になってしまう。
Kカフェのボブンは、敵は敵でも素敵という敵。
私は迷わず敵の懐に入り、
さっさと虜(とりこ)になるとしよう。
 
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