ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

むむむの日

電車でゆるりと東京駅に向かった。
駅に着いて新幹線乗り口へ歩く途中、
ガラケーで声高に叫んでいる若者がいた。

始めは電話で
口ゲンカでもしているのかなと思った。

しかし、あまりの大声なので
つい聴き耳を立てると、
「〇〇人は出て行けばいいんだよ、
 〇〇人も出て行けばいいんだ」

そうか、これがヘイト・スピーチというものか。
初めて生で聞いた。

だが、この若者は
電話で誰かと激論を交わしているかのように、
カムフラージュしているらしい。

東京駅は外国人が多く歩いているが、
誰ひとり気にもとめず、
急ぎ足で通り過ぎて行く。

日本語だから気づかないのか?
でも、日本人も気づかないままのよう。
誰もが皆、先を急いでいる。

多くの人々が、これから始まる旅先での
楽しいひと時を思い描くように、
足早にホームに向かう。

若者はただひとり、
取り残されるように同じ場所で叫んでいる。

私はほんの一瞬、
複雑な思いに沈みそうになったが、
「さぁて、仕事、仕事」
楽しそうな人々の流れに合流した。

新幹線は順調に目的駅に着いた。
駅からタクシーで数分、ホテルに到着。
もう、会場には大勢の人が入っている。

「今日のお客様の中には、
 外国から研修に来ている人も多くいますので、
 英語しか通じないかも。
 ナポレオンズさんは、大丈夫ですよね」

そうか、そういう時代になったのか。

大丈夫、英語が通じなければ
身振り手振りがあるさ。
伝えようと思えば伝わる。

そう、マジシャンは常に楽天的でなくっちゃ。

ステージでは、私の拙い英語が意外とウケた。
だから、私の英語はちっとも上達しないのだろう。
良いんだか悪いんだか。

東京駅に戻ったが、
あの若者の声はどこからも聴こえてこない。

在来線に乗り換えると、
相変わらず多くの外国人たち。

新宿駅で降りれば、様々な言語が聴こえてくる。
「あぁ、新宿に戻ってきた」
と、不思議な感覚。

私たちの地球は、
いつの間にか小さくなったのかもね。




明るく軽く親切なのに。
 ほんの少し悲しみの味がするのだ。
 マジックというのが、もともとそういう
 素性のものなのだろうか。ー
        糸井重里(帯コピーより)

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