ほぼ日刊イトイ新聞

マンガでドミノ

『蝉時雨のやむ頃』  

『蝉時雨のやむ頃』

著者:吉田秋生
発行:小学館
『愛すべき娘たち』の、
子供にとっては母だけど、「女」で「少女」でもある
つながりで思い浮かんだのは、
吉田秋生さんの『蝉時雨のやむ頃』にはじまる、
海街diaryシリーズです。

両親が離婚し、残った母も再婚して出て行って、
鎌倉の祖母が残した古い家に残った3姉妹のもとに、
父が亡くなったと連絡が入ります。
もう顔も覚えてない父の葬儀で出会った
母親の違う妹を引き取ることにして、
4人姉妹の鎌倉の季節に彩られた
鮮やかな生活が始まります。

親も1人の人間で、
弱くもずるくもあるって分かる年齢になっても、
やっぱり子供にとって親は切り離せない存在。
その存在を疎ましくも思い、腹立たしくなったりもします。

自分が信じたいものとは別のところに違った真実があって、
それは前からそこにあったものなのに、
ただ気付かなかっただけ…。
そういうものが世の中にはたくさんあると気付いた時に、
すこしだけ、人に、そして自分に、
優しくなれるものなのかもしれません。

4人姉妹と、姉妹を囲む人たちが
優しくて、切なくて、抱きしめたくなります。
ぜひ読んでみてください!

(さるる)

2012-02-04-SAT