ほぼ日刊イトイ新聞

マンガでドミノ

『舞姫 テレプシコーラ』  

『舞姫 テレプシコーラ』


著者:山岸凉子
発行:メディアファクトリー
前回の『SWAN』からバレエ繋がりで、
『舞姫 テレプシコーラ』をおすすめします。

母がバレエ教師、姉はバレエでも勉強でも優等生、
なのに主人公は特に優秀でもなく、
バレエダンサーになるには欠陥がある、
という設定から始まるのは、
山岸さんの作品『アラベスク』と似ているのですが、
主人公の成長物語と共に、
現代のバレエ事情や、児童ポルノ、DV、医療ミス、
いじめなどの社会問題を
無理なく織り込んで描いているのがすごいです。
要所要所で上手に張られている伏線も気になるところ。

山岸涼子さんだけあって、
やっぱりバレエシーンの絵はとても的確で綺麗!
バレエファンとしてはすごく嬉しいです。
発表会や公演でのエピソードに
「ああ、こんなことあったなあ」って共感したり(笑)。

そして物語の最後では、
今までの伏線が一体何だったのか明らかになり、
涙が止まりませんでした。
悔しくて悲しくて…。

とにかくただのバレエ漫画ではありません。
第一部と第二部合わせて15巻と長編ですが、
バレエに興味の無いという方にも、
ぜひ読んで欲しい作品です。

(きき)

2012-02-25-SAT