少年、傷、孤独、道、成長、つながりで、
三浦健太郎さんの『ベルセルク』をオススメします。
この作品は
ホントは誰かに愛されたいツッパリ少年ガッツが、
過酷な戦場生活のなかで心許せる仲間たちと出会い、
知らずに求めていた友情や愛情といったものに触れ、
歪みきった自分の性根と暗い欲求を乗りこえて、
自らの道を見つけ大人になっていこうとする過程を描く、
中世風ファンタジー活劇です。
大人の女性が見つめた少年の物語が
『3月のライオン』であるとすると、
大人になりきれないオッサンが見つめた少年の物語が
『ベルセルク』であると言えるかもしれません。
主人公を犠牲にして国民的アイドルの座を勝ちえた親友と、
親友に利用され全てを失った敗北者の主人公。
大人になれない迷える少年ガッツは、いかに生きるべきか。
刻まれた傷は癒えるものなのか?
成長するとはどういうことか?
愛されなかった者、愛を失った者、
虐められ、犠牲にされ、食いものにされ、
成長できなかった者のあてどのない怒りと憎しみは
どうすればいいのか?
これらの狂おしく不健康な問いに対する答えの模索が
『ベルセルク』のメインテーマの1つであり、
その感情的で子供じみていて非建設的な過程こそが
この作品の大きな見所であると思います。
(t) |