ほぼ日刊イトイ新聞

マンガでドミノ

今週のマンガ
『うしおととら』
『うしおととら』

著者:藤田和日郎
発行:小学館

満身創痍、でもぜってー負けねえ!!なヒーローつながりで
『うしおととら』をおススメします。

どんな妖怪も滅ぼす力を持つ「獣(けもの)の槍」と
その槍に500年もの間縫いつけられていた
凶暴な人食い妖怪「とら」、
そしてそれをやむなく開放する事になったのが
このマンガの主人公「蒼月 潮(うしお)」です。

この「獣の槍」には明確な意志と目的があり、
その槍に「継承者」と認定されてしまったうしおは
スキあらば彼を食らおうとするとらとともに
人に仇なす妖怪との戦いを余儀なくされます。

毎回死ぬようなキズを負いながら
人や妖怪のために怒り、泣くうしおの姿は痛々しいけれど、
他人の痛みにどこか鈍感になってしまった私に
否応なく本来あるべき人間の姿を見せてくれます。
ここまで強く、自分を投げ出して
人のために何かをできるか?
許せない事を許せないと大声で怒る事ができるだろうか?
大人になっていろんなことに慣れてしまって、
怒ってもどうにもならない事が増えて、
あきらめるクセがいかに身についていたかと言う事に
久しぶりに気付いた作品でした。

20年くらい前のマンガですが、古さはまったく感じません。
むしろ日々のルーチンで
心がちょっと疲れた大人に読んでほしい。
きっとうしおのでっかい愛に元気をもらえると思います。

(なおこ)

2014-01-18-SAT