ITOI
ほぼ日・マーケティング局は
何をしているのか?

アルバイトの募集は、受付終了しています。


「ほぼ日刊イトイ新聞・マーケティング局」の
アルバイトに募集に応募してくださって、
ほんとうにありがとうございました。

◆ヒーヒーとうれしい悲鳴のあがり続ける社内で、
素朴な抽選会を行いまして、あなたは仕事を依頼したい
100名のなかに選ばれてしまいました。
よかったんでしょうか?
後悔してももう引き下がれません。
たっぷり自分の頭と心を運動させて、
意見をだしてくださいね。
◆さて、アルバイトの内容について、
はじめてお伝えします。

これは、ある広告代理店の実験的で意欲的なチームから、
あたらしいマーケティングのあり方について相談を
受けたときからスタートした企画です。

あなたを、バカにしていないが故に、
ながくてめんどくさく思われそうな
話をしなければなりませんが、
ちゃんと読んでもらえますよね?

OK?

この不況の時代に、商品の開発、流通、販売、広告などの
方法が、従来と同じではうまく
機能しなくなってきています。
むろん、調査やマーケティングの手法も同様。

モノやコトを、お客さまは
どう考えているのか?
どう使っているのか?
どう好意を持っているのか?
などについて、さまざまな調査が行われてきましたが、
どうも、納得のいく答えに結びつかない。
「ほんとのところ(!)」がちがってデータ化されているの
ではないかと考えられるのです。

ぼく(darling=イトイ)なりに、
いくつかの仮説はあるのですが、まず、
いちばん肝心なのは、いままでの調査の手法が、
アンケートや面接を「受け手に尋ねる」
というかたちでしかやってこなかったという問題です。

消費者は、「ただの受け手」ではない、のではないか。
使うことのなかには、「考える」「批評する」
「感情を持つ」「アイディアを付加する」
などという生産する側と同様のクリエィティブな
要素がたっぷり含まれているはずだと、思ったのです。
だから、簡単なアンケートや回答を数量ばかり集めても、
次の時代の商品や企業活動のあり方は
見えてこないのではないかと考えていたのです。

これは、「ほぼ日」でも連載している
「シェアウエア」なんかの思想が核になった考えです。
消費者は、別のフィールドでは生産者であるし、
生産者も家に帰れば消費者であるという時代に、
インターネットのネットワークは、
画期的なコミュニケーション構造を
明らかにしてくれたと、思えます。
もっと人間は「つくりたい」のだということが、
よくわかりました。
ただ、いままでは、「使う」こと、というよりも
「買う」ことでしか「つくる」場面に
参加できなかったので消費者はモノをつくることを
あきらめていたのではないでしょうか。

「ほぼ日」は、読者を「裸の王様」
としておだてることなしに、
送り手と受け手の協同のフィールドを
つくっていきたいと思ってきました。
だから、単純な「お客さまの声」なんかを
はなから聞かないでやって来ました。
ぼくは、いままでの「お客さまの声をきいて大事にしよう」
というような考えを、
手品師が観客に「シルクハットの中から
何を出しましょうか?」と聞くようなものだと
思っています。
こんなものは、すぐに飽きられてしまうでしょう。
手品師は、観客が、
「シルクハットの中から何がでてきたら
私はうれしいんだろうか?」と考えてくれたときに、
はじめて
「もっと驚くなもの」を出せるのです。
さらに、観客が、
「私は、こういうものがでたら驚くと考えたけれど、
みんなはどうなんだろう?」とか、
「どうして私はそれを出してくれることを
期待したんだろう」とかの発見の旅にでてくれたら、
手品師は、本当のプロとして、
もっとおもしろいアイディアを
考えなくてはいけなくなるでしょう。

そういうマーケティング手法を、
新しく産みだしたいという「ほぼ日」の考え方に、
その某代理店のチームが乗ってくれたわけです。
そして、この電子メールをつかった
「ブレインストーミング」をやることになったのです。

ここまで読んでくれたアルバイトの諸君に、
さーて本題です。
いいですか。
心理テストではないので反射的に答えないように。
さらに、
「正しい」答えがあるわけではないのですから、
「倫理的に流行的に正しい答え」なんかを
探そうといないでくださいよ。

まず、以下の質問に答えてください。
これは、ただ事実・行動様式を答えるだけですから、
正確であればそれだけで結構です。
(自分で判断していないことについては、
現場の人=例えば洗濯を奥さんにやってもらっている人は、
その奥さんに取材してくださいね)

【返信は、以下のテキストをコピー&ペーストして、
自分の回答を挿入していってください。
二者選択の問題は、不要な答えを削除してください】

====ここからをコピー&ペースト========

Q1
不況になってから
「節約」や「買い控え」するようになった
<生活必需品>はありますか?

あ) ある
な) ない
あるという回答の方は、
その商品をいくつでも記してください。

Q1A
1で「ある」と答えた方に。
その商品<生活必需品>が、
いまの価格よりも2割安くなったら、
「節約」や「買い控え」をストップしますか?

そ)そのまま買い控えを続けるだろう。
や)安くなるなら、元のように買い物をするだろう。

Q1B
1で「ない」と答えた方に。
<生活必需品>以外で、
「節約」や「買い控え」しているものはありますか?

あ)ある
な)ない
あるという回答の方は、その例をあげてください。

Q2
いま、市場に出回っている<生活必需品>を買う時に、
うれしい気分になったことはありますか?

う)ある
な)ない

「ある」と答えた方は、どんな商品であったか、
具体的におぼえていたら、ここに記入してください。
(ある程度あいまいでも、
思い出せる範囲で書いてください)

◆さて、ここからは、時間も労力もかかる質問です。

Q3
ぺ)「歯磨きペースト」(下に余白をつくって記入)

ブ)「歯ブラシ」(下に余白をつくって記入)

セ)「洗濯用の洗剤」(下に余白をつくって記入)

ダ)「台所用の洗剤」(下に余白をつくって記入)

シ)「シャンプー&リンス」(下に余白をつくって記入)

以上の5種類の商品について、
『わたしがこれをつくっている企業のトップなら、
こういうものをつくるのになぁ』
というタイトルで、文章を書いてください。
文章の型式・スタイルは問いません。
他の人に相談したり取材したりも、
むろん、自由です。

※ひとつの項目に「最少でも200文字」分の
情報を書いてください。

5つのすべてについて答えてくださるのが
いちばんうれしいのですが、それはいやだという場合は、
2つ以上を選んで考えてください。

◆思ったより、たいへんな仕事だったと思いますが、
「こんな面倒なことなら、もうしたくない」
と思いましたか?

も)もうしたくない
ま)また、やってみたい

==ここまでをコピー&ペーストして回答記入====

「司会者としての会議進行のヘルプ」

●自分の考えがわかったら、
なぜ、そう思う、そう考えるのかについて
できる限り説明してください。
●突飛なアイディアがほしいのではありません。
「いまある商品」と
「ほんとはほしい商品」との差異がどこにあるのかを、
知るための質問なのです。
●自分が、「私って、じつはこんなことを考えていたのか?
意外だったなぁ」と感想を持つような機会が
訪れることを、たのしんでいただけたら幸いです。
●返信は、このメールの着信後3〜4日でお寄せください。

ほんとうにありがとうございました。
この意見の数々は、代理店を通じて、
ある<生活必需品>をつくっている企業に向けて
「提案書」としてプレゼンテーションされる予定です。
場合によっては、再度メールで質問させていただくことも
ありえますが、その際はよろしくおねがいします。

ほぼ日刊イトイ新聞マーケティング局

1998-12-02-WED

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