糸井 |
今、おもしろいなあと思うんだけど、
動画がリアルタイムで見られますよね。
おそらく2年以内に、実験的には十分ですけど、
各家庭で見れるのは、2年後かな?
技術的にはもうできるんだろうけど。 |
原田 |
今1番問題なのは、
電話代が高い、スピードが遅い。 |
糸井 |
ということは、定額制になれば・・・。 |
原田 |
来年は、一気に。 |
糸井 |
そうすると、今ぼくなんかも
さかんにやろうとしてるんだけど、
テレビ局になるんですよ、じぶんちが。
これをやっちゃって、
仮に動画のコンテンツを
一日に10本出せたとしたら、
東京12チャンネルになっちゃいますよね。
今までだと郵政省認可でなければ
出来なかったところが、
全然ちがうところから、つまり例えば
一般の民家がテレビ局になっちゃう。
それは、海賊放送ですらないわけですよ、
どうとでもできるわけですよね。
これきっと、今までの道から行ったら
ぜったいたどりつかなかったでしょうね。 |
原田 |
そこで強く思うのは、
郵政省のかたともお話をしたのですが、
Eコマースとしての敷居の低い商売が、
誰でもできるようになっていって、
世の中ボーダレスだ、となったときに
行政はモラルの問題だとかをどうするのか?
というのがあるわけですよ。
その点についてわたしが思うのは、
基本的には教育なんだろうということです。
その教育にはもちろん
子供の教育もあれば社会的教育もするし、
経営者も意識革命をおこさないといけません。
たとえばうちの会社での
わたしのリーダーシップのありかたは、
「いかに権限を捨ててリーダーシップを取るか」
なんです。
いかにみんなに思い切って無邪気なことをやらせて、
そのなかでもきちんと秩序を保つという。
例えば、今朝、ある雑誌を見たんです。
広告があって、うちのことが載っている。
その広告を、わたしは見たことなかったんですよ。
そこで普通の会社だったら、担当者呼び出して、
「誰の許可をもらったんだ!」とやるでしょ?
ぼくはそんなことやりません。
その広告がまちがってないから。
やっていることは、すばらしい。
それなら、いいんです。
で、わたしは、たまたま担当者がいたので、
「今度から見してよー」
って、ただ言っただけ。 |
糸井 |
それは単に原田さんが見たいからだね(笑)。 |
原田 |
「これはインパクトあるぞ、
他の社員にも見せたほうがいいんじゃない?」
って、言うわけです。
そういうことが、ルールを決めてしまうと
絶対にやれなくなるんです。
それとおんなじで、
ウェブパブリッシングでも
みんながどんな秩序を持って
コミュニケーションをするかというのを、
許可制認可制みたいにして行政でやるとしたら、
ぜったいに動きが死んじゃうと思います。
インターネットの社会では
そういうことは、意味がないですから。
だから、そこで行政がいかに権限をなくして
リーダーシップをとれるかどうかですよ。
それはやはり、みんなの意識から来るんですよね。
個人個人の、受け手も発信者も
自己責任をきちっと持てるような意識。 |
糸井 |
「ルールが少ないから自由にやれ」
と言われたときに、
今までの日本の文化風土では、
「それがいちばんやなんだよ」
ってなりますよね。その問題が一番悔しいですよね。 |
原田 |
そう、「ルール、作ってよ」ってなる。 |
糸井 |
しばらくはそのあつれきが、
かなり長くつづくんだろうなあ。
(つづく) |