原田 |
ぼくがおもしろいなあと思うのは、
日本人っていうのは、
ものづくりに強いと言いますけど、
いわゆる横並びの競争をやって、
みんながおんなじことをやって、
自分は勝ってるのか負けてるのかを、
横の競争相手を見て
安心しながら商売しているんですよ。
受験勉強でも何でもそうじゃないですか。 |
糸井 |
「あいつはこんなもんだ」って。 |
原田 |
何とかテストとかいうのを受けて、
俺は何番目だっていって頑張ったり安心したりする。
ところがそうじゃなくて、
ルールがないところにどーんと・・・。
それは横並びの競争じゃなくて、
差別化競争をやる、すごい動きが出てきたんですよ。 |
糸井 |
それ、気持ちいいって感じるひとと、
それだけは勘弁してくれ!ってひとがいるよね。 |
原田 |
21世紀のインターネット社会というのを、
いま20代30代の若いひとたちは、
体で感じていると思いますよ。 |
糸井 |
それを原田さんは平気で信じて
言えちゃうからいいんでしょうね。
普通は言えないから、
「じゃあどうやってそう言うんだ、
体で感じてる数は数字でいくつなんだ、
データをもってこい!」
ってなるでしょ。 |
原田 |
ぼくは、今の経営者の世代が、
あえて自分が変わるくらいの
態度を示していかなかったら、
日本は「かわいそう」なままになりますよ。
日本だけ違うぞっていうのは、
ウェブパブリッシングでは絶対にできないんです。
日本人の情報の価値観が
どんどん海外のほうに行ったら、
とんでもないことになりますよ。 |
糸井 |
原田さん自身は、実はけっこう
日本人のメンタリティーを
捨てないでやってこられたはずのひとでしょ? |
原田 |
はい、ぼくはそうですよ。 |
糸井 |
だから、何度か壁にばーんと正面衝突して、
漫画で「壁にひとのかたちをあけて飛び込んだ」
みたいなことを、原田さん、何度かしてるでしょ? |
原田 |
(笑)
ぼくは基本的には「日本人がんばれ」ですよ。
めちゃくちゃ「日本人がんばれ」です。
だから、日本人のいいところも
もちろんよくわかってるつもりですけど、
それでも「日本人わかれよ!」っていうのを、
すごく強く感じますね。 |
糸井 |
俺、それに近いな。 |
原田 |
でしょ? やっぱり日本で生まれ育って、
日本がだめになっちゃったら、
かわいそうですよ。 |
糸井 |
つまり、あっちのほうが進んじゃってるじゃん、
となったら、それに勝とうよっていう気分ですよね。
いいところはもう真似してもいいし。 |
原田 |
産業の歴史を見ても、
大きなところでは自動車も半導体も、
アメリカのインベンションでしょ?
ところが、ビジネスとして成立させてきたのは、
やっぱり日本じゃないですか。
品質とコストと生産性の高さで、
海外との競争に勝っていったわけですよ。
インターネットも、これはまた
アメリカでインベンションが起きている。
それを、日本が今度matureにしてゆくのか?
そこを、いままでの歴史のくりかえしで
日本の経済が発展するかといえば、それは違う。
やっぱり、知恵の勝負なんです。 |
糸井 |
今おもしろいのは、若い子が、
昔は開発したのはアメリカやヨーロッパであっても、
日本人がそれをどう応用するかということで
日本のなかでやってきましたよね。
だけど今は、アメリカのモデルと
まったくおんなじことをしようとしてるから、
開発が2重に真似になっちゃうんですよ。
・・・これ、書くかどうかわからないけど、
ビットバレーの動きって、ぼくだめなんですよ。
どうしても、あのにおいは・・・。
そこまでアメリカとおんなじにしても、
ついていけっこないと思うんですよ。
だから、あそこに参加しないチームに
ぼくは興味あるんです。
例えばポータルサイトというのも、ぼくはそれ、
「おんなじだから意味がない」と思うんですよ。
ポータルを取ろうとする限りは、
どこかで日本政府の小さいのつくるみたいになる。
政治があるのに木村拓哉が視聴率30%取りますよね。
どっちに、みんながこっちを向くかと言えば?
・・・木村拓哉のなかには、
すべてのものは入っていないですよね。
でも、こっち向かせる力は30%ある。
そうしたときに、ポータルという考えかたは、
ほんとは無力なんじゃないかと思うんです。
ぜんぶわたしのところに来なさい、
といったん言ってばらまくというのは、
ほんとは違うんじゃないの?と。
アメリカではポータルの話になりますけど、
ほぼ日刊イトイ新聞としては、
ベースキャンプになってもかまわないんだけど、
「みんな来い」っていうのは絶対無理だと思うんで。 |
原田 |
ポータルという言葉は入り口ということですけど、
そこしか入れないもの、という姿勢でやったら
ポータルサイトなんて成功しないですよ。
ユーザーさんのための、ナビゲーターですよ。
そうじゃなくて、この門をたたかないと
入れないというのがなったら、無理ですよ。
(つづく) |