SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
1999年12月の日記

 

第111回

12月1日・水曜日
ウンナンの某番組で、リハーサル。
たくさんの女性タレントと長い時間ご一緒する。
なにげに話していて、「あっ!」と一人で思ったのが、
顔のキレイなタレントさんは、声も美しいが、
そうでもない方は、それなりのボイスである、という事実。
たとえば、松坂慶子さんの声と、
泉ピンコさんの声を思い浮かべてください。
もちろん、どちらも美しいのですが、
個性の差は歴然としてあります。
これは思うに、たぶんこれは女の子として生まれてきて、
(そろそろ顔を自覚する)、という頃に、
(あ、私の路線って-、こんなもんでいっかー)、
というあきらめから発声されるのが、
癖になってきたのではないか、と思いました。
そんな事を考えつつ、ふと見た山田花子さんは、
かわいい声で顔もおぼこいので、
声は顔から出る、なんて思った。

12月2日・木曜日
ビバリーとCBC。
家に帰って、深夜、録画しといた古館さんと養老さんの
「脳についての番組」を見た。
脳の話って、なんだか特別に
「こんなにわかってるものなのか!」と思うと、
恐くなったりしませんか。
気持ちが悪くなるというか、変にかゆくなるというか。
うまく想像ができないからかなあ。
特に「脳にできた傷について」のVTRが恐かった。
顔を何度もかきむしりながら頑張って見た。
知りたいのに、知らなきゃよかったような世界で、
それでもめずらしく「保存」にと、ビデオの爪を折った。

12月3日・金曜日
年賀状デザインやり直し。
クラリスで作ったら、なぜか印刷方面の方に、
「クラリスだめです」、と言われたため、
「イラストレーター」MAC用買って、1から出直し。
終了後、なんだか腰から疲れて、
いっそのこと「テトリス」を始めてみたら、
やめられなくなってしまった。
ムダな時間を費やすことで、
ざまみれー! みたいな到達感。
誰に向かっての十字キー。
夜、夫が帰ってきてどらどら、と参加。
ぜったい負けたくない!
と思う回ほど負ける事がわかった。
美空ひばり。

12月4日・土曜日
LFでタッタカター、と4時間しゃべる。
そのあと走ってメイクして「TVタックル」。
久しぶりにお会いした黒鉄ヒロシさんと、立ち話など。
終わってから、年末の「天才てれびくん」の総集編を収録。
山崎邦正さん、過去に私がやった
「ジュディマリ」のVTR見ながら、
「矢野顕子さんかと思いました」と、
ニッコリと、とんちんかんなコメント。
この人は、たまに自分に似ているところがある。
ヒトの話をあんまり聞いてないような。
私も私で、つい「なるほどね!」と、
ココロにもない返事を即座に返していた。
そのあと矢野顕子様のコンサートへ。
演奏、凄いことになっていた。
この方はきっと、仕事に前向きになる姿勢が
当たり前の事なのだ。
たちまちプライベートな時間がやってきて、
絶対的に人には見せたくない表情! になった。
自分がふだん思っているプライベートの下に、
もう一枚ありました、とはがされたような。
円形劇場ではなるべくやってほしくないタイプ。
あそこってお互いの顔が、丸見えですからね。
本当に感動すると、
人は立ち上がって喝采! などできるものなのではなく、
むしろ脱力感によろよろ〜、とするものなのか、
なんて思った。

12月5日・日曜日
「ほぼ日」について、のコメント取材。
午後からまた、矢野さんのコンサートへ。
2回目は冷静に聴くため、などと思いまして。
そうでもなかったけど。
帰りがけに葉子ちゃんが、
「ああ、これ(コンサート)で今年も、終わりましたねー」
なんてため息まじりに明るく言ってたけど、
本当にそんなカンジ。
メンタル除夜。
ちょっと早いけど、個人的にはみなさん、
明けましておめでとうございますです。

1999-12-15-WED

第112回

12月6日・月曜日
「北野チャンネル」で、テリー伊藤さんとご一緒する。
テリーさんがよく、
「久しぶりに会うなり挨拶もなく、
いきなりの展開で話を進める」のは有名な話で、
私の知り合いは突然、肩を叩かれたかと思うと、
「あの試合、茶番だよね!」と言われ、
何の試合だったか考えているうちに熱く語りだし、
急に「あ、それじゃね!」と、手を振られたのだそうだ。

ヤノッチはこないだ廊下で会ったので、会釈したら
「近いよね!」と言われ、
「何が? どこが……?」と、集中して考えているうちに
サーッといなくなった、と言っていた。
今日は何を言うかな、と思ってたら、
私と目が合うなり大声で、
「ダメじゃないかっ!!」だった。
「何がなのよ」と言うと、
フフフフ、と何かを思いだすかのような表情で
笑ってスタジオに走っていった。
人はハイという、
ただそれだけの事で、喰われてしまうようだ。

12月7日・火曜日
保護者会へ。
渡されたプリントに驚いた。
冬休み中の子供の諸注意なんだけど、
「深夜の徘徊、ドラッグの乱用、喫煙、飲酒」とある。
乱用て。使用の間違いなんだろうけど。

家に帰ってHPを見たら糸井さん、
「お歳暮、年賀状もやめる事にしました。」
と書いてあって、こっちにも驚いた。
しましたて。過去形て。できるのか。

そりゃ、理屈じゃできるんだけれど、
心の中で「だって、ナニが、アレで、ほら」と、
大人のレールをたどって行くと、
「嫌われるんじゃないの?」という終着駅に着いた。
いやな場所を教えてくれる。
どうも性格がよろしくないようだ。

もしも中森明菜が今そんな事したら、どんな書き方される。
「明菜、お歳暮ゼロ!」
みたいな。
「明菜ついに賀状無視! 業界年始困惑!」
みたいな。

よく、政治家の方針は変えるべき!
なんつって吠えるけど、
個人の政治(しきたり)を変えて行くのには
えらい勇気とエネルギーがいる。
考えただけでしんどくなった。

12月8日・水曜日
年末〆切の原稿2本。
でも字を書くのは好きなので、
ワープロ打ちながら充実の休日ってカンジ。

夕方から家族とスタッフとで、
うまいと噂の焼き肉屋へ。
コドモ、
「お好み焼きの名前が、チヂミ!
覚えやすい! チヂミ!」と、一人で笑ってた。
韓国の言葉って、日本語みたいだからおかしい。
あれ、偶然にも縮んでるような形だし。
韓国でも日本語を笑ってるのかなー。
「お好み・焼きだって! 好みのソテー! カスミダ!」
なんつって。

12月9日・木曜日
ビバリーとCBC。そのあとTBSへ。
スターバックスでカプチーノを買って持って入る。
最近まったく「喫茶店」という場所で
コーヒーを飲んだ事がないなあ、と思った。
なんか古いような。
実家に叱られそうだけど。

TBSでご一緒した女優さんの気の強さが
なんとも面白かった。
普通に会話しているのに、いつのまにか
「最後には絶対勝つ!」
という意気込みが感じられる会話になっているのだ。
「気が強いっすよね!」と言ったら、
雰囲気がラクになるかというと
そういうカンジでもないんだな。

私は時々、どんなに目上の方や年下の人にでも、
空想で“黄色い帽子と、赤か黒のランドセル”を
つけて見てみる。
そうすると、
「このコは、こういうモノが欲しいんだな」とか、
「このコは、まだ愛情からくる傷みたいなのを
 背負ってるんだな」、
「お、まだまだすくすく成長中!」なんてのが、
いったん自分と平等になって
見えてくるような気がするんです。

ニュースに出るような犯罪者にもかぶせて見ると、
シンパシーみたいなのが沸いちゃうんだけど。
この女優さんはとりあえず、
しっかりした優等生でいるよーに、と
親から期待されてきたコドモの姿をかいま見たようだった。

12月10日・金曜日
顔マネ写真を撮りながら、
「そういえば、「ターザン」いいんだってよー、
 連れてってよー」と、夫に言ったら、
「アメリカって国はつくずくターザンのストーリーが
好きだよなあ、何回もリメイクしちゃ
ヒットするってゆう、もう古典芸能なんだよな。
でも混むだろーから、そのうちなー」と言われた。

そういえば、なんでアメリカ人は、
あの話が妙に好きになんだろう。
移民が多いからとか。

そうなると、日本人は本当は、
今まで彼らほどは感動してないような気がしてきた。
スカッとする、だけでいい!みたいな。
そのノリ!いただき!みたいな。
今度行くときは、アメリカ人になった気持ちで、
映画を見てみよう、と、
鈴木あみさんの顔の気持ちに立ちながら決心した。

ところで、こないだ収録した
「熱血!オヤジバトル」という番組が、
年末にロンドンとアメリカでも
放送される事が決まったんだそうです。
そちらに在住でこのHPを見てる方、
ぜひ見つけてくださいな。

1999-12-22-WED

第113回

12月11日・土曜日
ニッポン放送「お願いDJ!ハッピーウイークエンド!」の
生放送のあと、スタッフ全員と早めの忘年会を銀座で。
ただし、この番組でみんなの顔が揃うのは、
番組終わった直後しかないので、お昼間の忘年会。
なんか清潔。軽い。
ヤノッチ、じゃんけん大会でマウンテンバイクをGETした。
しかしまわりからのヤジなどで、
「もうけっこうです」と、返そうとしていた。

家に帰ってもまだ午後4時。
「夜、家族で、映画行こうよー」と誘うが、
コドモは「サラリーマン金太郎」、
夫は「ブレアウイッチ」、私は「ファイトクラブ」と、
意見がバラバラで合わず、
結局三軒茶屋にある2番館でやってた、
「ライフイズビューティフル」を観にいった。
この映画館のボロさ、コンクリートの底冷えの感じ、
トイレの匂い、なつかしかったー。

「ライフイズビューティフル」、
泣けるとは聞いていたが、途中鼻をかみながらも、
(くどい)(くどい)(くどい)と、
何度も自分に訴えかけるもう一人の自分がおかしかった。
監督は誰だ、とパンフを探したら主演の男性だった。

12月12日・日曜日
朝から子供と、
ほうきと軍手とちりとりを持って公園の掃除へ。
これもPTAの仕事なのだ。好きでPTAなわけじゃない。
小学生の親は、全員そうなっとるものなのだ。

掃いてー、掃いてー、ちり取ってー、の1時間。
やっと終わった! と思ってたら、お母さんの一人に
「あの」と声をかけられる。
「もう卒業もあと1年とせまっていますよね。
そこで、清水さんにちょっとご相談が」と言う。
結局「ライブをやってもらえないか」というお話だった。

「あの日差しのきれいな体育館で、
私はほのぼのとしたネタをチョイスし、
知り合いの多いお客さんの中には、
かわいい我が子の顔が見え、緩やかな笑いが広がる……」。
考えただけで鳥肌。
「や、それはちょっと」と逃げたら、
「柄本明さんも、一人芝居をやってくれましたし」
などと言う。柄本め。
「彼はいい人ですよー。先日もですね」
などと噂話でごまかす。
「生理的にイヤです」が一番しっくりくるのだが、
個人に向かって言葉でうまく説明できない。
私はただ、こういう場所では透明でいたいのじゃが。

12月13日・月曜日
TBS生放送。
そのあと雑誌の取材2本。
某道路公団からの取材がおっかしかった。
好きな高速道路は? とか、
印象的な高速道路は? 思い出の高速道路は?
私も途中から、いいかげん出ないわよ! と吹き出し、
一緒に笑った。
こういう人でよかった。
「こういうコメントはどう?」なんつって試作してんの。
夕方、すごくいい曲が浮かんで、カタカナでスコア。
誰も聴かないかわいそうな名曲。

12月14日・火曜日
「笑っていいとも!」で、
マネージャーが主役のコーナーに出る。
ヤノッチは普段からノーメークなので、
メイクさんにちょっと塗られただけで、
眉間にシワを寄せまくっていた。
ドーランって、なんで塗らなきゃならなんだと
自分でも思うんだけど、公的に考えると、
せめて塗らずば。

でも、もっとガッカリくる姿は、
メイク室で見る男性タレント。
男らしいイメージで人気があっても、
メイクを塗ったり落としたりする鏡ごしの姿を見ると、
たちまち悲しい。
あ、この人は慣れてる、なんて思うとよけいに。
おかまか、なんて思えてしまう。
ただし、“おかまっぽい部分”が全くみじんもない人は、
たいしておもしろ味もないという。
女もおかまなのです。

深夜、コドモの具合が悪くなり、
あたふたして夫婦で緊急病院へ。
今年の子供の風邪の症状のようでした。

「8年前もこんなあたふたした夜があったねー」と、
話しながら車で帰った。
私達よりも先にいた隣の親子をよく見たら、
大竹しのぶさん親子だった、というおまけつきで、
お互いびっくりして、妙な初対面の挨拶をした。
大丈夫ですか? ええ、大丈夫です。なんつって。
大丈夫なわけがないから来てるのに。
そんな話をまじめにしていると、
コドモの口角が上がってたので、
「話聞いて笑ってんじゃん」と思ってホッとした。

12月15日・水曜日
「気分は上々」のミレニアム会を温泉地で。
女性陣で「モーニング娘。」にチャレンジ。
「キッツイぞー!」なんて笑ってたんだけど、
さすがはタレントで、みんなメイクなんかしたら、
そこそこ結構見られるようになってしまい、
一人、あわててガン黒メークをほどこす。
セーフ。何が。



でも、お客さんのすべてがタレントという中で、
何かを披露するのって、誰でも結構緊張するものらしく、
みんな、出番が終わったら、
やっとくつろげる、という顔をして飲んでいた。
緊張あんまりなかったのは柳沢慎吾さんくらい。
これだけまわりの誰からも好かれる人気者だというのに、
友達がいる、という姿がイメージできない人も
めずらしいな、なんてニヤニヤと思った。
もちろん実際はいるんでしょうけど。
なんか、いらなそうなのだ。
そこが面白いなあ、と、時々横顔を見つめた。

コドモに電話したら、学校休んだ人は8人もいて、
今、自分は暇なんで「ちゃお」を読んでいる、
と言っていた。

1999-12-25-SAT

第114回

12月16日・木曜日
ラジオ2つとテレビ司会1つ。

家に帰ったら、お歳暮に
おいしそうなラ・フランスが届いていた。
ラ・フランス、名前がいいよね。

梨って、りんごに比べたら
いっつも名前に恵まれてる気がする。
幸水とか、長十郎、20世紀など、
「毎度個性的な商標を考えられます!」みたいなんだけど、
りんごは世界一、国光、紅玉、と、
どことなーく重いカンジ。
顔かわいいのに、明治生まれ、みたいな。
ラ・フランスの送り主は坂上みきさんから、
というのにちょっと驚いて、玄関にいた夫に、
「なんで、わざわざ私にくださったんだろう!」と
食べながら言うと、靴を履きながら
「おまえには、ようなし。」
とゆっくり言われたのが、あまりにもくだらなかった。

12月17日・金曜日
ヤノッチ、私の仕事の少ない時期をうまくとって、
早めの冬休みを取り、今日から北海道へ
スノボー旅へ行った。と言っても4日間だけど。
でも、こんな風にまわりの人間が、
趣味のためにどこかへ行くのって、
見ているだけで生きてる! というカンジがして、
とても好ましい。

私はずーっと前、一人でパリへ行ってみた。
しばらくして夫は、一人で屋久島へ行った。
コドモは来週、スキースクールに参加したい、
つって、群馬に行く。

家族旅行だって、絶対おのおの孤独な(大切な)時間が
生まれるものだけど、個人で行くのって、
もっと「孤独と向き合える状態」を強く作るから、
なんか、神秘的なんです。

12月18日・土曜日
ニッポン放送へ。
赤のセーターに、黒のブーツを履いて入ったら、
たまたま会った若いアナウンサーに、ニヤニヤと
「さすが清水さん、さっそくサンタ・ルックですね!」
とポン、と言われ、
「や、違いますけど!」と言いながら
“ちっ”と腹が立ってた。

クリスマスに向けて、
さりげないサンタ・ルックのおしゃれ。
そんな事をするタレントがいるか。
アナウンサーって職業の人は絶対記号で考えてるな。
なんで私はアナウンサーが嫌いかっていうと、
普段の会話がこんな風にすげー適当で、
言葉のメリハリばっかりいいから。
正義感はともかく、世俗に疎いときてる。

ところで、こーゆー腹が立った時にイヤーなのは、
実は自分なんです。
なんつっても瞬間、自分がひとりぼっちーになるから。
私は、本当に世界で最もかわいそうなのは、
飢えた子供や、身よりのない年寄りよりも、
「何かに激怒してる人」だと思っちゃう。
あれって、最悪の状態よね。

怒ってる人を見つけるたびに、
心の中であめ玉を口に入れたくなる。
かと言ってホントにあめ玉入れると、
その人をいっそう怒らせてしまうときてるんだな。

12月19日・日曜日
またテトリス。
じーんと、とりつかれてるようにやる。
夜中、起きてきたコドモに
「あっ、精神的にやらないで!顔がこわい!」と言われ、
笑ってしまった。
鏡があったら私だって恐い。
すごい真ん中にシワよってんの。
何度やっても夫に負ける。
性格的にそんなはずはないので、それを確かめたいのだ。
落ちてくる形の先を読め、なんて言われると
無性に腹が立つ。

12月20日・月曜日
渋谷に「ジアンジアン」という、
小さなライブスペースがあるんだけど
(私はそこで勝手にデビューしたようなもん)、
悲しいことに、そこがついに閉館されることになり、
『清水ミチコ・ベスト版ラストライブ(泣きマネあり)』が
1月21日と22日(マチネもあり)に決定。
どうせやるんなら、
もうちょっと長くやらせてくれませんか、
立ち見多くて気の毒なんでー、
なんて頼んだんだけど、
「もうこちらのスケジュール、埋まってますんで」、
との事で、残念した。
それにしても、ここがなくなったら、
私もどこでライブをしたらいいか、そろそろ考えねば。
(チケットはさっそく売り切れたそうで、
皆さん、どうもありがとうございました)。
広い場所でやっても、よろしくね!

1999-12-31-FRI

第115回

12月21日・火曜日
「天才てれびくん」収録のため、NHKへ。
すーっと通ろうとしたら、
また警備さんに玄関で呼び止められてしまった。
「またっすかー」と私を笑ってたヤノッチ、
会う人会う人に「テレビ見ました!」
「出てましたね、いいとも!」と声をかけられていた。
立場が逆じゃないの。
あの番組に出たら、ヤノッチ、
たちまち電車の中でも視線を感じるらしい。

一度家に帰って、私たち夫婦と、MIDIという
レコード会社のもと社長の宮田茂樹さんと、3人で会う。
私のCD、インディーズレーベルから出さないか、
というありがたいお話であった。
帰りに夫婦で下北沢をブラブラしながら帰る。

12月22日・水曜日
CX「どーなってるの?」に出演し、
帰りに隣のニッポン放送にちょこっと顔を出した。
今日のビバリーのゲストが、大瀧詠一さんだったので。
そしたら急きょ「乱入せよ」との指示が出され、
野球トークへ参加。
私はまったくの野球音痴なんだけど、
音感だけで、適当にしゃべり、
夫のLP「風街ろまん」にサインしていただいた。
なんか、いい雰囲気だったなー。



そのあと、TBSに行って、
「気分は上々」のスタジオゲスト。
メーク室でのTAKE2の深沢さんの
「今、妻が、生き急いでるんです」の話に笑った。
笑ってはいけないんだけど、
生き急いでるんです、というまじめな表現が。
とにかく私は年上だから、早く死ぬんだから、
日々を充実させないと!と、
体に鞭を打つような毎日で、
「僕はとにかく、休んでほしいんですよ、彼女に……」と
本気で言ってた。
なんだか失礼だけど、いい話だなあ。

12月23日・木曜日
ヤノッチと青山のスポーツクラブへと、生き急いだ。
そのあと洋服を買って、事務所で原稿を書く。
事務所の中川さんが
「こんなメールが!」と笑っていたので、見たら、
「山下達郎さんのCDのテレビCMの、黒人のアップは、
清水さんの顔マネではないでしょうか」というもの。
違うよ。でも、ありえそう。

12月24日・金曜日
コドモ、通知表を渡し、スキースクールへと、
学校からバスに乗って群馬へ出かけた。
わーい、もどるぞ独身生活ー。
この2泊3日、たっぷり遊ぶぞー、
なーんて思いながら、結局「日本青年館」へと急ぐ。
WAHAHA本舗と、坂田明さんらとの
合同ライブがあるのだ。

出番前に裏でやってた、「ガチョーン・ケチャ」の
リハーサル風景見てたらじーん、ときた。
WAHAHAのメンバーは、みんなにうっすら
背中に羽が生えてるのが見える。
なんて汚い天使。

打ち上げ会場で、ヤノッチ、
鈴木慶一さんと電話番号交換していたらしく、
「ふふふ、鈴木さんの、
さすがに知らないっすよね、ふふふ」と
携帯ゆらして自慢していたが、
「おまえ、あのお方はね」と、私が語りだしたら、
「言わないで!深く知ると楽しくしゃべれなくなる!」と
あせっていた。
わかる。うなずいた。


12月25日・土曜日
ニッポン放送「ミュージックソン」に
山田邦子さんのゲストで出演。
「いつも元気だね、ミッちゃん」と言われ、
「でもウチの夫なんか、いっつも元気ないのが
普通なんだよ。テンション低いよー」と言うと
「あ!ウチも!すごく元気ないの!」と言ってて、笑った。
平野レミ夫妻もそっち系じゃない?
なんて言い合ったんだけど、
どっちかが妙に高いと、
低い人と一緒にいたがるものなのかな。
バランス。

家に帰って、「わ、コドモがいない自由時間」が
あと数時間だ、と思い、夫婦で生き急ぎながら
新宿の映画館へ。
「ブレアウイッチプロジェクト」。
しーん。期待しすぎたか。
何も聞かずに行ったらよかったか。
夫も「アイデアいいのに長くて切りたくなった」、
なんて言ってて、ちょうど10分後に上映する映画を
発見し、続けてまたもう1本
「ファイトクラブ」を観た。
これまたもひとつで、
なんか観る側のこっちが衰えたのかな、
なんて言いながら、せめて食事を、と、
新宿ニューヨークグリルへ電話予約するも
クリスマスで満員と断られ、
近所の下北で食事をして散歩して帰った。
家に帰ったら玄関のクリスマスツリーだけが、
一人でずーっと点滅したまま待っていた。

2000-01-01-SAT

第116回

12月26日・日曜日
高平哲郎さんのFMの番組に出た。
「何かやってよー」と言われ、
見るとキーボードもしっかり置いてあった。
なんだかネタやるのもなんだし、どーしよっかなー、
で、思いついたのが、
こないだ打ち上げで、坂田明さんが私に
「井上陽水の、良かったよ」と言うのを、
「井上洋輔よかったよ」と間違ったのを思いだし、
「手は山下洋輔で声は井上陽水」をミックスでやってみた。
ひどかった。
顔がバラバラになったようだった。

コドモ、すごい疲れて帰ってきてて、
「とにかくスキーはすごく楽しかったよ……寝る」。
が、すごく小さい声だった。
コドモも言ってるセリフと顔がバラバラになってた。

12月27日・月曜日
朝から仕事。でも3時には帰宅。
テレビを見ていたコドモに、
「年忘れナントカの“年忘れ”って、どういう意味?」
と聞かれ、一瞬絶句。
みんなで一年を振り返って、さらにそれを忘れよう!
と記念するんでしたっけ。でもなんで。

「忘年会」もそんなカンジですよね。
昔はそんなに「忘れよう!」とするほど
一年が辛かった生活だったのかしら。
でも、年末に近づく頃って、
忘れるどころか、私は心の中で
すごくはしゃぎ出すスイッチが入るのがわかる。
恥ずかしいので、はしゃいでるのを
誰にも察知されないように心がけている。
こんな時、アメ横なんか行ったら鼻血出して失神しそう。
これが、31日がピークで、
元旦になる12時にいつもピッタリ終わってるのだ。

これを言っちゃおしまいだけど、
元旦に、ああめでたい、と、
ホントに実感できてる人っているのかな。
「めでたい」の、この感情がまず難しいよね。

12月28日・火曜日
吉田日出子さんとのロケ番組のナレーションへ。
映像では二人とも、寒さでこごえ死ぬかのような顔で、
もう化粧パリパリ。
その帰りに、路上で、「ジョニー」の人形を
売ってる凄い人だかりの光景を発見。
「ジョニー」って知ってますか?
売り手の人が「ジョニー、ほら、お客さんに立って」
と言うと、それまで座っていたかわいい人形が
本当に立って、「挨拶は?」と言えばぴょこん、
と挨拶してくれる、不思議な小さな、ペラペラの紙の人形。
これがホントに不思議で、
私はずっと昔、思わず路上で買いました。
そしたら、しばらくして、
私の父親もジョニーを買ってた事が判明しました。

この光景を、なんとパリでも見た時は
驚くと同時に妙に感動。
ここでもすごい人だかりだったんです。
しゃべりたかった。
さて、いったいどうなっているしくみだったか、というと、
とにかく誰でも「なるほど!凄い!」
と、うなづけるという。

12月29日・水曜日
ビバリー忘年会。
きれいな店内で、噂どおりものすごくまずい鍋で、
みんなでクスクス笑った。
鍋は普通、誰がどう作ったって、
まずくはなりにくい料理なのに、どうしたらこう。
と、言ってる間に
「そのつみれ鍋の中に、
こちらをしゃぶしゃぶしてください」
と言って牛肉が出た。
この肉がしゃぶしゃぶの薄さではなく、思いきり厚い。
続いて豆腐を出し、
「はい、豪華・湯豆腐になります」と、
まじめに水をさす、そのあっぱれなカンジ。苦しかった。

松村邦洋さんから聞いた
「スチュワーデスとのコンパ」は、
会社によってこんなに違う、
という話が具体的でおもしろかった。

12月30日・木曜日
ビバリーとCBC。
これで、今年の仕事がぜんぶ終わった。
さあ、ライブの構成まとめるぞ、なんて思いながらも、
「あ、行ける、行こう!」と、
コドモを誘って電車で映画「ターザン」へ。
やはり心は妙にはしゃいで(興奮して)いるらしく、
ちょっとした音楽にも泣けて泣けて。
そのあと夫と待ち合わせをし、家族で食事へ。
夫、会うなり「え、ターザン見たんじゃなかったの」と、
泣きはらした顔を指さした。

12月31日・金曜日
こないだ知人から「(この)日記読んで」と連絡があり、
「ちょうどハムスターのコドモを
もらってくれる人を探してる」なんて情報をもらった。
クリスマス頃、と約束したのが、のびのびになって、
なんと大晦日の今日、やっといただけることができた。
かーわいいジャンガリアン。しゃっくりしてた。
名前は「しわす」だそうだ(コドモ命名)。
コドモ、「私、今夜は、最高」と、
偶然にも昔のテレビ番組の名前を言っていた。
心清き友人、高山の公ちゃんから電話があり、長電話する。

2000-01-07-FRI

 
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