SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
1999年1月の日記

第25回

1999年1月1日・木曜日
皆さん、あけましておめでとうございます!
の第一声、名古屋のCBCの鉄柱に登りながら
大声で叫んだ。
なんと年越しは名古屋で迎えたのでした。
山崎邦正、雨上がりのバラエティ番組。
中のスタジオにもどる時には、マジックで、
いきなり小さな箱の中から私がパッと登場する、
というしかけ。
うまくいったけど、知らされてなかった山ちゃんが
あんまり驚いた顔してたので、
それ見てたら、妙な話、
なんだか我ながらびっくりが移ってきた。

隠れるという行動は、けっこうドキドキするもんです。
野沢直子一家が、去年家に来た時、
ウチの家族入れて7人全員で
「かくれんぼ」をやった時も、変な話こわかった。
隠れる方って、あんまり見つけてくれないと、
一人暗い中で、ものすごい寂寥感、孤独感、
あと恐怖に襲われるのです。
ナミダ。
見つけてくれるとホッとします。
皆さんも大人になってから、
ためしに一度やってごらんさい。

お正月

ところで、東京行きの新幹線の中で
それはそれは美しい富士山を見ました。
圧倒ー。できすぎてるー。日本一上手ー。正月似合うー。
ぱちぱちぱちぱち。

1月2日・金曜日
今ごろだけど、大掃除。
というより小掃除を家族で手分けした。
そのあとクラッシュバンディクー2。
今日から禁煙にむけて量をへらす。

1月3日・土曜日
和田誠さんからプレゼントいただく。
何だろうと思ってたら、私の顔のハガキ千枚。
発注してくれてたんでした。
じーん。友達っていいなあ。
明日から禁煙。
このページもしばらく禁煙日記になります。
恥書く事になるかな。
何回決意しとるかわからん。

1999-01-09-SAT

第26回

1月4日・月曜日
新年そうそう、気の利いた
読者さんからメールをいただきました。

------------------------------------
清水ミチコさんの日記、
矢野さんの音楽を深く敬愛する同士ということもあって、
いつも楽しませていただいています。

唐突ですが、読んでいてつい反応してしまったので
メールさせていただきます。
12月17日の日記に書かれていた
> どうして外人たちはいつもそう瞬時に
> イキな事をしゃべれるのか。謎。

ということですが、
現在、米国で仕事をしている私も、これは、凄く感じます。
会社のパーティーやら催し物の時も、自らマイクを取って
スピーチを始めちゃう人が、沢山いるんです。
しかも、皆、場慣れしている。
スピーチの途中に気の利いた科白の一つでも、
という気合いが感じられます。

うちの会社には、アジア系の移民も沢山いるのですが、
彼らや日本人出向者は駄目ですね。
いきなり人前で話そうなんて度胸のある人は少ないし、
いざ喋らせてみても、なんか堅苦しい話しかできない。

どうやら、これは、学校教育で、自己主張の仕方とか、
スピーチのテクニックを叩き込まれているみたいですね。
日本人の価値観だと、スピーチは立派であるべし、
なのに対して、こちらの人々の価値観は、
スピーチでは自分を印象づけるべし、なんだと思います。
日本人が、敬語の使い方に頭をひねっている間に、
米国人は気の利いた言い回しを研究しているようです。

映画と言えば、(古い話ですが)カサブランカなんて、
製作者達が、かっこよさそうな科白を持ち寄って、
それをつなげていってシナリオを作ったということです。
その時代からハリウッドには
「こういうときにはこういう科白」
という膨大なデータベースが蓄積されていて、
今では、映画の基本設定をインプットすれば、
即座に会話部分のシナリオが出力されるシステムが
密かにできあがっているに違いありません。

ということで、
全然エスプリの利いてない文章になってしまいましたが、
今後も日記楽しみにしています。
また、愛情溢れる矢野さんの物まねを
拝見したいと思う今日この頃です。
------------------------------------

という事です。
やはり実感ある言葉は
知りたかったこちらに
わかりやすく入ってくるもんですなあ。
でもやっぱりあったのか、スピーチの学校教育!
ほら見ろ! です。

ところで禁煙今日から開始。
禁煙してる、というのを感じた3時間目あたりで
で、もうプレッシャーになり、吸いたくなる。
いつのまにこんなスモーカーになっちゃったんだろー。
でも達成できた。
少なくとも1日。

1999-01-11-MON

第27回

1月5日・火曜日
今年の年賀状、鈴木その子デザインが目立ってるみたい。

友人と電話で話。
このあいだ、吉村作治さんの講演を
聞きに行ってきたんだそうだ。
ところが、本人、すこぶる機嫌が悪かったのらしい。
そこまで聞いただけで、
「なんかもうおもしろそうな! 聞かせて聞かせて」
とたのむ。
なんと、挨拶でマイクの調子が悪い、と言っては中断、
持ってきたスライドが見えにくいと言ってまた中断、
会場のお客さんたちのマナーの諸注意で中断、と
どんどん雲行きが悪くなる中、
注意されたばかりだというのに、前列のお客さんの
携帯電話が「ぴぴぴぴー」とまぬけな音を立ててしまい、
また、烈火のごとくその人中心に怒ってたのだそうだ。
怒りのショー、だったのだそうだ。
どうも講演やコンサートに行って来たという話は、
どんなに良かったというものよりも、
いかに悲惨だったかという方がだんぜん聞きたくなる。
まさかそれ、録音してないよね? と聞いたら、
あの現場でそんな勇気が出るもんか、
と言っていた。

禁煙した翌朝というのはなんてすがすがしいの。
お口の匂いがきれい。
もちろんお部屋もすがすがしくしてあるの。
掃除して、整理して、新しい机、窓ピカピカ、
アロマテラピーなの。
帰ってきた、新しい私なの。

1月6日・水曜日
コドモの友だち、大橋君が来る。
半ズボンとハイソックス姿。かわいー。
大橋君、(おととし)お母さん亡くなったんだったよねー、
元気になったじゃん、えらいじゃん。と言うと
「ううん。僕ってカワイソーなコドモなの。シクシクー」
と、クレヨンしんちゃん声出しながらすでにコタツに入り、
ドラえもんに手をのばしていた。
じゃーこれ飲んでまた強くなってね、と
おやつにミロとホットケーキ。
そのうち「おばさん、今度サッカー部の男の子たちね、」
と言うので
「おばさん、やなんだけど」
「えええっ、じゃ、おねえさんでえっ?!」
とオーバーにひっくり返るような、
泡でもふきそうなリアクション。かわいー。
なんと同じ小学校のサッカー部のキッズたちが、
「日テレ営業中!」のCMに出るのだそうだ。
すごいじゃん。ハデじゃん。
「あーあコタツ、いいですね。
やっぱり冬はこたつとみかんが、一番ですよね」
と、この人は時々じいさんみたいな事を言う。
みかんないぞ、と言うと
「そういう意味ではないのですうー」とまたもぐった。
二人で一冊のドラえもんを
(次のページ行って)「いい?」
などと聞きながら読んでいた。よく読めるな。
コドモが、
「ママ、アレ、大橋君に聞かせたげるの、ダメ?」
とねだるような口調。
アレ、とは紅白をビデオで見ながら、ふとできた私の
「ダパンプ」のモノマネ。
凄い凄い、とウケてたので、
何回も何回もやってたのでした。
でも「じゃ、大橋君、ダパンプって知ってる?」
と聞くと知らない、と言ったのでやらなかった。

夜、ワインの味がぜんぜん違う。
これまでは一枚、薄ーい、えぐい皮膜が口の中に
貼られていたかのよう。
しかし、深夜にモーレツにタバコ吸いたくなる。
タバコというより、ニコチン欲しいってカンジ。
すごい言葉。はしたない。でもホント。
一本ならいいか、と迷う。
ここで吸ったら、禁煙じゃなくなるのか。
いいえ。1日一本で1ミリ。
吸いました。

1月7日・木曜日
ラジオ2本、生放送の日。
移動の間にバーニーズで買い物。
バーゲンやってて、ラッキー。
しかし財布を忘れているのに気がつき、
サザエさん、マスオさんに電話して
実は今、すごくあなたに似合う服を見つけた、と嘘をつく。
しかし、ホントに来てくれた。ラッキー。
だがしかし、本当に似合う服も見つけてしまい
買ってさしあげるはめに。
美人店員さんが、
私、本当に大好きなんです! ファンなんです!
と、うるむような目つきで真剣に。まあまあ。
ほーっほっほ。いい店じゃない。
支払い、瞬時にちょっといい方のカード出してんの。

車に乗ったらまたタバコが欲しくなり、マスクした。
タバコの本によると、
禁煙すると、ストレス時だけではなく、
機嫌がいい時でも唐突に吸いたくなるものなのだそうだ。
たとえ禁煙して一年ほど吸わなくても、突然の欲求は
ずうっとなくならないものなのだそうだ。
なんちゅうことですか。
禁煙できたという人、心から尊敬しよう。
家に帰ってから、公園を一人ジョギング。
きのうのニコチン流す。

1999-01-12-TUE

第28回

1月8日・金曜日
移動の車の中で磯野きりちゃんから電話。
「ゴルフ行かない?」
私から一番遠そうなスポーツ。びっくり。
まるでセクハラでもされたかのような声で
「やるわけないでしょ! 私が!」と答えた。
「やっぱり! あはははは!」と言って切ったが、
とても嬉しかった。
ゴルフの誘いじたい、生まれて初めてだ。
切る前に「ところで、私、今ね、禁煙してるの!」
と教えた。ふうん、なんで、とそっけない。
だいたいみんなこういう答えだ。
わかってないな。
私は、この禁煙、
自分の中ではもの凄く大きな変身をしていて、
まさに精神的肉体的大改革が起こっているのだが、
これがまったく誰にもわかってもらえないものなのだ。
まず、地味。
初めから吸ってないヒトのノン・スモークと、
禁煙したヒトのそれとでは全然わけが違う。
自己改革なのだ。
だから私は今、禁煙中です!と、
実はテレビでもラジオでも
マイクを持って大きな声で叫びたい。
でもきっと、「で?」で終わる。
しかし、今日は、昼間の禁煙がラクに。
戦いは夜の一人になった時間にあり、
おととい一本吸ったし、という
変な、しかし強い理由にあり。
忘れようとしてやたら身体を働かせるため、
家中がキレイになっていく。
この、好きだけど自ら失恋を選んだの、という歌、
ユーミンの曲にあったな、と思い出しながら
またマスクしつつ、冷蔵庫を掃除。

1月9日・土曜日
内田春菊さんからハガキくる。
「去年のルミネの(私の)イベントに行って」
きたんだそうだ。なんちゅうこっちゃ。
(詳しくは去年の12月11日の日記参照)

ピアノ弾きながらネタ書く。
前より集中力がなくなった気がする。
タバコの効力、悪くなかったんじゃないか、と思う。
そんなバカな。だいたい一番スラスラ書けてたのは
吸ってない高校の頃じゃないか。
でもあの頃は、遊びだったし。
じゃあ、遊びだと思えばいいじゃないか、と一人で会話。

とにかくヤニにまみれるココロとカラダはもうイヤなのだ。
仕事がなくなってもいいから、
ちゃんと自分の好みに生きよう。そう決心したのだった。
カッコいい女だなあ。私って。
禁煙、破り破られながらも今日で6日目。
体重3キロ増えていた。なんちゅうこっちゃ。
顔がおかめになっている。
食べ物がおいしうてならない。
あと、お茶。
コーヒー党だったのに、
初めていろんなお茶がおいしくてしかたない。
紅茶、日本茶、中国茶、がぶがぶ飲みながらも、
まちがいなく味わっている。
知らない品種を探してまわっている。

FMつけたら大瀧詠一さんの声。
日本の歌謡曲について。おもしろかった。
メールした。すぐに返事がきた。
深夜、レンタルショップまでジョギングし、
「スクリーム2」。
夫と観るつもりが、夫、仕事で遅くなり、一人で見た。
ひいっ。茶。きゃあっ。茶。わあっ。茶。

1月10日・日曜日
和田誠さんから電話。
「家で映画上映するんだけどこない?」とのこと。
レギュラー入ってる日で行けなかった。残念。
息子さんの(トライセラトップス)こないだのCD評、
読んだ? と聞くと、
「え、新譜みたいなの出したの? とにかく何も
教えてくれないし、知ってるといやがるみたいなんだ、
テレビも疎いしさあ、全く知らないんだよ」と言う。
芸術家はその家庭では評価されない、と
歴史的に決まっている、と何かの本にあったが、
ここの家では、それが母なのか父なのか子なのか
他人の私すらわからない。

禁煙についてのHP見る。(禁煙マラソン)
しかし、「わかる!わかる!」と読んでいるうちに、
想像でタバコの味が蘇り、にわかに吸いたくなる。
あんまり考えすぎてもダメなようだ。
グレープフルーツ2個食べる。
そのあと歯磨きし、モンダミンをし、パックし、
お風呂に入りながら噂の真相を読み、
汗でニコチン流すとイメージし、
部屋でビル・エバンス聞き、マニュキアをキレイに取り、
ていねいに塗り終えたところで、
「ほぼ日刊」読んで、ついたまらず一服す。
まるで変わった愛好家となっている。
おそるべしニコチン中毒患者。
しかもものすごく効く。くらくら。
しかし、こういう一本の良心のとがめが、
かえって失敗になるのらしい。
とがめないとがめない。
1日1本を目標にして何が悪いか。
悪くない悪くない。

1999-01-14-THU

第29回

1月11日・月曜日

素晴らしい本を紀伊国屋書店で発見。
「禁煙の愉しみ」山村修(洋泉社)。
書き出しを立ち読みしただけで、感動した。
始まりを書いてみましょう。
「禁煙というものは、ミルクのように白い、
いい匂いのするクリーム状のものである。」
どうです。気になるでしょう。
読みたくなるでしょう。

「禁煙するのは、健康のためでもなく、
社会的圧力のためでもない。
味わうに足る人生の快楽である」
凄いわ。
わかるわかると一気に読めた。
いかにその苦しみを面白味に変えていくか、とか、
いかに毎日の時間が不思議に膨張するものか、
禁煙はマラソンなのではなく、ハイジャンプである、
のところなど、本に赤線ひきまくり。
南方熊楠らの禁煙日記(これがぜんぜんダメダメ)なども
著述されてて、
ああみんな一緒じゃない、と感動的ですらある。
一本も吸わず。
シャンらら、ららら、ららっらー、ってカンジ。
(ニュースステーションのCM入る前のテーマ)

1月12日・火曜日
ロケで日大のアメフトチーム「日大フェニックス」へ。
私がアメフトに挑戦するのだ。
アメフトの防具、3キロほどもあるのにびっくりしたが、
防具のみの姿だと、自分が正義の味方みたいな、
ヒーローみたいになるのにも驚いた。
めちゃかっこいい私。
今年はなんだか体育系でいくっす!
アメフトする。

1月13日・水曜日
糸井さんに(私の禁煙)「失敗すればいいと思っている」
などとここのHPに書かれていた。
こういう言葉がどれだけ禁煙者のはげみになるものか、
わかって書いているに違いない。
きっと何度か試みたことのある人間なんだわ。
そして失敗。
原始人なのにいいとこあるじゃない。
(別にそんなつもりじゃなかったりして)。
人に「私、禁煙してるのねー」
なんてしゃべりまくってるくせに、
応援や激励などされたら、とたんにつまずきそうなのだ。
だから、応援しそうな人に会うと、ぜったい話さない。
へーえ、そうなんだー、などと言いつつ、
目の前でタバコ吸ってくれたりする方がたのもしい。

1999-01-20-WED

第30回

1月14日・木曜日
ニッポン放送ビバリーのあと、
1月27日の「東京ナイトフィーバー」リハーサル。
もうチケットが完売だそうだ。
水森亜土さんだけは、初めてお会いしたんだけど、
あのモノマネのイメージと全然違い、かっこいい!
繊細で陽気で、ラフ。
都会の女性像というもの、初めて感じ入り。
七人で本当に「ドレミの歌」を
全員で歌うことになっていた。

最近のこのタバコ離れ。
肩コリ全滅ね。お茶がおいしいね。
もはや禁煙中、という気分ではなく,
あ、禁煙してるんだっけ?
なんて思う時までやってきた。
この時の「?」のマークは水色。

しかし、そのあとラジオで一緒だった女性タレントが
「本当にすてきですよね、天童よしみさんって!」
なんて本気のトーンで言うんで、出た、嘘こけ!
と思い、そんなどうでもいい事で、一服したくなった。
あの流行った「よしみちゃんキーホルダー」とかも、
女子高生による無意識の差別じゃないの。
しかし「それを放送で言ったら負け!」というところが
もどかしい。誰もがやわらかくほめるのだ。
素敵じゃないぞよ、天童よしみは!
それがどうした! 天童よしみ!
「ってそんなにファンでもないんだけど」。

1月15日・金曜日
ABC大阪で、「お笑いコンテスト」の審査員。
おーもしろかった。
今年は本当にレベル高いのだそうだ。
大槻ケンヂさんと一緒、とはつゆ知らず、
たまたま大槻さんの本「のほほんと熱い国へ行く」を
読んでいたので、それを報告→陳謝→雑談→弁当→本番
→休憩→本番→終了→再陳謝。
帰りの新幹線で読み終えた。
インドって、しんどそうだな、
確かさくらももこさんもグチってたもんなあ、
と思いだしながらMDを聞く。バッハ。
東京に着くと、たまたま
「インドロケ」二週間の話がきていた。
行くかやめるか、もの凄く迷う。

コドモが「今日、社会で聞いてきたんだけど」
とちょっと驚いたような顔をしてこんな事を言った。
「かかしって、カラスなどから
守るためにあるんだって!」
当たり前じゃん、なんの為だと思ってたの、と聞くと、
「山や畑にいつもあまりにも人がいないから、
淋しいだろうと思って、なんとなくかかしを置いてあるの」
だと思っていたらしい。
一人で笑っていた。
「こんなんでか」、と両手を上げてかかしのポーズ。
「さみしくないだろうー、なんて」
とコドモもかかしのポーズで答えた。

1月16日・土曜日
顔マネおよびその原稿。
いつも写真は夫に撮ってもらっている。
初・夫婦(めおと)仕事。「なっちゃん」で。

公ちゃんが今日と明日の二泊、遊びにくる。
幼稚園時代からの私の一番長い友達であり、
ウチのコドモのめんどうを見てくれていた人でもある。
現在は高山に住んでいる。
あれ、やせた? と私が聞くのと
太ったねえ! ミッちゃん! とほぼ同時に。
タバコ止めてるんだよ、と言うと
あれまあ、とだけ。
公ちゃん外食嫌いなので、みんなで手巻き寿司、
パスタ、じゃがいも焼き、おすまし、
私がブレンドした3種の緑茶、シュークリーム。

そのあとこたつで地味にトランプ。
七ならべ、大貧民、スピード。
スピード、やっぱり面白い。
いつのまにか声が大きく高く激しくなっていた。

1999-01-22-FRI

第31回

1月17日・日曜日
TVブロス原稿。
食べ物・飲み物がどうにもおいしく、
体重も増加し続けていて、今日1日、絶食を決意。
決意は、私の趣味なのだ。
決意! で立ち上がる事が気分いい。
長続きはしない。それが私の生き方。私流。今井美樹。
飲み物だけで過ごす。
しかし途中から
「梅こぶ茶はよしとする」
「ほとんど水のようなおかゆ・可」
「スープに入っている具は仕方がないとす」
「わかめはノンカロリー」
「お茶づけはローカロリー」
など、結局は絶食ではなく小食。
禁煙に似ている。

1月18日・月曜日
体重1.5キロへっていた。
宝島インタビュー。
終わって、インタビュアーの三獄さんから、
「山田美保子さんに、バカラもらったでしょ!」
と言われる。
「何かのお礼にもらったよ」と答えたのだが、
山田さん、記事で芸能人数名にバカラをプレゼントして、
その時その人たちがどういう反応をしたか、を雑誌に
書いているのだそうだ。
ぬるかった。
そのあと浅草キッドの水道橋博士が
友達を連れて遊びにきた。
博士、この日記を覚えてきたらしく、
コドモにさらーりと
「あれ、今日は大橋君きてないの?」
「ああ、みじめ暮らしごっこやりたいなあ!」
など、なぜ知っているのか不思議がる
コドモの心をくすぐりトリコにした。

「あれ(この禁煙日記)を読んでいると、
タバコがかえっておいしくなるよ」、
などと言いながらさりげなさそうに「葉巻」を吸いだした。
わざわざ買ってここまで持ってきた、というのに笑った。
しかもものすごくサマになってない。
どっちに火をつけていいのかわからなそうだった。
くゆらす、というよりフカシまくり。
ちびっこギャングがやってきた、の巻。

1月19日・火曜日
「ユーガットメール」と「メリーに首ったけ」、試写。
お上品なユーモアと下品なギャグの2本。
ゆうべ2本吸っちゃったし、と深夜に1本。

1月20日・水曜日
恵比寿駅前の歯医者さん、山手歯科へ。
ここで、歯にうっすらついているであろう
長年のタバコのヤニを全部取っていただく事に。
こうして外側からも美しく変えていく。
今日から本当の禁煙がスタート。

ここの先生、やさしいし、何よりすごくいい声。
マスクしてんのにすごく聞きとりやすい声。
毎回感心する。
私の夫もとてもいい声で、昔、私の父は、
夫からかかってきた電話の声を聞いて、
すぐにいい声を出して
「ミチコさん、いらっしゃいますか」
と、受話器渡しながらモノマネしていた。
やっぱうまかった。やっぱって。

だが、それよりいい声。
「今、禁煙していますんで、これを機会に
歯を白く磨いてもらおうと思って」
とわざわざ言うと
「どのくらい」といい声。
「ええ、ぼちぼち2週間になりますか」
と見栄を張ったが、
「2週間ならまだ磨かなくていいんじゃない?」
とせちがらい事を言う。
しかも、医師として一番言ってはいけない一言
「あ」
と、言って虫歯を2本発見された。

1999-01-27-WED

第32回

1月21日・木曜日

LFでビバリー。途中で松本明子さんが顔を出した。
キレイになられていた。
気品というか、凄みというか。
なんだか「キレイになって」という言葉すらはばかられた。
本当に女は女を見るのが好きだ。

彼女の番組で、声優さんがアニメソングを歌うのがある。
「声優さんってどうにも不思議な電波、送ってる時ない?」
と聞いてみた。
これは前々から気になっていたのだ。
なぜそこにバンダナを巻く? というファッションや、
歌に対するテンションの高さ、お化粧、たたずまいなど、
やはり一線を画しているというか、変。
松本さん、返事さけるようにただカラカラと笑っていた。

TBSへ。
映画好きな土井敏之さんに
「キング・オブ・オメディ」見た?
と聞くとまだ見てないとのこと。
すごくおもしろかったので、誰かに
言いたくてたまらない。
山口さん、あいかわらず凄いハイテンション。
「一度こう、裸になって話そうよ」と言うと、
「これで普通ですよっ!」なのだそうだ。
女性版ルー大柴。というか十勝花子さんタイプ?

「女性の禁煙プログラム」という本を買ってみた。
もっともっと自分をうまく
はげましてくれるような本が欲しい。
とりあえず知人三人に「禁煙の愉しみ」を送る。

1月22日・金曜日
WOWOWの鴻上さんの番組に出る。
また浅草キッドさんと一緒。
ふと気がつけば、博士がさりげなく
片手に2本もタバコをさして
吸っているのに気がつき爆笑した。
そんな人はいない。却下。

もとマネージャーのコトミちゃんが
「清水さんってどんな人? とよく聞かれるんだけど、
あの人はテレビよりも生の方がおかしい、と答えている」
と言ってるのだそうだ。
でも、今日は自分でもなるほど、と思った。
いったい何をしゃべってるのか
自分でもよくわからなかった。
めちゃめちゃな話で、鴻上さんもたいへんだな、と思う。
たぶん私には基本的にメッセージというものが皆無なのだ。

1月23日・土曜日
原稿2本。
散歩の途中、ペットショップに家族で行く。
猫が欲しくてたまらない。
猫か犬、あらためてすごく好きだ。
しかし、飼ってはならないマンション住まい。
せめてコドモと私とで、
コドモが前からずっと欲しがってた
「ハムスター買ってください!」とたのむ。
「明日な」。と冷たくもあたたかいお返事。
これからもその甘さでいろよなー。

PANTAさんからメール、読む。
頭脳警察の歌とはまるで違う、二重人格のような軽さ。
や、彼が軽いのではなく、パソコンに手を出す人じたい、
フットワーク軽い人が多いみたい。
コドモ、飼えるかもしれないってことで
ハイテンションになっており、
ちょっとした事で一人でよく笑う。
「明日から毎日、忙しくなるー」などと言う。
ならないわよ、と言うと
「なる」と夫。

今日もまた、しーみじみと一本吸う。
このしみじみ、で本当に今、吸っている自分を感じる。
これまではタバコ吸ってることに意識もなかった。
体の隅々に快感がぷわあっと走るのがたまらない。
夫は「俺は酔っぱらいよりは
タバコ・スパスパの方がいい。吸えよ」なんて言う。
もう禁煙じゃなくて1日一本運動にしよう。
また決心だ。
決心上手だ。

1月24日・日曜日
ハムスター2匹買う。
ペットは初めてのことなので、なんだか新しい風。
顔がかわいい。家もかわいい。
エサ、巣、水やり、すべてがちいさくてかわいい。
「おしっこの匂いのついたものを砂場に置いておけば
ここがトイレだな、と学習します」とのこと。
かしこいじゃない。
いろいろペットショップの人に説明してもらったのだが、
私が「夜はどのようにしたらいいのか」
という質問をしようとして
「先生、あの」
と呼びかけてしまい、恥ずかしい。

箱を開けたら震えていた。これまたかわいい。
「今、家に(ハムスターが)本当にいるのが
信じられない!」
とコドモ。
カゴに放つと動きまわる。
なにしても、どう見てもかわいい。
ただ集中して見てるコドモもの横顔かわいい。
でもさわったあとは、きっちり手を洗ってんの。
それはそれ、なんですな。

鶴見済の「檻の中のダンス」おもしろい。

1999-02-02-TUE

第33回

1月25日・月曜日
仕事に行く前にピアノ。
ドアのピンポンが鳴って中断。
コドモの友達4名わやわやとやってきた。
大橋君もいる。
私は大橋君のですます調のしゃべりが
本当にかわいくてしかたがない。
それを聞きたいがためにわざわざ質問するほどだ。
コドモたちの会話の中に
「ロクだ! ロックだなあ!」というのが何度か出てきてて、
「それってなんなの、大橋君」とさりげなく指名。
大橋君
「ロクでもない、ってことの反対の意味ですー」
と言う。
たいへんカッコいい事を意味するのだそうだ。
「ばかうけ」と「蒟蒻畑(ライチ)」「牛乳」を出した。
4時になり、
「じゃ、私は出ますから、みなさんごゆっくりー」
と言うと、みんな口々に「いってらっしゃーい」と
照れたカンジで答えた。
帰ったら10枚ほど、絵が残っていた。お絵かきでしたか。
しかしオリジナル見たいのにどれも丁寧なポケモンばかり。

1月26日・火曜日
明日の洋服を買いに伊勢丹へ。
バーゲンやってて、しかもこれ、というのがなく、
がっかりしつつ、手持ちので出ることにする。

1月27日・水曜日
本番。
タバコなしでの本番に挑むのはデビューして初めてだ。
「やっぱりスパスパ吸ってる声帯で出るのと、
吸わないのどとでは全然声そのものが違った」
なんて思えられたらいいな。
そう思ったが、実感としちゃ全く同じだった。
リハでタモリさんが
「ミッちゃんコドモ、大きくなった?」
と聞くので
「うん! 今10才で、
産んだ時よりかわいく感じるもんなのねー」
と言い、
「タモリさんとこも、奥さん、大きくなった?」
とさりげなく聞くと
「うん! 今60でさ。
還暦前のがかわいく感じるもんなのねー。」
と言った。
タモリさんのチックコリアのネタは、
私にとっての大きなもの。
本番を、着替えながら楽屋で見てて、
なんだか感動に近い状態になってしまった。
ミスターボージャングル、だ。
2部は、司会に黒柳さんで「天国の部屋」。
ゲストが故人ばっかりで、今日のニュースを語る。
タモリさんは寺山修司、小松さん淀川長治、
団さんが三船敏郎さん、という設定。
みんながとりつかれたようにやってて面白かった。
もっといろんな女性になってやってみたくなる。
こんなチャンスは(モノマネ同志で話す設定)案外ない。
私は最年少だった。こんな時がまだあるんだなあ。
どこへ行っても年長さんクラスなのに。

 

天国の部屋リハ

うちあげでホワイトへ。
たいへん尊敬する方とぐうぜんお会いし、
さることがおこり、個人的に感動的な一場面に。
こんな事があるんだなあ。
何も食べてなかったのも手伝って、
ナミダ出そうになる。B型よの。
本当に空腹はデリカシーを太らせる。

山下洋輔さんもいらしてて、
いかに尊敬しているかという意味の事を
理路整然と言われる。
またお世辞だよ、と思うがやはり嬉しくなり、
今日は本当にいろいろと凝縮したいい1日になった。
凄い誕生日だった。
家に帰ったら花がたくさん届いていた。
生け花をし、その途中で寝た。

1月28日・木曜日
コドモから誕生日プレゼントとして絵をもらう。
夫も私も毎年誕生日に絵をもらう。
今年はちょっと、恒例だから、というカンジの、
ちゃらちゃらっと書いたような絵で、義理を感じる。
成長するなよなあ、と思った。

昨夜のライブに高田文夫さんもいらしてたらしく、
ラジオの本番で冷やかされる。
そのあとTBS。
結局一日中頭痛がして何も食べられなかった。

この二日で体重ちゃんともとにもどってる。
頭部に傷(たんこぶ)があり、
ヤノッチに、なんでだろう、気持ち悪いわ、と愚痴ると
「ゆうべ、ずっと店で(連弾で)ピアノ弾きながら、
今日! 楽しい! と言いながらいたるところで、
頭を打っていた」のだそうだ。
じゃ、私けっこうカッコ悪かったかな、と聞くと
私はヒキました、との事。
映画のような1シーン、夢だったのか。
いろいろ悪いわね、ありがとね、と言う。
いえ。とヤノッチ。
ちゃんとした感謝は親しい人ほど照れくさい。
ヤノッチも照れている。
こんな時はタバコを吸えた。
ひっそり地味にウーロン茶飴をなめた。

第34回

1月29日・金曜日
番組で滝大作さんゲスト。
楽屋で西条昇さんの話題。
由紀さおりさんもゲスト。上品だった。
実は私の中で「ナマで会って上品な女性芸能人」の
ベスト2位なのだ。
(1位は菅井きんさん)。

そのあと、劇団四季のライオンキングへ。
ミュージカルだった。当たり前だ。
パンフを見たらまた浅利慶太さんが暗い顔で
バーンと出ておられる。
これまたライオン(ムファサ)にそっくり。
いつも何に苦悩しておられるのだ。
一度ほんがらかに歌ってみたらどうかな。

留守録画しておいたWOWOWで、
夫と一緒にキッドさん推薦の映画
「モハメッドアリかけがえのない日々」を見る。
興奮して2度見た。
2度目はアリさんの
胸のすくようなセリフを覚えようと思って見た。
偶然、西条昇の毎日新聞の私の記事が届いていて、
「PATE屋」にいたころ(暗かったらしい)
の自分にフラッシュバック。
今でも暗いところあるけど、
当時は暗い前に重かった。(体重)
禁煙、良好。

1月30日・土曜日
取材。
女性は本当に人から幸せに見える自分が好物だなー。

コドモと二人、自転車で笹塚図書館へ。
「立ちこぎでついておいで!」
というのに、立ちこぎは学校で禁止だ、と言う。
このキマジメさに腹がたち、(この人いつもこう)
じゃ、私しゃお先に、と言ってスーと到着。
コドモまた「冬の日のコンサート」借りていた。
「それ、前も一回借りてたじゃない?」
と言うと、
「好きだから」
と、ちょっと無視した態度。
帰り、道の途中で鉄棒をした。
「へえっ! 逆上がり、できるんだー」
と、さっきのムードを忘れてるように驚いてやると
2度やっていた。

しゃぶしゃぶ食べる。

1月31日・日曜日
電話でおこされる。
また墓地のセールス。
塾か墓地か、クリーニングか、マンションか、
いつもこの4つのどれかだ。

ハムスターの名前、まだ決めておらず、
「ハムちゃんとスターちゃんでどう」、
と言ったら、そんなのイヤだ、ださい、と言いつつ
「マウとスーにしたい」と言う。
同じじゃないか。
しかもややパクリじゃないか。
2匹の顔がそっくりで見分けがつかず、
1匹のしっぽの部分に赤マジックで色つけようよ、
と言ったら猛反対された。
コドモが外に遊びに行ってる間につけてやった。

深夜、1ミリ一本。
「禁煙日記」は「ほぼ禁煙日記」にすべきだったか。

1999-02-11-THU

BACK
戻る