Yeah!Yeah!Yeah!
マイクロソフトの
古川会長がやってきた。

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糸井 アメリカでの総インターネット人口って
どれくらいなんですか。
古川 3000万……4000万人くらいかな。

編集長
AOLの発表で4000万。
古川 トータルで8000万くらいには……。
糸井 8000万人になったら、ものは売れる!
Mさん、買う? インターネットで、もの。
買ったことも……ないではないですね。
高校の同級生で、主婦やってる人が7、8人いるうちで、
メールが使える人が4人います。
4人になってくると、「じゃあ私もパソコン買うわ」って。
糸井 そう、臨界点を越えるんですよね。
古川 僕、自動車買っちゃいました。
私、so-netのモモちゃん買いましたよ。
ポストペットの、くま。
秘書 私、ワイン買いました。
糸井 毎月、お金をとられるのはいやでしょう?
ううん、ポストペットの会費払ってます、毎月。
糸井 ポストペットの八谷さんっていつか会ってみると
いいと思うんだけど、本当はアーティストなんですよ。
作品をつくる人なんですね。
でも元いた会社がマーケティング屋さんだったんですよ。
そこでマーケティングも、まあ、企業間戦争の
軍人さんやってて、本当はアーティストで、
両方覚えちゃった人なんです。
で、マーケの会社やめて、アーティストに戻る、
って言って「ポストペット」なんですよ。
だからあれは、儲かるつもり、本当になかったんですよね。
でもあれは、裏で、お金にするしくみが、
すごくしっかりしてますよね。
それの担当の人はソニー側にいらっしゃるんですか。
糸井 あれはね、八谷さんも、じつは、わかってるの。
だから、ソニー側から「こうしたら?」っていうと、
八谷さんはアーティストだけれども、
「なるほど。やりましょう。でも、これは逆にこうしたら」
という考えを持ってる。両方、半分素人、半分玄人、
みたいなかんじで。
うちのランキングで、1月から6月、全ジャンルで
いちばん売れたソフトがポストペットなんですよ。
「キャラクターものでしょ?
クマがかわいいからやるんでしょ?」と言うけど、
違うんですよね。
糸井 今はちがうんだけど、僕、ポケモンつくってる会社の
社長だったんですよ。僕が、古川さんと同じで
「社長をやめる」って言った時、ポケモンが出来てたんで、
「あとは立体化するのをどうするかだけを考えてくれ」
って言ってサヨナラしたんですけど、
最初はアニメから始めたんですよ。
手も足りないし人もいないんで、
「糸井さん脚本だけやってくれないか」
って言われたんだけど、そんなことやってたら
俺、やめた理由ないじゃない、って断って。

結局、「物(ぶつ)」そのものの周囲と、時間軸。
これをどうつくっていくか、が勝負だったんですね。
ポスペもまったく同じですよ。
現物の周辺の、じゅんさいのプルプルみたいな部分と、
それが時間軸でどういうふうに流れていくのかということ。
下手したらここ、上手くいくとここ、っていうところを
両方考えといて、物そのもので収益とれるように
できているわけですよ、最初から。

あとの部分、っていうのは、動きの収益なんですよ。
ポケモンの場合、カードのほうが
儲かっているんじゃないですか。ポケモンカードのほうが。
……わかるんだけどね。
実際に、自分が指揮するとダメなんですよ、俺。
倒れないだけ、っていうチャンピオンになっちゃうんですよ。
古川 インターネットのできるデバイスを
家庭電気製品に組み込むときに、
セット・トップ・ボックス、箱にしますっていう話と、
テレビの内側に入れちゃいましょうっていう話と、
それから壁掛けだとか、プロジェクションTVの場合は、
パソコンらしくない箱なんだけど、AV機器みたいな顔を
しているものがあって、直接連動するとかね。
3メーター先に小さな画面がある、っていう状態ではなしに、
リビングの壁面全部が仕事をする環境になったら
どうだろう、という話なんですよ。
壁面全部をテレビにしておいて、自分の意識が
乗り移っていった瞬間に、それに関連した映像を
引き連れてくるというような……。
糸井 これは、そんなに遠い将来ではないっていうことですね。
古川 技術的にはもうできます。あとはコスト。
それからテレビ画面にしても、プラズマディスプレイが
百何十万円しているような状態だから、
やっぱちょっとしんどい。
20インチから40インチのLCDなりプラズマなり、
30万から40万円くらいのレンジまで降りてきて、
30万円以下になった瞬間にまたひとつ越える。
こういうデバイスをうまく組み合わせてなにか、こう、
ひとつの形をつくっていきたいと思いますね。
糸井 いま古川さんが言ったイメージって、
2年先くらいのかんじですか。
古川 そうですね。商品としては完成しているんだけど、
商品化するのはそれくらいかかるかもしれない。
糸井 ……こういう話って、全然、知らないねえ……。
伝わるべき人に伝わっていないってことですよね。
糸井 僕はマイクロソフトってOSつくってて、
「OSで勝った人」っていうイメージしかなかった。
古川 (パソコン画面を見て)
あ、ほら、インターネット中継でこれくらいの映像が。
糸井 キャロル・キングだ!
古川 これ700kbpsでしょ。
光ファイバーでも、来年くらいからは携帯電話でも
これくらいのスピードになりますよ。
放送のパイプを使わなくても
通信用のパイプで映像が見られるようになる、
糸井 そうですか!
これは誰ですか。いしだあゆみですか!?
古川 ……セリーヌ・ディオン。
糸井 これは?
古川 グロリア・エステファン。
アメリカのカントリーの、それこそ都はるみ。
これはハードディスクに入れたMPEG4っていう
データファイルで再生しているんですけれど、
いままでのビデオCDともDVDとも違うもので、
自由に再生スピードが変えられるんです。
糸井 これスピーカーつけたくなりますね。
古川 スピーカーで鳴らすとかなり、
「うそでしょ」っていうくらいいい音ですよ。
糸井 ここで言うのもなんだけど、
エロの世界ががんばるでしょうね。
いまインターネットでいちばん有能な人が多いのが
エロの世界ですね。
糸井 工夫もあるしね。
それからインターネットで可能性があるなと思うのは
じつはスポーツクラブなんです。
カルテを自分用のパスワードでインターネット上に入れて、
自分の進歩がグラフになってたりしたら
励みになりますよね。
秘書 いちど、95年にそういうもののデモを
つくったんですよね。
デモテープまでつくって。
古川 ダイエット・オン・デマンドってね。
自分の体重の推移とかっていうのはあんまり他人に
言いたくもないし、そのときに自分でちゃんとリモコンで
操作しながら……面白いのは、1時間の番組でも、
30分でもいいんですけれど、ひとつのサイクルで
全部流しちゃうと、「この人の場合には」っていう
相関関係がね、「この運動を2回、これは3回
やったほうがいい」っていうときに、
さっきのハードディスクの話になるんですけれど
瞬時に戻ることができるから、
これを2回繰り返しましょうというと、
15分の番組が、その人によって
バリエーションをもちながら再生できる。
テープだったら、巻き戻さなくちゃいけないでしょ。
秘書 古川さん、唇から血が!
糸井 しゃべりすぎて乾いちゃいましたか。カラカラ。
一同 (笑)。
古川 (笑)そういうことを自動的にやれると、
一つの番組を放映しながら、その人にあった見方で
再生ができる、ということ。
糸井 そうすると、通信教育ができますね。
スポーツトレーナーの大川さんをたきつけて、
トレーニングの通信教育をやったらどうかなぁ。
大川さんというのは、メディアがみんな、野茂投手のことを、
「もうダメだ」って言ってたときに、
「今年活躍するはずだ!」って言い張ってた人です。
自分が野茂投手のトレーニングを見てたから。
古川 さわりの部分だけは配っておいて、
お金を払ってくれたら鍵が開く、とかね。
糸井 そうですね。
でも、トレーニングって、自分一人じゃやらないんだよね。
もうひとつ、おいしいふうにいうと、
ライバルをネット上で探す、っていうやり方もあるんですよ。
仮に、誰さんと誰さんをチームにしましょう、
どうでしょうか、って張り合うというやり方。
私、妊婦に間違えられて席を譲られたことが
二度あるんです……。せっかく入ったスポーツクラブも、
一度も行かなかったので、これは会費がもったいないって、
キャンセルしたところなんですよ。
編集長 自分のホームページで、
体脂肪と体重との指数を出してみるとか。
糸井 (笑)ムダなこと、しなくていいって!
でも僕もそうですからねえ。
さらけ出してなんぼ、みたいな。
古川さんも、相当、さらけ出してますね(笑)。
今日の話を聞いてても、
「個人」が入っちゃうじゃないですか。つい。
これしかないですかね、方法はね。分けられないよ今。

(つづく)

1999-12-23-THU

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