音楽やってる女子高生通信
(from N.Y.)

VOL.10
『卒業』

突然ですが「音楽もやってる女子高生」は
終了いたしまして、次回から改名させて頂いちゃいます。
なぜならば、もう女子高生じゃ
なくなっちゃったのですよぉ。
なんか新しいのを考えなきゃ。
イトイさん、どうしましょう。
「ぼ〜っとした」もどうなるのかしら、来年。

6月25日、12年間の義務教育を無事終えました〜〜。
卒業式はアメリカ独特の、超明るいもので、
日本の卒業式のセンチメンタリズムの
セの字も感じられない!
校庭(とはいってもフットボール・フィールド、
つまり原っぱ)に簡単なステージを建てて、
卒業生は椅子に座って、父兄用に
(競技を鑑賞する時のような)ベンチを周りに並べて、
あとの人は周りの原っぱに座って見るの。
その日はピッカピカに晴れて、毎年11時からだったのが、
暑すぎるといって10時スタートになったんですが
そんなに意味はなくて、あっついあっつい。

さらに卒業生は大学映画によくあるような
スクールカラーのワイン色のキャップ(あの四角い帽子)&
ガウンを着ていて、まさにサウナ状態。
当日は朝7時にリハーサルがあって、
もうみんな寝不足ドロドロの状態で足引きずって来て
フィールドに並んだりするんだけど、
もうその頃既に陽がこれでもかとばかり照りつけていて、
周りに並ぶアメリカ人生徒達が
「あ、MIU溶けてるよ」って。
日光アレルギーなので直射日光がかなり苦手で、
目に見えてドンドン弱ってゆくから
みんなにいつも心配されるんですが。
肩で息をするようになったらもう溶けてきてる証拠です。
で、リハ終って一回うちに帰って着替えておめかしして、
ビニールから出したばっかりでクシャクシャなガウンに
アイロンをかけて、9時半頃本番に戻ってくるの。

本番、父兄や先生や友だちが見守る中歩いていくのは
とっても照れたなぁ。式はみんなのお気に入りの先生が
二人くらいスピーチしたんだけど、
その二人はほんとにくだけてるというか...
生徒と同レベルで遊べる人。
ほんとに愛してくれてたんだなって分かる。
男の教師のほうが最後泣きそうになっちゃって...
その瞬間だけはみんなもキュンときていたかもしれない。
生徒が数人と校長先生のスピーチの時は、
ビーチボールがどっかから飛び出す。
これはアメリカの卒業式のお約束で、
スピーチの最中に卒業生の間でポーンポーンとかいって
回すの。みんな一応真面目に座ってるから、ボールとか
風船とか出るとおかしいんだよー。
リハの時散々ダメって言われたけど、懲りずに
持ってきたやつがいるのねー。
隣の子がシャボン玉を隠し持って来てたから貸してもらって
一生懸命ふいたけど人数少なくて目立たズ。
ビーチボールもすぐに取り上げられてました。
みんなチェッとかって。

そしてやっとディプロマ(卒業証書)。
一人一人名前を呼ばれてステージに取りにいって、
校長先生と握手して、っていうのは日本と同じなのかな。
こっちのディプロマは筒に丸めて入ってるんじゃなくて、
15cmx20cmくらいのサイズの
ちょっと立派なフォルダーに入ってる。
みんながもらい終った後、校長先生が
「正式に、あなた方は卒業しました!」と言うと
私たちは帽子についてるタッセル
(99という飾りのついた房)を右側に移して、
先生が「CONGRATULATIONS CLASS OF 1999!!!」
と宣言すると、帽子をいっせいに高ーく放り投げる!
この瞬間のために全てあったのです。終了。
この帽子とガウンは後で返すものでタッセルは
もらっていいんだけど、自分で投げた帽子が
自分のとこ戻ってくる確率はひじょーに低いので、
賢い人は投げる前にタッセルだけはずしておくんですね。
とりあえずそのへんに散らばってる帽子を
適当に拾ってすぐ返しに行くの。
あとはもう適当に、祝福する父兄やら友だちやらと
入り交じってワイワイやって友だちと写真撮って
帰るという。

卒業式が終っても実感がないんだけれど。
リハやってるときも、みんなで
「あれ? なにしに来てるんだっけ??」って言ってたし、
本番数分前になってブラスバンドの演奏が始まってやっと
「そういえば卒業するんだっけーー」とか言い合ってたし。
みんなそう。実感なんてない。
高校までずっと義務教育だからみんな
(多くの子たちは幼稚園から!)
ずっと一緒に育ってきていて、
これでみんなといきなりお別れっていうのは、
そんなにはみんなと親しくしてこなかった私にとってさえも
ただただ「変な感じ」。

今もね、夏休みだからみんなに逢わないのは当り前。
9月になって新学期が始まっても
ハイスクールに行かなくてもいい、
ってなったら初めて「おぉ...」と思うのかも。
個人的には、前日まで日本にいたお父さんが
このためにニューヨーク帰ってきてくれて、
「ワーオ」と思った、って感じです。そんな卒業式でした。
とりあえず一つの時代が終わりました。

love, miumiu

1999-08-09-MON

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