宮村 |
身長がないとかそういうので
モデルになれないとか、
顔はかわいいんだけど
スタイルがあまりよくないとか。
でもヘアの写真を撮るとすごくかわいいとか。
そういう面では、素人さんのほうが。
読んでるひとも、
「ああ、これプロのモデルだろうな」
という見方ではなくて、
「素人でもけっこうかわいくなれるんだ、
じゃあわたしもこうなれるんだな」
というひとが、すごい殺到したと思います。
だから、ほんとにいいスタイルをつくって
それが受けると、そのひとつのスタイルで
だいたい200人から300人のお客が来るんですよ。
それの積み重ねというか。
まあヒットヘアーと呼ばれるんですけど。 |
糸井 |
200から300の商品と考えると、
だいたいひとりあたりいくらなんですか? |
宮村 |
だいたい12000円くらいですね。 |
糸井 |
そうすると、200とすると、240万。
1クリエイティブが240万の売上なんだ。
・・・案外、安いね。
200とか300回転すると、終わらせるの? |
宮村 |
飽きちゃうんですね。 |
糸井 |
それはつくる側が?見てる側が? |
宮村 |
つくる側もそうですし、たぶん見てる側も。 |
糸井 |
両方が。 |
宮村 |
200人300人というひとたちが
それをやって、また次々とどんどん出てきて、
またいいものがあれば、またそうなったり。 |
糸井 |
おもしろいなあそれ。
そんな話、きいたことないよ。今まで。 |
宮村 |
それが集客をするための1番の近道ですね。
例えば200人来ました、ってなったときに、
それで終わりにしてはいけないんです。
それで終わればそれまでなんですけど、
200人のひとが、今日カットして
明日会社とか学校とかに行くと、
「どうしたの?それ、どこでやったの?」
ってなるじゃないですか。
そしたらもう、
「ヘアディメンション」
「え、誰がやったの?」
「宮村さん」
「え、じゃあわたしも今度行く」
って、そしたら自然な広告になるじゃないですか。
そっから200人が400人、
400人が800人になっていくじゃないですか。
そこで紹介して、来てくれるようになったら
ぼくたちの勝ちなんですよ。
切ったところで終わってしまって
「もう来たくない」
「こんなもんかなあ」
というようになったら
ぼくらの負けなんですけど。 |
糸井 |
じゃあ一方では街に出て
モデルスカウトのような
足をつかうことをしながら、
言わば200人売り切り商品というか
次のカットのデザインを考えているわけだ。
その研究っていうのはどうやってるの? |
宮村 |
ボブが流行ったあとに急に
ロングが流行ることはないんですよ。 |
糸井 |
ないね(笑)。 |
宮村 |
それはもう、
美容師の無責任な提案になってしまうので。
切ったからには、
今度はそこからの微妙な変化ですよね。
そこからパーマをかけたりとか
カラー入れたりとか前髪つくったりとか。
そこらへんのちょっとのニュアンスを変える、
それを提案してゆくことになりますね。 |
糸井 |
研究会みたいなのはあるんですか? |
宮村 |
そういうのは特にしないんです。
出したものに対して、
これはこうやってこうパーマした、
とかいうのをスタッフ内では知らせますけど。 |
糸井 |
でもさ、美容師の間は、
ライバルじゃないですかある意味。
でも、同時にチームですよね。
その関係ってすごく興味あるんですけど。
「これは教えねえ」っていうのもあるでしょ? |
宮村 |
はい。プライドの高いやつは、
例えばぼくが1番下で、仮にいいものを
つくっちゃったとするじゃないですか。
先輩としては、
「そんな、お前のなんかきくわけないじゃん」
そういうひとも、かげでこっそり、
どうやって切ってるのかなあ、って見たりする。
後輩には「こうやるんだよ」と言えば
素直にみんなきいてくれるんですけど、
そういう盗み見とか・・・。 |
糸井 |
それはおもしろそうだねー。
きついけど、1番楽しいよね!
やっぱり、やきもちやいたりするんでしょ。
「こんないいの、つくりやがって」とか。 |
宮村 |
そうですね。
逆にぼくが後輩にいいのをつくられたりすると、
「何だよ、じゃあこっちも、
それに負けねえもんをつくろうか」
っていうことになって、
知らないうちにどんどん高くなっていく。 |
糸井 |
はー。その話が1番わくわくするなー。
そうすると、メディアに
自分たちをばらまいている時期というのは、
そういう事実をたくさんのひとに
知らせたいというよりは、
「俺らがこういうところにいるんだよ」
というのを、いつも確認していたい
というだけだったみたいな気がするね。 |
宮村 |
そうですね。 |