お母さんって、ヘン!?
うちのおかんは、こんなんです。
「くまんばちがとんできた」発売記念
──娘が語る、わが母の妙。
その1)母が妙だと、いつ気づいたのか?
お弁当は茶色いものなのか? および
母親が男名前で呼ばれることについて。
ほぼ日
自分のお母さんが
よそのお母さんと、
ちょっと違うかも・・・って、思ってた?
スガノ
私ね、18まで実家に住んでて
それから一人暮らししたんですけど、
そこまであんまり
自分のお母さんが変だって
気付かなかったのよ。
変なことは、あったんだけど。
きょうこ
どんな?
スガノ
学校でお昼にお弁当パッて開けたら
白いご飯にスイカだけ
だった。とか。
一同
うわー(驚)。
美雨
すいか、だけ?
おかずがすいかなの?
スガノ
すいかだけだったの!
で、兄がいるんですけど、兄に、
「お兄ちゃん、今日スイカと御飯だけやったわぁ」
って言ったら、兄が、
「
俺はビワやったぁ
」。
ゆうこ
お弁当シリーズで言うなら、
私が中学校の時にお弁当の日があって
ママがお弁当を作ってくれたのね。
みんなで班になって
「お弁当食べよう」って開けると、
うちだけ茶色いの。
きょうこ
あー、うちも茶系だったよ。
お弁当って茶系のものだよね?
ちがうのー?
ほぼ日
え? それは何? 何で茶色?
美雨
煮物系?
ゆうこ
いや、煮物なんて入らない。
炒めもん系。どさっと。
まいこ
と、卵焼きと。
ほかの子のお弁当ってね、
緑や赤や黄色で、きれいなの。
なのに、うちは全部茶色いの。
美雨
ほかの家の子のお弁当には、
トマトだとかブロッコリだとか入ってて
きれいなのね。
ゆうこ
せめて
卵焼き
は黄色かと思うでしょ、
それが
やっぱり茶色い
の!
しょうゆ多すぎなの。
それを友達に指摘されたの。
それから自分で作るようになったね。
まいこ
そう、自分で。
きょうこ
それ、うちのお姉ちゃんパターン。
まったく同じ。
ほぼ日
そうなんだ。
きょうこ
うちの姉がつぶやいたんです、ある日。
なんでうちのお弁当は
茶色なんだろうって。
それで姉が自分でプチトマトとか買って来て
母が作ったものに入れ出したんです。
フルーツ切って入れたり。
スガノ
私、今思い出したんですけど、
幼稚園の時、パッと開けたら
お弁当が真っ白
だったことがある!
美雨
ごはんだけ?
スガノ
ううん、
おかずもあったんだけど、白いの。
なんで白いのかな・・・って、
じーっと見たらね、
ごはんに、おかずが、
ハモのおとし
だったの。
幼稚園の弁当が、
ハモのおとしですよ!
みんなさあ、ウインナーとかさ、りんごとかさ。
ウインナーは「たこさん」に切ってあったりさ。
なのに、ハモのおとし。何だこれは。
見渡すかぎり真っ白で、
どっちがおかずでどっちがご飯だって
幼稚園の私は、考えましたよ。
だから茶色はまだいいよ。
ほぼ日
知り合いのHさんちは
やっぱりそうだったんだって。
お弁当が茶色い。
ある時、
「お母さん、もっと色を入れて」
って言ったらね、次の日のお弁当、
お菓子のゼリーが色とりどりに
散りばめてあった・・・。
美雨
すっごーい!
ほぼ日
別にお母さんを怒らせたわけじゃないんだって。
天然?
きょうこ
本気。
ほぼ日
あらそう?
色入れるわね、って。
ゆうこ
スゴイ・・・
茶色いお弁当は、まだまし、だったのね。
ほぼ日
そうやって回りのお母さんと比べると、
分かってくるんだよね。
スガノ
でもそういうのがあっても
ずっと「ヘン」だっていうふうには
認識してなかったんです。
客観的にあんまり見てなかったのかな?
でも、最近思い返してみると
すごい変なことがたくさんあったなぁ、
とは思うけど・・・。
美雨
よそのお母さんって、
あんまり知らないものね。
うちの母のことで、
おかしなエピソードがあるかなぁって
思い返してみて、
「そうか、わたし、
そんなに他のお母さんを
知らないんだ」って思いました。
スガノ
そうですよ。
自分のお母さんがスタンダードだもの。
美雨
ヘン、なの?
そうかな? って。
それを当然だと思ってた
私も変なの?
(笑)
一同
わかるー!
美雨
みんな、はやくに気づいてたの!?
きょうこ
うちはもう初期の頃から。
美雨
初期(笑)!
きょうこ
あのもう物心がついたときから、
こいつは奇妙だ
と…。
りか
「こいつ」て!
きょうこ
もう明らかで。
美雨
ほんと?
スガノ
客観的な子供だったのね。
きょうこ
いや、あのもう、うちはもう、
全般的に、態度がおかしかったんです。
小学校一年くらいの時に、
「親子ふれあい会」みたいなのがあって、
学校のリクリエーションで。
親子全員でドッヂボールを
しようってことで。
普通のお母さんは端っこの方で
「あーうちのひろしちゃん、おほほ」
みたいな感じで見てるんですね。
なのに一人だけ真ん中で
「ハーッ! ハーッ!」
ってものすごい大声で、
力いっぱいボールを
投げている大人
がいたの。
小学校一年くらいの男の子をめがけて
足元に、しかも思いっきりぶつけてるの。
ほぼ日
勝ちに行ってるよ。
きょうこ
そう、
勝ちに行ってるおばさんがいて、
それが・・・うちの母
だったんです。
スガノ
ああ・・・それは、きっついわぁ。
きょうこ
もう、明らかだった。変なの!
スガノ
比較対象物があって、わかったのね。
きょうこ
普通のお母さんは、
お母さん同士で群れるんですけど、
うちの母親はもう子供の中に
入って行って、本気で遊ぶんです。
だからうちに友達が遊びにきても、
ちょっとあんたどきなさいよって
言って、私が遊ぶわ、って、
私の友達と本気で遊んじゃう。
一同
あはは。
ほぼ日
素敵じゃない〜!?
きょうこ
でもね、
たとえば卓球やろうってなったら、
まずは素振りから始める、みたいな。
遊んでるっていうか勝負挑むの。
何でも勝ちに行くの。
ほぼ日
もう最初っからそういう人なんだ。
きょうこ
そう。だから、
うちの母親とお正月に
花札とか百人一首とかやってても
絶対に子供に譲らないんですよ。
もう本気で!!!
ほぼ日
厳しさを教える教育!?
きょうこ
そうかも。
勝ちに行く人生を教わりました。
ていうか、あきらめる人生かしら。
ううん、「自分で決める人生」を
教わったのかも。
美雨
いまだに、ですか?
きょうこ
今もそうですよ〜。
あのね、うちの母、ここだけの話だけど、
男名前で呼ばれてるんです、家で。
もうほんとに男みたいなんで、
ハルオって。
ほんとは春子
っていうんですけど、
家族全員に
ハルオッ!
って。
一同
はははは!
きょうこ
母の姿が見えないと、
私と姉と父で
ハルオ、いまどこ?
って。
美雨
かわいいや。ふふ。
(つづきます。)
2002-
11-27-WED
戻る