
ほぼ日 |
自分のお母さんが
よそのお母さんと、
ちょっと違うかも・・・って、思ってた? |

スガノ |
私ね、18まで実家に住んでて
それから一人暮らししたんですけど、
そこまであんまり
自分のお母さんが変だって
気付かなかったのよ。
変なことは、あったんだけど。 |

きょうこ |
どんな? |

スガノ |
学校でお昼にお弁当パッて開けたら
白いご飯にスイカだけだった。とか。 |
一同 |
うわー(驚)。 |

美雨 |
すいか、だけ?
おかずがすいかなの? |

スガノ |
すいかだけだったの!
で、兄がいるんですけど、兄に、
「お兄ちゃん、今日スイカと御飯だけやったわぁ」
って言ったら、兄が、
「俺はビワやったぁ」。
|

ゆうこ |
お弁当シリーズで言うなら、
私が中学校の時にお弁当の日があって
ママがお弁当を作ってくれたのね。
みんなで班になって
「お弁当食べよう」って開けると、
うちだけ茶色いの。 |

きょうこ |
あー、うちも茶系だったよ。
お弁当って茶系のものだよね?
ちがうのー? |

ほぼ日 |
え? それは何? 何で茶色? |

美雨 |
煮物系? |

ゆうこ |
いや、煮物なんて入らない。
炒めもん系。どさっと。 |

まいこ |
と、卵焼きと。
ほかの子のお弁当ってね、
緑や赤や黄色で、きれいなの。
なのに、うちは全部茶色いの。
 |

美雨 |
ほかの家の子のお弁当には、
トマトだとかブロッコリだとか入ってて
きれいなのね。 |

ゆうこ |
せめて卵焼きは黄色かと思うでしょ、
それがやっぱり茶色いの!
しょうゆ多すぎなの。
それを友達に指摘されたの。
それから自分で作るようになったね。
|

まいこ |
そう、自分で。 |

きょうこ |
それ、うちのお姉ちゃんパターン。
まったく同じ。 |

ほぼ日 |
そうなんだ。 |

きょうこ |
うちの姉がつぶやいたんです、ある日。
なんでうちのお弁当は
茶色なんだろうって。
それで姉が自分でプチトマトとか買って来て
母が作ったものに入れ出したんです。
フルーツ切って入れたり。 |

スガノ |
私、今思い出したんですけど、
幼稚園の時、パッと開けたら
お弁当が真っ白だったことがある! |

美雨 |
ごはんだけ? |

スガノ |
ううん、
おかずもあったんだけど、白いの。
なんで白いのかな・・・って、
じーっと見たらね、
ごはんに、おかずが、
ハモのおとしだったの。
幼稚園の弁当が、
ハモのおとしですよ!
みんなさあ、ウインナーとかさ、りんごとかさ。
ウインナーは「たこさん」に切ってあったりさ。
なのに、ハモのおとし。何だこれは。
見渡すかぎり真っ白で、
どっちがおかずでどっちがご飯だって
幼稚園の私は、考えましたよ。
だから茶色はまだいいよ。 |

ほぼ日 |
知り合いのHさんちは
やっぱりそうだったんだって。
お弁当が茶色い。
ある時、
「お母さん、もっと色を入れて」
って言ったらね、次の日のお弁当、
お菓子のゼリーが色とりどりに
散りばめてあった・・・。 |

美雨 |
すっごーい! |

ほぼ日 |
別にお母さんを怒らせたわけじゃないんだって。
天然? |

きょうこ |
本気。 |

ほぼ日 |
あらそう?
色入れるわね、って。 |

ゆうこ |
スゴイ・・・
茶色いお弁当は、まだまし、だったのね。 |

ほぼ日 |
そうやって回りのお母さんと比べると、
分かってくるんだよね。 |

スガノ |
でもそういうのがあっても
ずっと「ヘン」だっていうふうには
認識してなかったんです。
客観的にあんまり見てなかったのかな?
でも、最近思い返してみると
すごい変なことがたくさんあったなぁ、
とは思うけど・・・。 |

美雨 |
よそのお母さんって、
あんまり知らないものね。
うちの母のことで、
おかしなエピソードがあるかなぁって
思い返してみて、
「そうか、わたし、
そんなに他のお母さんを
知らないんだ」って思いました。
 |

スガノ |
そうですよ。
自分のお母さんがスタンダードだもの。 |

美雨 |
ヘン、なの?
そうかな? って。
それを当然だと思ってた
私も変なの?(笑) |
一同 |
わかるー! |

美雨 |
みんな、はやくに気づいてたの!? |

きょうこ |
うちはもう初期の頃から。 |

美雨 |
初期(笑)! |

きょうこ |
あのもう物心がついたときから、
こいつは奇妙だと…。 |

りか |
「こいつ」て! |

きょうこ |
もう明らかで。 |

美雨 |
ほんと? |

スガノ |
客観的な子供だったのね。 |

きょうこ |
いや、あのもう、うちはもう、
全般的に、態度がおかしかったんです。
小学校一年くらいの時に、
「親子ふれあい会」みたいなのがあって、
学校のリクリエーションで。
親子全員でドッヂボールを
しようってことで。
普通のお母さんは端っこの方で
「あーうちのひろしちゃん、おほほ」
みたいな感じで見てるんですね。
なのに一人だけ真ん中で
「ハーッ! ハーッ!」
ってものすごい大声で、
力いっぱいボールを
投げている大人がいたの。
小学校一年くらいの男の子をめがけて
足元に、しかも思いっきりぶつけてるの。 |

ほぼ日 |
勝ちに行ってるよ。 |

きょうこ |
そう、
勝ちに行ってるおばさんがいて、
それが・・・うちの母だったんです。 |

スガノ |
ああ・・・それは、きっついわぁ。 |

きょうこ |
もう、明らかだった。変なの! |

スガノ |
比較対象物があって、わかったのね。 |

きょうこ |
普通のお母さんは、
お母さん同士で群れるんですけど、
うちの母親はもう子供の中に
入って行って、本気で遊ぶんです。
だからうちに友達が遊びにきても、
ちょっとあんたどきなさいよって
言って、私が遊ぶわ、って、
私の友達と本気で遊んじゃう。 |
一同 |
あはは。 |

ほぼ日 |
素敵じゃない~!? |

きょうこ |
でもね、
たとえば卓球やろうってなったら、
まずは素振りから始める、みたいな。
遊んでるっていうか勝負挑むの。
何でも勝ちに行くの。 |

ほぼ日 |
もう最初っからそういう人なんだ。 |

きょうこ |
そう。だから、
うちの母親とお正月に
花札とか百人一首とかやってても
絶対に子供に譲らないんですよ。
もう本気で!!! |

ほぼ日 |
厳しさを教える教育!? |

きょうこ |
そうかも。
勝ちに行く人生を教わりました。
ていうか、あきらめる人生かしら。
ううん、「自分で決める人生」を
教わったのかも。 |

美雨 |
いまだに、ですか? |

きょうこ |
今もそうですよ~。
あのね、うちの母、ここだけの話だけど、
男名前で呼ばれてるんです、家で。
もうほんとに男みたいなんで、
ハルオって。
ほんとは春子っていうんですけど、
家族全員に
ハルオッ! って。 |
一同 |
はははは! |

きょうこ |
母の姿が見えないと、
私と姉と父で
ハルオ、いまどこ?
って。 |

美雨 |
かわいいや。ふふ。
(つづきます。)
|