COOK
お母さんって、ヘン!?
うちのおかんは、こんなんです。
「くまんばちがとんできた」発売記念
──娘が語る、わが母の妙。

その2) 仕事で疲れる母、
およびその教育について。




このページの下方に読者からのメールを紹介しています。


まいこ
うちの母、私たちがちっちゃい時から
わりと働いてて、すごい忙しくて、
家帰ってくると廃人みたいで。
今でも覚えてるのは日曜日に
一緒にお買い物に行って、
スーパーに行って牛乳を買ったんだけど、
その時にお母さんがまじめな顔で言うの。
シンセンはギュウニュウの方がいいのよ
って。

りか
何?

ほぼ日
シンセンはギュウニュウ?

まいこ
新鮮は牛乳の方がいいのよって言われて、
は? って。
「牛乳は新鮮な方がいいのよっ!
 ・・・間違えたっ!!」
って言われて、
ああ、お母さん、
すごい疲れてるのねって思った。
一同 うははは(笑)。

まいこ
いまは笑えるけど、
そのときはすごくあせったのよ。
この人は大丈夫なんだろうかって思って。
すごい大きい声で、
「シンセンはギュウニュウなほうがいいのよ!」
って。
スーパーとかで言ってるから、
もぉちょっとヤダとかって思って!


きょうこ
スーパー大声事件、あるある、うちも。
スーパーに一緒に行ったとき
コピー機が壊れたらしくて、
人が群がってたのね、そのコピー機に。
困ったね、なんて、やってるの。
そしたら母、そこに立ってでっかい声で
ものすっごい発音のいい英語で
「あら、トラボゥーだわ!!」

美雨
Trouble!

きょうこ
そこだけすごい発音が良くて!

ほぼ日
英語の先生だから。

きょうこ
びっくりしちゃって、みんな一斉に見るのよ。
「お母さん、やめて!」って思った。

美雨
そのまますーっと通り過ぎて行ったの?
大声で「troubleだわ」って言っただけで?

きょうこ
そうなんです!

美雨
あはは。うそぉ。
突然英語でしかも発音がいいっていうのは
私の母も。
私も、ニューヨークで生活してきたので
英語が入るのは当たり前だし、
どうせ英語しゃべるんだったら
発音よくって言うのも当たり前だし、
“日本語の会話にまじる
 おかしな日本語英語”には
すごく違和感があるんです。
でもね、私としては
日本語の家族の会話の中に
突然、ものすごく発音のいい英語を入れられるのも
どうかなと思うんですよ(笑)。
だから日本で日本人と話すのも
外来語を使っても日本語寄りの発音に
したりするわけですよね、何となく。
自動的に計算されてるわけだけど、
うちの母、
ほんとに突然取材とかで
すごく発音のいい英語が出ちゃう
の。
一同 それは、かっこいいよ〜!

美雨
でもね、編集のライターの人が
一瞬、うん? って顔をしたりね。

スガノ
身内で見てるから、
ちょっと恥ずかしいのね、確かにそれは。

きょうこ
うちもラブって言うのを(発音良く)
ラーッヴッって。

美雨
LOVE。

きょうこ
ここをつけなさい、ここを。
舌を上あごつけなきゃダメなの。
LO-LO-LO。ラッ、ラッ、ラッー。
VEは下唇を噛む。ヴッ、ヴッ、ヴッ。て!
一同 あっはっはっは。

きょうこ
しょうがないから付き合ってたの。
小学生のわたし、一緒にLO-LO-LOって。

美雨
あははは。昔はね。

きょうこ
そう昔は。

ほぼ日
お母さん英語ペラペラなんだ、じゃ。

きょうこ
それが、海外40過ぎて初めて行ったんです。
しかも英語独学だって言い張るの。
英語の先生なのに・・・。

ほぼ日
みんなお母さんが働いてるんだね。
偶然なんだけど。

スガノ
そう。

ほぼ日
みんな働いてるお母さんなんだよね。
えっとスガノんちは…。

スガノ
自営ですね。自営で酒屋をやってます。

ほぼ日
で、美雨さんちは、音楽家のお母さんでしょ。
きょうこ家は、英語の先生でしょ。
ゆうこさんとまいこさんのお母さんは編集者。
商売屋の子って、ずっとお母さん家にいるでしょ?

スガノ
でもね、ほったらかしですね。
お店に出ている間、寝かしてて、
私がこう腕を振ったりすると
ガラガラガラガラって天井に下がってる
おもちゃが鳴る。
その記憶ばっかし。

ほぼ日
へえー。

スガノ
占い師に手相とか見てもらったりすると
あなた、よく小さい時に
 死にませんでしたね

って言われるのよ!
一同 (笑)

スガノ
よく言われます。よく大きくなりましたねって。

ほぼ日
そんなほったらかし?

スガノ
うん。栄養失調だって。
は? ハモとご飯のお弁当じゃ。

ほぼ日
家で食べ物売ってんでしょ?

スガノ
そう。なのに・・・子供は栄養失調。
家事とかあんまりしない母親で、
例えば小学校の体操着のひざに穴が空いたから、
明日体育で使うから、穴継いどいてって言って、
でも何にもキレがないから
継げないって言うんですよ。
だったら4年生くらいに家庭科で作った、
布の財布があったので、
この布を使って継いどいてねって言ったのね。
次の日の体育の授業の時にグッと
はこうとしたらはけないんですよ。
ハッと見たら、
財布がそのままついてた

りか
はけなくなっちゃったの?

スガノ
そうなの。
朝ご飯も全然作んなくて、
近所の保育園とか行く前の兄と私に
「あんた食べとき」とか言って
パンとか買ってはくるんですよ。
で、食べようとすると、
近所のおじいさんみたいな人が
はーっては入って来て
「おたくはパンとか置いてはらへんの?」
とかって聞くんですよ、母親に。
母親は自分のお店に
物が無いっていうのを言いたくないらしくて
「ありますでー」って言って
私たちが今まさに食べようとしてる
パンを取り上げて、100円とかで売るんですよ。
一同 あはははは。

スガノ
こんなお母さん、おかしい! とか思って。

美雨
おもしろいよ。

スガノ
何でも売っちゃうの!
ちょっとしたスーパーみたいな感じで
お肉も売ってるんですけど、
お肉を詰めるための
プラスチックのトレーがあるでしょ。
あれを、小さい子が
「引っ越して来たので、パーティーをやるので
 紙皿をください」って言ったのね。
そしたら「ありますでー」
って言って
そのプラスチックのトレーを売っちゃうのよ!

ほぼ日
商売人だ。

スガノ
そうそう。毎朝気合い入れるのよ、
鏡に向かってね、
今日もゲーッて言うほど働かなあかんで!
って毎日。毎朝鏡に言って、店に出るんですよ。

美雨
ゲー?

スガノ
吐くまで働かな、いかんって。

美雨
ははは。おかしい!


(つづきます。メールはこの下で!)

ほぼ日より

 へんなお弁当の初めて仲間が見つかりましたっ!!
 うれしい…ような。(Yさん)


 同じ悩みを持った人たちがいるんだなぁと思うと、
 とてもうれしかったです。
 世の中にはもっと強烈なキャラの
 お母さんがいるんだ〜!
 と思うと力強いです(Ponさん)


みなさんたくさんのメール、
ありがとうございます!
「うちもよ!!」というメールを
たくさんいただきました。
そんなに世間には「へんなおかん」が
多いんでしょうか・・・
昨日届いたメールでは、Yさんのように、
「おかんの弁当に腰砕け」という報告が
多かったですよー。
それでは、メールを紹介しますね〜!

ある日のこと、
お昼の時間になって弁当箱を開けたら、
真っ白なゴハンしか無いんです。
日の丸弁当でも梅干しがあるのに、
それすら無いんです。
添えられていたスプーン(!)で
ご飯を掘ってみると、
中から昨日の夕ご飯のカレーが
こんな状態にサンドしてありました。
****** ご飯
−−−−−− カレー
****** ご飯
なので、パッと見にはゴハンしか
ないように見えたんですね。
うちに帰って問い詰めると、
「学校持ってく間に、カレーが弁当箱から
 漏れたら駄目だと思って、サンドしたんだよ」
って自信に満ちた主張をされました。
他にも、開けたら麻婆春雨しか見えなくて、
掘ったらゴハンが出てきて麻婆春雨丼だった、
という日もありました。
(Hrkn)


(スガノ)
ワアオ! すごいテクだ。
「お弁当は見た目がたいせつ」と、
これでもかっていくらい料理本に
書いてあると思うんですが・・・。
うちの母も「お弁当と家庭のごはんは別モノ」
という意識のない人で、
どんぶり系はけっこうありましたよ。
弁当いちめん焼きそばとか、
いちめんニシンの甘露煮(下にごはん)とか。
でも、いちおうおかずだからいいですね!


小学校の時、いつものアルマイトの
お弁当箱を開けたら
ホットドッグを半分に切ったものが
ギューギューに詰まっていました。
あまりの事にショックを受け、姉に話したところ、
姉は平べったいタッパーの中に
焼いたトースト(バター付)が一枚
ぺロッと入っていたそうです。
何年も後にこの話を団欒の時にしたところ、
「だって料理嫌いなんだもん」。
今我が家のご飯当番は定年した父の役目で、
毎日おいしいご飯を食べています。
(poriporin)


(スガノ)
どうして母たちって
「ギューギュー」が好きなんでしょう?
どんなにスペースがあっても、
押し入れもかばんもお弁当箱も
ギューギューですよね。
ギューギューなさまを見るにつけ、
詰め込んでいるときの母の顔が想像できて、
とっても可笑しいのであります。


最近気づいたのですが
うちの母は夕食の献立がヘンです。
●クリームシチュー+アジの干物+白いご飯
だったりします。
クリームシチューに続いて干物が出されるたびに
この献立がヘンだってことには気づいていない
弟(25歳)がせつなくなります。
皆さんのご家庭ではクリームシチューのときって
ほかになにがでてくるのかなぁ?
(shinji)


(きょうこ)
“クリームシチュー+アジの干物+白いご飯”
なんて、豪華なの!!
だって、おかずが2品もあるっ!
我が家は、メインは1品、と決まっております。
「食べ合わせのことなぞ、一切考えない。」
これも、かなり基本中の基本ですね。
うちの母・ハルオによると、
『お腹に入ってしまえば、おんなじだ。』
らしいです。
そういう問題なのか? と思いつつ、
まあ、そういうもんなんだろうな、
と納得させられてます。
あと、クリームシチューといえば、
ハルオいわく、
「クリームシチューをカレーライスみたく、
 ごはんといっしょに食べるとおいしいのよ〜」
らしいです。
よかったら、挑戦してみてください。
保証はしません。


お母さんのお弁当について、
私もあります!!
●グリーンサラダ弁当
白い御飯とグリーンサラダのみ。
サラダの中身はレタス、きゅうり、カイワレダイコン。
ドレッシングもマヨネーズも塩すらもかかっておらず、
また、白い御飯にはふりかけもなく、
どうやって御飯を食べたらいいのだろうと
悩んだ記憶があります!
●白い御飯に・・・
ある日、学校から家に帰ってきたら珍しく母が
「今日のお弁当どうやった?」と聞くのです。
そういえば海苔が不規則な形で
御飯と弁当箱のふたについてたことを思い出し、そう言うと
「なんだ、バカって書いたのに」ですって。
よかった、読めなくて。
ちなみに妹にもやったそうです。
その他にも、卵焼きには味がなかったり、
4分の1がおかず、4分の3が御飯だったり、
いろんな思い出がありますが、
今、結婚して子供を持つ身になってみれば、
作ってもらえただけありがたかったなぁと思います。
(くわた あやこ)


(きょうこ)
お弁当に真っ白い御飯ね・・・・あるある。
ある日、それについて、学校から帰ってきて、
思いっきり文句を言いました。
でも、翌日の弁当も、やはり真っ白い御飯・・・
「なに〜〜!?」
とガツガツ白い御飯を食べはじめると、
真ん中あたりに海苔が敷詰められてました。
「どうだ、まいったか・・ふふっ」
というハルオの勝ち誇った顔が浮んできて、
イヤでした。


タッパーの半透明の蓋から見えるのは、
いつもの白い部分と茶色い部分ではなく
(当然のように母のお弁当は茶色かった)
丸くて白いものが二つ。
「に、肉まん…」
しかも手に収まらないようなサイズの、
手作り肉まん。
「だって好きでしょう、肉まん」
わかります、わかりますよ、お母さん、
肉まん好きのわたしへの、母の愛なんでしょうね。
その後、茶色いおかずたちに埋もれた
不気味な黒い物体が(これまた手作り)
チョコレートケーキだということが
判明するまでにかなり時間を
要したこともありました。
そんな母は、「あたしんち」を読んでも、
ダウンタウンの「おかんネタ」を見ても
何が面白いのかちっともわからないようです。
そりゃそうでしょう。だって、
極めてスタンダードですからね、
あなたにとっては。
(兄弟の間でおかん、おばちゃん言葉で
 話すのが流行っている娘より)


(きょうこ)
「だって好きでしょう。」
と言えば、何でも許されると思ってますね、たしかに。
うちのハルオは、となりの山田くん家のおかあさんに、
行動その他が激似です。
でも、本人にそのことを言うと、
ものすごく、不本意そうな顔をします。
何が一番スゴイかって、
自覚がまったくないところです。


結婚して初めて冷奴を出した時
旦那に『薬味は長ネギでしょう?』
って言われて、「????」。
我が家ではずーと
玉ねぎのみじん切りだったんです。
母に聞いたら
『あーあ、私長ネギ好きじゃあないの』
あとグラタンをおかずにしてご飯を食べるのも
うちだけの事だったみたいです。
(かっぱあ35)


(スガノ)
うちでは「これから干す洗濯物を入れるカゴ
(洗濯機から物干し竿までの移動用)」に
みかんやぽんかんがいつも入っていました。
そういうもんだ、と思って
自分も自然とそうしていたんですが、
人から怪しまれて、やめました。
よく考えると、現在自分の築いている家庭の
洗濯カゴの奥底にも
お土産でもらった置物だの
あきびんだのがゴーロゴロ入っています。


うちの母親のキャラも、
かなり強烈だとずっと感じてました。
父が長男で実家なので、
姑&舅、義姉&義妹にもまれて、
ますます強力キャラになりつつあります。
背がとても小さいのですが
「小さいものは何でも優秀なんだ」
と言って、いつもうちの中では、
一番威張っています。
みんなより背が小さい分、
血の巡りが良くてパワーが
有り余っているそうです・・・。
でも、とても前向きな人です。
私の友達が来ていても、
遠くで洗濯物を干したりしながらも、
必ず話に入ってきて、
ただいつも話をよく聞いてないので、
ちんぷんかんぷんの会話をしたりします。
家は台所が狭いのですが、
いつも早足で行ったり来たりと
忙しくて、時々間に合わずに
バックで戻ったりしてます。
父親とも「ぜんまい仕掛けの人形みたい」
と笑っています。
家族で付けたあだ名がいろいろあって、
一番ヒットだったのが
「毒リス」です。
小さいけど、たくさん「毒」をはくので。。。
(Pon)


(スガノ)
毒リス! そいつぁすごい!
うちの母も、嫁入りするまでは
普通だったらしい(本人談)のですが
父が多兄弟の長男なため、
鍛えられたのだそうです。
小さくて太くて、毒もおもいっきりはきます。が、
「おかあちゃんは死んだら
 ぜったい天国に行くと思うわ」
と、夕食時に箸片手に
つぶやかれたことがあります。
真顔でした。

2002-11-28-THU

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