COOK
お母さんって、ヘン!?
うちのおかんは、こんなんです。
「くまんばちがとんできた」発売記念
──娘が語る、わが母の妙。


その5)いやおうなく「自立」の環境に
いたことについて。




このページの下方に読者からのメールを紹介しています。


スガノ
私、子供がいるんですけど、
母親にそんなにして育てられたから
ちょっと手を掛けて育てようと
思ってはいるものの、
他の人が遊びに来たりすると
すごいびっくりされて。
うちの子はまだ三歳なのに、
脱いだ服とかを
全部洗濯かご
に入れるんです。

美雨
すばらしい。

スガノ
でもそれはほんとに当たり前のことで、
普通にしなさいって言ってるだけなのに、
「ああ、こんなことをするの?」
って、だから私はいくら避けようと思っても
結局彼女(母)のほったらかし人生を
そのまま受け継いじゃってる
な、
大部分をって、ちょっとね。
もう逃げれない道だとか思うんですけどね。

きょうこ
あ、でも私そこの部分は、
自立しなさい系のことは、
自分の子供にも言いたい。

スガノ
でもね、私ね、あんまりちゃんと
教育されたっていう覚えはないんですよね。
なんかあの結局ほったらかされて、
で、うち商売人だったんで、
いくら大学で勉強して何とか論とかやってても
何言うてんの。
 世の中カネやで

っていう感じだったんですよ。


美雨
すごい。

スガノ
で、もう建前とかきれいごととか一切なしで、
夜ご飯のときは近所のお客さんで
ツケが溜まってる人のこととかばっかり
言ってるんですよ。

りか
世の中カネやで〜。

ほぼ日
人の噂話なんかしちゃいけませんとかは、なし。

スガノ
そんなん全然ないっすよ。
もう人の悪口言い放題で。
何かとにかく世の中はカネでしか
解決できないって言う、
ずっと小さい時から父も母も
そうだったんですよ。

ほぼ日
へえ。

スガノ
ずっと言われてたので
人の思いやりは、とかじゃなくて、
0からスタートしちゃったもんだから、
本当は人間って大したことないんだよっていう、
その土壌に立って、
やさしさとかを
0から考えられたって言うのは
ちょっと得したかなって思ったですね。
最初からそれが当たり前で、
当然だと思っちゃいけない
ってことですね。

美雨
それはあるかも。

スガノ
マイナスからの出発というか。

ゆうこ
何かちっちゃい頃から自分でご飯作って
洗濯物も自分でしてとかっていう
生活しかしたことなかったから、
お母さんとご飯を食べる、
夕飯を食べるのは土日週2回。
あとは朝から晩まで全部一人だった。

まいこ
そうだよね。

ゆうこ
だからご飯とか夜になると
二人(姉妹)で、今日のご飯は?
とかやってたよね。
ほんとお母さんとご飯を食べたことが
ほとんどない
んですよ。

ほぼ日
ほおーっ。編集者、忙しい。

ゆうこ
普通の家はご飯が6時とか7時なのに
うちはちっちゃい頃から10時だったの。
普通の家が7時くらいに
ご飯を食べるっていうのを
ずっと後になって
高校くらいの時に初めて知って。
みんなはそんな時間にご飯を食べてるのか?
そうか、うちはなんなんだ?
これは夕飯なのか? 夜食か?

美雨
夕飯が5時の家とかあるよね。

ゆうこ
いるいる。

きょうこ
でもおばあちゃんち行くと、
5時とかになるからこうなんだ、
でもそれは異常だった。
おばあちゃんちがおかしいんだって。

美雨
おばあちゃん・・・(笑)。

スガノ
私は圧倒的に刺身率が高かったですね。
夕飯。
もう切って売ってるでしょ。
しかも刺身、豪勢でしょ?
便利ですよぉ、って、母親になってわかった。

美雨
ふーん?

まいこ
当時グルメ本みたいなのがたくさんあって
レストランの取材とか
いっぱいしてる時期があって、
その時に自分はね、いろんな豪勢なものを
取材だから食べてくる訳ですよ。
お母さん、おなか空いたのって言ったら、
ダーンとご飯が出てきて、
ダーンってシャケ缶が
出てきて

ゆうこ
そうそう。

美雨
シャケ缶?

スガノ
ネコだっ!
一同 ははは。

まいこ
え? これ? って感じ。
「お母さんもうおなかいっぱい」って。
で、それくらいからもう親は
頼っちゃいけないんだって思って!
自分で食べたいものは
自分で何とか調達しなきゃいけないんだって。

ゆうこ
そうそうそう。

りか
よそのお母さんと違うっていう点に
反抗したりとかしなかったの?

きょうこ
結構ほっとかれるの好きだから
よかったですね。
逆にかまわれなくて。

まいこ
私が働くの止めてって言っても
この人は働きつづけるだろうとか思ってたから、
そういうふうに思わなかったけど…。思った?

ゆうこ
悪いことをした口実に
お母さんが働いてるから悪いんだ
って言ったことは何度かある。
一同 はははは。

ほぼ日
分かって言ってるね。

ゆうこ
分かってる。自分が悪いんだと
思ってるんだけど、
ここで自分が悪いって認めたくないなって
思ってるときに
「だってだって、お母さんが働いてるから…」
って言ったことはある。
そこでお母さんは
「分かった。これからお母さんは
 夜8時までに戻ってくる」
って言って、
それは一度も守らなかった(笑)。
うそじゃーん!

まいこ
そんなこと言ってたんだ。

ゆうこ
言った言った。

まいこ
知らなかった。

きょうこ
でも親って帰ってきて欲しいって
言ってもらうとうれしいんですかね?

美雨
いや、どうなんでしょうね?

きょうこ
うちはもう逆に、
保育園とかに迎えに行っても
「もう来たのー?
 まだいいよ。どっか行ってて」
って言って。私はもっと遊びたいって。
そういうのちょっと寂しかったみたいよ。

ほぼ日
うーん。

きょうこ
あんまり頼られてる感じがなかったから。

美雨
言うのも恥ずかしかったの、私。
多分そう思ってたことはあったと思うんだけど、
お母さんが仕事でいなくても、
代わりにベビーシッターの人がいたりして、
ま、それで仲良かったし
いろんなことを教えたもらったから、
まいいかって。
代わりに私はスタジオ行ったりとかもしてたな。

ほぼ日
うんうん。

美雨
でもいてって言っちゃいけない
それだけは言っちゃいけないって思ってたのね。

スガノ
何で何で?

ほぼ日
ちっちゃいから理屈じゃないよね、きっとね。

りか
すごいお母さんが忙しそうだったからとか、
そういうの見てるから?

美雨
忙しそうだったし、絶対必要なことだろうし、
何か、うーん、音楽家として
社会でも認知されてるっていうのは
分かってたからかな。

ほぼ日
それって最初から当たり前のように
分かってたことなの?

美雨
うん、分かってた。
物心ついた時から親二人とも
ステージに立つ人で、
みんなの目がそっちに向けられてて、
っていうのはすごい分かってた。

ほぼ日
へえー。

美雨
だから何か、
自分よりも大切とは
思わないけど、
何か自分と同じくらい大きなものを
背負ってるんだし、それは当然だ
みたいなふうに思ってたのね。

ほぼ日
へえ、すごい!

美雨
分かんないけど・・・。

スガノ
苦労を増やしてしまう?

美雨
うん、絶対必要なことをやってるんだから、
それを言っちゃいけないとは思って。
そんなに論理的には考えてじゃなかったけど、
今思うと。

りか
すごい尊重の仕方ですよね。

美雨
音楽をやってるところも好きだったし。
音楽やってるお父さんもお母さんも
好きだったっていうのももちろんある。

ほぼ日
うんうん。

美雨
何か大人の領域、大人と子供の領域の境界線を
すっごくはっきり引く親だったから。
今でもそうなんだけども。
例えばもう大人の時間だから
寝なさい、とか。

ほぼ日
うん。

美雨
ミュージシャンの人が
周りにいることもすごく多かったから、
例えばスタジオの収録中に静かにしなさいとか、
それはもう雰囲気で絶対感じるから、
入り込めない領域っていうのはすごく感じてた。
迷惑かけちゃいけないっていう感じ。

ほぼ日
へえー。

美雨
そこの辺がすっごく厳しかったから、
すっごい泣く子供とかが私もダメなんだ。
実際私も泣いてすごい迷惑かけてたと
思うんだけども、
それでも何か、今自分のことは
棚に上げて思う。
親はどうなってるんだ!
って(笑)。

スガノ
ちゃんと教育しろよ!

美雨
って思う。

ほぼ日
へえ

美雨
子供には厳しいな〜、わたしも。


(つづきます。メールはこの下で!)

ほぼ日より

ほぼにちは、今回も爆走する「おかん」。
みなさまからのメールもとどまるところを
知りません!
今日もご紹介しますよ〜〜〜!
(座談会メンバーのコメントとともにどうぞ)

ほぼにちわー。
うちのお母さんもかなり変です。

ある日会社に母から電話がありました。
「お家から電話だよー、何かあったんじゃないの?」
と呼ばれ、慌てて私が出ると、
「もしもし○○?・・・いいから黙って聞きなさい!」
と母の声。身内の不幸かとドキドキしていると
続けて母が言いました。
「(小声)・・・・牛乳と、パンと、・・・」
会社の帰りに買ってきて、との電話でした。
おかーさん、あなたは小声でしゃべる必要ないから。

ある日会社に母から電話がありました。
「お家から電話だよー、
 また何かあったんじゃないの(笑)?」
と呼ばれ、慌てて私が出ると、
「もしもし○○?・・・
 もうお母さん限界、もうダメ・・・」
と母の泣き声。身内の不幸かとドキドキしていると
続けて母が言いました。
「(やっぱり小声)・・・・散歩用の紐と
 首輪買ってきて・・・」
放し飼いにしていた室内犬が、甘やかしたせいで
大暴れしたらしいです。
それ以来、仕事中の電話は
携帯にしてもらうようにお願いしてあります。
(まんぼ)

(スガノ)
ギャッハハ!! おもしろいです。
ものを買ってきてもらうための
いちばんの手段は「自らの危うい状況」
なんですねぇ〜。
うちの母が人にものを頼むときの手段は
ズバリ、早口!
「米といで洗濯物とりこんどいて。たのむわ!」
一瞬で言い切り、去っていくんですよ。
返事する隙、皆無です。

(りか)

うちの母は、子供に用事を言いつけたあと、
「立ってるものは親でも使え、
 って言うでしょ!」
とふんぞりかえって言ってました。
自分の首を絞めてるな、
と思ってましたね。

私の母(67歳)も仕事をもっていたので
いつも疲れていました。
母は地元の診療所勤務だったので
往診先のおばあちゃんからもらったふかしいもとか
あんぱんの残りが不思議な物体
(まりもみたいなもの)に
変化して母のカバンからでてきました。
だから母がおみやげとかいって
カバンからだしてくるおやつは
私と弟にとっては迷惑なものでした。
母が旅行中、父の夕食を作ってあげることになり
なにがいい? と聞いたら
「トマトと刺身と豆腐以外のもの」という答え。
「なんで?」というと
「もう一生分は食ったから」・・・・
父もたいへんだったんだと知った瞬間でした。
(ちーまま)

(きょうこ)
「トマトと刺し身と豆腐」
たしかに、調理いらずな素材ものばかりですね。
うちのパパは逆に、“超素材主義”なんですよー。
なぜなら、ハルオが調理すると、
味が奇妙になるというか、なんというか・・・・。
まあ、そんな家庭の事情で、うちのパパの大好物は、
冷ややっこ、ほうれん草のおひたし、鍋とか、
調理がほとんど施されていない、
“素材そのまま系”のものばかりっすー。
でもね・・・・、そんなパパなんだけど、
実は、とってもグルメだったりするんですよねー。
「男の食彩」とか料理番組好きみたいだし、
雑誌や新聞に載ってるおいしいお店とか、
わざわざ切り抜いて、
秘かにスクラップとか作ってますもの。
で、不思議なことに、よそのお店に対しては、
「あそこは、まずい」とかって、
めちゃくちゃきびしいパパが、
なぜか、ハルオの料理については、
一切、ノーコメントなのよねー。
そこに、パパの気遣いというか、
諦めみたいなものを感じてます。
女房の料理にいちいちコメントしないっていうのが、
我が家の「夫婦円満の秘訣」なんですかね〜〜。


いやぁ〜面白いです
毎回「あたしンち」を見ているみたい。
わたしは、結構世間体を気にして
お弁当もおかず6品、色どりも・・って
がんばっていたのですが、
なんだかどうでも良くなってきました。
でも、ウチの娘(小4)は
あたしンちのお母さんがだいっきらいで、
毎週アニメを見ては本気で怒っています。
「わたしのお母さんは、
 みかんのお母さんみたいじゃなくて、
 ヨカッタ、ね? お母さん」って
キラキラした目で、見つめられます。
物凄いプレッシャーです。
(よしこ)


(スガノ)
「あたしンち」のお母さんのきっついパーマ。
うちのオカンそっくりなのよねぇ・・・。
おばパーマのきつさは、性格のアクの強さと
比例するような気がするんでございます。

(きょうこ)
えらいわ!
プレッシャーを感じるなんて!!
この間、母ハルオに、
「ハルオって、
 となりの山田くん家のお母さんみたいだよねー」
って言ったら、
「そうよっ。どこが悪い。」
って言い切られました。
それ以上、何も言えませんでした。


ベタベタの炒飯。水っぽいカレー。
きゅうりとバターだけ挟んだサンドイッチ。
焼きすぎてカチカチのお肉。
「寿司太郎」だけのお弁当...
美味しいものを食べたきゃ自分で作れ、
如いては自分のことは自分でしろ、
と食を通じて教育してくれた母。
おかげで私は料理上手で自立心の強い女になりました。
ママありがとう。
(シカゴのばにちゃん)

(きょうこ)
あらあら。
うちは、料理が苦手な母に育てられて、
やっぱり、あたしも、料理はダメダメっすー。
ちょっと、あたしも
「蛙の子は蛙」的な、開き直りはやめて、
「おかげで料理上手になりました。」
くらいのこと言えるようにならねばっ。


自分の名前に"子"がついていないので
昔から○○子ちゃんがうらやましかったといっていた
母は50歳。「じゃあ今日からまま子ちゃんね。」と
名づけてあげて以来、私の母は「まま子ちゃん」です。
父もまま子と呼びます。
自分でも自分の事をまま子といいます。
私が大人になると、姑との間に実は
いろいろあったことを話してくれましたが、
おめでたい人で、嫁姑問題はまま子の性格により
殆ど発生しませんでした。
そんなまま子は一人暮しの私に荷物を送るときは
「いかにうけるか」を一人でじっくり
考えているようです。
冬物のブーツがそろそろ要るから、
と実家においてあるのを送ってもらうと、
ブーツの中の空間がもったいなかったのか、
なんとむきだしの梨がごろごろと
ブーツの中からでてきました。
ダンボールにつめた荷物の隙間をうめるとき、
「買いにくいでしょ。」といって生理用品を
袋からばらしてつめてくれます。
友達の前では決して荷物を開梱できません。
荷物には手紙が入っているのですが、
一番面白かったのは"ひとり寄せ書き"。
あれ?寄せ書きが入ってる!
とよくみたらまま子がひとりで
字体やペンを変えていろいろ寄せ書きしていました。
内容には作り話まで含まれていました。
最後にかいたらしきメッセージは、
「さみしいから一人で寄せ書いてみようと
 おもったけど結構難しい。」
私もまま子のような
しあわせなおかあさんになりたいです。
(ちろん)

(スガノ)
わたしもまま子さんのような
おかあさんになりたいです。
すばらしい愛しかたですね!
うちの母もね、よく荷物を送ってくれるんですよ。
けれど、あんまりまともに届いたことはありません。
テキトーにギュウギュウ詰めこむから
冷凍された食品の水が漏れていたり、
びんが割れていたりするんです。
そして、ときどきちょっと
お金を入れてくれたりもします。
そんなときはいつも留守電に
「おかあちゃんな、たくあんの袋の裏に
 シャーミン貼っといたさかいな。よう見てや」
と、録音しています。
1万円札=シャーミン。
父や私の夫にばれないように、
の隠語なのでしょうか。
この謎、いつまでたっても解けません。

(りか)

年末、家からの荷物に、
のし紙のついた箱が入っていたから、
お歳暮だぁと思って大家さんのところに
持っていったら、どこだかからの内祝いで、
中にタオルセットと赤ん坊の名前の書いた
紙が入っていたことがありました。
大家さんから告白されて発覚。
はずかしかったわ〜。
てゆうか、そのまま入れないでよ!
おかあさん!


お弁当の話題で思い出したのは
中学の同級生の和子ちゃん。
ある日のお弁当は「たいやき1ぴき」。
お正月明け、3学期の始めには
「一面ごはん、その上に数の子1本」。
彼女は「別に 普通じゃーん」という顔で
食していました。
その子の家も商売をしていらして
とても忙しいお母さんのようでした。
(ままくん)

(スガノ

ああ、商売屋子ども同盟。
家のカギがシャッターのカギだったり、
お弁当に東鳩オールレーズンが
ぎっしり入っていたり、
レジの小銭を盗んで駄菓子を買ったり、
軽トラックでどこでも参上の
自分の力で身を立てていく親の背中を見て育った
子どもたちよ・・・。
たくましくあれ〜〜!


楽しく読ませていただきました。
街ですれ違うオバサン達はみんなマトモだと
思っていましたが、実はヘンな所があるのは
どこの家庭も一緒だったのか!?と安心しました。
数年前に母を亡くし、今は寂しさよりも
思い出が毎日浮かんでくるようになりました。
この時期、思い出すのは
病気持ちだった母が深夜にぎんなんを
「盗み」に出かけたこと。
ある日の深夜、母が寝巻きの上に
上着を羽織って出かけようとしたので
どうしたことかとたずねたら、
「昼間は見つかるから夜じゃないと!!」
と、寺に侵入してぎんなんを拾うという。
病気なのに体調を崩す事を考えもせずに、
食い意地がはっている様子は
強くもあり、おかしくもありました。
(ueki)

(スガノ
道路にはえているイチョウではなく、
寺に侵入、というところがすごいッスね!
ぎんなん、ウマイですからね。
わかりますわかります。
uekiさんにとっての、お母さんの味、ですね。

(まだまだあるけど、また次回!)

2002-12-04-WED

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