うちにはいろんな集金のおじさんやおにいさんが
訪れてくれるのですが、そのなかでもとびきり
笑顔のうつくしい男の人がいて。
わたしはひそかにこころのなかでその人のことを
『おじにいさん』と呼んでいます。
前からみていると、おにいさんなのに
帰り際にちょこっと目にするときの
横顔から首筋あたりとかにいい感じの年輪があったりして。
で、カレはいつもころあいの笑みを残しながら、
わたしのてのひらから、数枚のお札と小銭を
受け取るんですね。
どことなく申しわけなさそうにしながら。
それがもうたまらなくよくって。
でも、この間なにげなく領収書をみてたら左隅んとこに、
書いてあったんですよ。
今月は『ほほえみキャンぺ−ン実施中』って。
なるほどね。ふーん。そういうからくりね。
ああこれが社会よねえと、感心しつつ。
一抹のさびしさをここで覚えるべきか否かに
悩んでしまったわけです。
冬の雑踏をあるきつつときどき誰かの肩にぶつかりそうに
なりながらも冷静にかんがえてみまするに、
しかしなんですなぁと。
誰しも個人的にはひとりひとりキャンペーンはって
暮らしていたりするんじゃなかろうかと。
たとえば、『君をずっと守ってあげるよキャンペーン』とか
『仕事なんか同期には負けないわよキャンペーン』とか
『外食にも旅行にもつれてってる家族サービス(!)
満点パパにみえるキャンペーンとか』ね。
で、かくいうわたしはといいますと、
やっぱり『はじめての歌集よーん、ゼロ・ゼロ・ゼロ
(フーコー/星雲社)おねがいだから読んでね
キャンペーン』
もうこれしかないんですよ。
だからですね、ちらっとここを
クリックしてくれたあなたの『ひとりキャンペーン』の
みえないカタチにふとおもいをはせて
しまったりしているこのごろのもりまりこでした。
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