第5章 はじめてのレッスン(1)
さぁ、おまたせいたしました。
南波あっこ先生の、レッスンレポート到着。
さすが翻訳の仕事をしている方だけあって、
ちょっと、海外文学的な風味もあり、たのしいですよ。
じゃ、まず、そのイントロダクションから。
午前10時。天気は晴れ。
閑静な住宅街。
少々調子の狂った古いVW GOLF GTIの爆音を止める。
ピンポーン。
ついにご対面の時がやってきた。
「はじめましてー!」
スマートでお洒落、シャッキッとしていてお上品。
ニコニコスマイルの素敵なお母上Aのご登場。
ど・こ・が、80代なのだーーーっ!?
心に快いパンチをくらう。
「あ、ワーゲンですね?」
好き、お母上A!
もう、このままドライブにでもお誘いしたくなった。
広い玄関の片隅になにやら大きな箱。
この先、お母上Aのよき相棒となるはずの謎の物体……
これぞiMac。
プリンタも一緒に届いたようだ。
ご子息のさすがの用意周到さに感激。
うーん、やはり私も早く
USBポート付きのプリンタが欲しい。
ふと見れば、あっ、梱包テープが剥がされている。
「先生が来るまで開けないで待て」との指令があったはず。
しかし!
好奇心は「先生」など待っているほど悠長じゃない。
好奇心、これぞ前進パワーの源。
正しい好奇心。
正しいテープ剥がし。
「でも、中身には触れていませんから(笑)」。
私はもうお母上Aの魅力に吸い込まれるかのように
居間にお邪魔する。
突然のiMac到着に伴い、
お部屋のレイアウトに多少の変更あり。
電話回線のジャック前を開けておいてくださったそうだ。
翌日にはその場所にiMac用ラックが
届くことになっているらしい。
まずは美味しいお茶をいただきながら、
自己紹介、四方山話。
そして、同居されているお姉さまをはじめ、
見学の方々が次々にご登場。
このあと盛大なiMacお披露目会と化す予感。
これは、もうレッスンというよりパーティだ。
さて、そろそろ「開箱式」
(かいばこしき……筆者、勝手に命名)。
まずは玄関からヨイコラショ!っと運び入れる。
段差のない床に感謝。
それでは皆様・・・・・・ジャ〜〜〜ン!
iMacです。
見慣れぬ恰好をしたタンジェリン色の物体の出現に
皆の目は丸くなる。
「奥行きはあるけどそれほど大きくないんですね」
とお母上A。
ラックが届くまでの間は
ダイニングのテーブルの上に鎮座してもらうことに。
ビニールシートが敷かれ、ついにiMac、腰を据える。
電源コードをつなぐ。
キーボードをつなぐ。
マウスをつなぐ。
あっけないほどのセットアップの完了に驚きの声。
I/Oポートのドアの丸い穴は、私の知る限り、
ほとんどの方々がケーブル類を通す穴だと
咄嗟に納得してしまうが、
取っ手穴だと言うと改めて納得される。
ケーブル類を通すための切り込みをお見せすると
「なるほどー!」。
iMacは本当にお洒落だ。
電源を入れる前に、
おまけの5色iMacのポスターを広げてみせる。
「玄関にでも貼っておいたら?(笑)」と、どなたかの声。
あれはいかにもそう感じさせる粋なおまけだ。
玄関の外にでも「レッスン中」と書いて
貼っておいたらどうか。
飛び入り見学者続出現象が巻き起こる?
ちょっとイタズラ心が踊る。
さて、お待たせいたしました。
ここでついに電源オン。
開通式のテープカットのごとく、
お母上A、丸いスイッチをオン。
軽快な起動音とともに「タンジェリン」が息づく。
あ、これ、インテリアじゃなかったのね?・・・を
実感する瞬間。
お母上A、未知なる画面との遭遇に瞳の輝きが増す。
基本設定が現れると、
それを小さく声に出してお読みになる。
他人任せでいいわ、という姿勢が
まったく見受けられない。すごい。
さっそく初めてのマウス操作に挑戦。
ちょっと私がお手本を、とマウスに触れてみて……
おっと、まずい。マウスが引っかかる。
平らとも言えないビニールシートの上じゃ、
そりゃ、やはり都合が悪い。
即席マウスパッドを皆で探す。
なぜかすぐそこに存在していたコルクシートを
使用することに決定。
でも、動きはいまひとつ完璧とは言えない。
次回は市販のパッドを持参しよう。
マウスを初めて(多少の恐る恐る感を伴って)
動かすお母上A。年齢的な問題じゃなく、
これが初めての人にとっては意外と難しい。
まずは「マウスを動かすと、画面上のこの“矢印”が動く」
という基本を覚えていただかなければならない。
お母上A「あら、矢印どこかしら?」。
皆、口々に「ここ、ここ」。
矢印のかくれんぼ。
アイコンに重なっていたりすると見つかりにくいようだ。
そうかぁ。思いだしたよ。
マウスっていうと、簡単操作の象徴みたいに思ってたけど、
はじめてのマウス操作って、
いらいらするものなんだったよね。
ぼくの場合は、スーパーファミコンの「マリオペイント」で
はじめていじったんだったっけ。
このへんのことを、教える側が憶えておかないと、
入門者がイヤんなっちゃうんだよね。
自分がなんか「ひどく不器用」なんだと思わされちゃう。
そんなことはないんですよ、
って包み込むような態度がありがたいんだ。
(さ、つづきは、また明日のおたのしみに)
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