80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第5章 はじめてのレッスン(2)


マウスの操作が意外に難しいんだということで、
昨日は「つづき」にしてしまいましたが、
今日は、さっそく、その対策からです。
南波先生、さすが、思いやりの教室ですね。



マウスに慣れないうちは、
目的の所までポインタを持っていく際に、
途中どうしてもマウスを動かすスペースが
物理的に足りなくなってしまうものだ。
マウスがキーボードにぶつかってしまったり、
机の縁から落ちてしまいそうになったり。

慣れてしまうと自然とマウスを浮かせて、
ほうきで小スペースを掃くような動きをしているものだが、
最初はそんなこと、わかるわけがない。
感覚をつかむまでは、どうしても、
マウスで一筆書きするような感じになる。
息継ぎせずに泳ぐような感じとも言えるかも?

お母上Aに、この「浮かせの術」をお教えすると
即ご理解いただいた。
あとは実践だ。
回を重ねるごとに、ポインタの動きは
スピードアップしていくはず。

また、新品のマウスのため、
ケーブルに、先ほどまで束ねてあった名残があり、
クルリと折れ曲がってマウスを邪魔してくる。

お母上Aのクリックはとてもご丁寧で慎重。
「カッ・・・チン」。
私などのような雑な人間と違って、
やはりクリック音もお上品だ。

インターネット・プロバイダとの契約はまだなので、
インターネット設定はとりあえず飛ばして基本設定終了。

ここからは
「こんな感じですよ。こんなことができますよ」
とのご紹介。
「今、一度にすべてを覚える必要はないですから」
ということを強調しておいた。

さっそく「Macintosh HD」をダブルクリック。
このコンピュータに入っているモノ達です、
との説明はするが、
突如現れたこのウィンドウの意味は
まだ多分「?」だと察する。
フォルダの中にまたフォルダ。
そのへんの構造をちょっとだけ見ていただく。

ウィンドウのクローズ・ボックスは小さいので、
ポインタをそこの範囲内にちょうど合わせるのは
結構難しいようだ。
ミリ単位のマウス移動・調整。

試しに空っぽの「新規フォルダ」を作ってみせる。
そのフォルダを開けたり閉じたり、
ダブルクリックの練習にもなる。

今度はドラッグの練習。
「そのフォルダをちょっとゴミ箱に入れてみてください」
との私の言葉に
「えっ? ゴミ箱? どこにあるんですか?」
とお母上A。
初めての方にとって
ゴミ箱はなかなか衝撃的な存在だと思う。
まさか画面上にゴミ箱があるとは想像できないはずだ。

「あらー、かわいい」と喜びながらも、
ゴミ箱までフォルダを持っていく手は
多少緊張していることだろう。
マウスボタンを押しながらの移動はそう簡単ではない。
「もう少し。もう少しー!」 皆、応援する。
成功。

ゴミが入るとふたが開いたままになる、
との説明をすると、びっくり。
「あらー、本当に賢いのね」とiMac称賛。
「でもいつでも取り出せます。
これだけではまだゴミは焼却されません。
実際にこのゴミを処分してしまうには、この……」
とお教えしながら、ついでに、
さりげなくメニュー・バーについての説明も。

その流れで、メニュー・バーから
「ヘルプセンター」を呼び出し、
「わからないことは何でもここで調べられるのでご安心を」
と申し上げる。
説明書(付いてこないが)をいちいち読むより、
こちらの方が助かるとのこと。

後に「Mac OS ヘルプ」の「教えて!」というヘルプを
お見せすれば、また改めてMacを褒めていただけると確信。
あの赤丸が自動的に登場してガイドしてくれるヘルプは
かなり心強く、初めての体験者には
びっくり度も高いことだろう。



お見事。
これだけ、相手のストレスを察しながら教えてくれる先生は
ちょっと見つかるもんじゃありませんぜ。
はじめてのレッスンは、まだ、終わってない。

(さらにつづきは、明日ざんす)

1999-06-24-THU

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