第9章 レッスン5・接続の苦闘(4)
インターネット接続の実現に向けて、
力で二階にiMac を移動させようという女性部隊。
今日は、すぐに本文に入りましょう。
どっこいしょ、っと。
南波あっこ先生、ではレポートを、
開始してくださーい。
全てのコードを外す。
本体は私。
キーボードはノリコさん、マウスはユキエさん。
ヨイショっと!
これを落としたら一大事。
目の前のエサを逃がすどころの話じゃなくなる。
「iMacベイビー、さぁ、お散歩よ〜。
しっかりだっこされててねー!」
ミーちゃんを先頭に、二階への大名行列が始まった。
「下に〜、下に!」
いや、この場合、道ばたの民衆はいない。
二階めざして、「上に〜、上に!」
iMac、赤ん坊と言うよりお殿様気分か?
電源コードに引っかかってiMacが転がり落ちないように
ノリコさんがそのコードを持ってくださる。
コード、ウェディングドレスか何かの裾であるような、
はたまた、私の抱く猛犬の鎖であるかのような。
無性に可笑しくなり、腹筋とともにiMacが揺れる。
笑いは時として人を苦境に立たせるものだ。
「iMacと心中」・・・ま、これもなかなか。(笑)
二階の壁にはモジュラージャックが一つ。
そして、ここにも「弁当箱」が存在する。
さて、どうなるか。
結果・・・あっさりと失敗。
赤ん坊だか、お殿様だか、ご神体だか、
もうわからなくなってきたが、
とにかく、このiMacさまも肩を落とす。
皆、その孤独な影を見つめながら、
「これはもうNTTのお世話にならないとダメねぇ・・・」
最初からお世話になっていればよかったのに、って?
そこは女の意地である。
この軍団の好奇心がそんな
容易い手段を選ばせるわけがない。
でも、全員、十分楽しんだ。
そろそろ元を取ったかのような気分である。
ここはひとつ「降参」を認めよう。
ノリコさん、さっそく「106」に電話する。
事情を一通り話した後、私とタッチ交代。
「えっ?じゃあ、結局、
どうもがいてもダメだってことなんですか〜?」
「はい、ダメですね。この場合、
回線のジャックから一本線を出して
新たに差し込み口を作らなくてはなりませんね。
工事代がかかってしまいますが、それでもよければ・・・」
ノリコさん、工事日を指定して電話を切る。
あじゃ〜〜!
無駄なバトルをしていたわけだ。
一日かけて探していたモノが実はポケットに入っていた、
そんな時の「な〜んだぁ」な感触。
それでも解決方法が見つかった喜びには代えられない。
全員、とりあえず気の抜けた笑いでその場をしのぐ。
さて、また「下に〜、下に!」
iMacさま、帰り道もどうぞよろしゅ〜。
無事、所定のラックに戻ったiMac。
珍道中、大変お疲れさまでした。
NTTの工事は二日後。 もうすぐだ。
ワーオ、降参ですか。
はじめから降参していればよかったのに、
なんて考える人は、この「おたのしみ感」が
わからないと思うな。
要するに、女の意地もあるだろうけれど、
この人たち、こういうことも含めて、
たのしんでいるんだと思うんだよなぁ。
(降参しても、あしたにつづくに決まってますよ)
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