80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第10章 レッスン6・そして網のなかに(3)


ずっと読んでいる方にはおなじみでしょう。
ミーちゃんの質問メモ。
初心者のうちは、何をどう質問したらいいかさえ、
よくわからないものなのですが、
いろいろ考え込まないで、書いておくほうがいいに
決まってるんですよね。
ぼく自身は、しばらくカタカナの変換がわからなくて、
例えば「ディカプリオ」というカタカナが欲しいときに、
「デザート」から「デ」を、
「フィジー島」から「ィ」を、
「カナダ」から「カ」、「プリンス」から「プ」
「リオのカーニバル」から「リオ」といった具合に、
スペースキイを押すだけで必ずカタカナが出てくるような
特殊な単語を考えては、
その一文字をカット&ペーストして
カタカナ単語を完成させてました。

その時、親切なトモダチ
(いまではポケモンの作詞家として有名な戸田くん)が、
『たぶん、ご存じなのでしょうが・・・』と、
遠慮がちにカタカナ変換を教えてくれました。
戸田くんも、結婚おめでとう。

そんなこと言ってる場合じゃないか。
南波先生、つづきをお願いいたします。



一安心されたミーちゃんの手が黄色い紙に触れる。
あっ、質問メモだ。

「『ず』ではなく『づ』の出し方」

「『つづく』と書くようなときに、どうやって
『づ』を出すんですか」
それは[D]と[U]で出るとお教えすると、
「あ~、そうなんですかぁ。
調べればどこかに書いてあるんでしょうけど、
さぼっちゃって」
ミーちゃん、すぐにメモ。

ついでに、たぶんまだご存じないと思われる
小さい「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」の出し方もご紹介。
[X]と[A]で、小さい「ぁ」という具合に。
あまり使うことはないとも思うが、念のため。

「あと、よくポンポン鳴らされるんですけど、
あれは変なことしたってことですかねぇ」
「そうですね。警告音のことですね?」
「文字を打ってる最中にもポンポン言われて(笑)」
「クラリスワークスでですか?
普通に文字を入力してる最中に?」
「そうなんですよ~(笑)」

文字入力中に警告される?
う~ん、どんな操作をすると警告されるのか、
ピンとこなくてちょっと悩む。

「その文字、入力禁止!」
「それは変換禁止!」
「文が長すぎる!」
「正しい指で打て!」

そんなふうに注意されるのだろうか。
どうも、このiMac、
なにかと意思を持ちすぎているようだ。(笑)

また現場検証しようにも、
その現場がいったいどこであったか、
「被害者」(「加害者」?)ご自身の記憶が
曖昧になっている。
もどかしくも微笑ましい未解決事件。
そのうち、私の目の前で、
同様の事件が発生してくれるだろうか。
それまで待とう。

「あ、そうそう。今日は新聞休刊日でしょう?
ノリコがインターネットでこれ見られるのかって」
前日の新聞。「明日は休刊日です」のお知らせ。
「ニュースはインターネットでどうぞ」
とのことが書かれている。
「はい、見られますよ。後で見てみましょう」

ついに登場、待ってました「インターネット」!

やっとここで、
「本当によかったですねー、繋がって!」

これを言いたくてミーちゃんに会いにきたはずが、
今頃になって初めて言っている。
「えぇ、まだ怖くて触ってませんけどね」

確かに。
「接続」はできても、さて、
じゃあ何をしたらよいのだか・・・。
それ以上は、まだ特に何もお教えしていない。
ピーヒョロロガーンガーンの
音色を楽しむくらいしかできない。

「ノリコさんからの電話でちょっとびっくりしました。
ダイアル回線(笑)」
「ね~。ダイアル回線っていうのは、
昔の、番号を回すアレでしょう?
ここ建ってからまだ数年なのに
電話の回線はやけに古くさいのね~」
「てっきりプッシュ回線だと思い込んでました」
「使ってる電話はプッシュですもんね~、
だまされてたわね~(笑)」

そこで新しいモジュラ・ジャックを拝見。
どんな大げさなことがなされたのか、見てみよう。

プレートというかカバーが3つ穴用に変わっている。
単に一つジャックが増えているだけだった。
これなら、回線をiMacと電話機に分配する器具も
必要ないし、さっぱりとインターネットができる。

さーて、そろそろブラウザ起動だ。
これを覚えていただかないことには、
いつになっても「接続」止まりだ。
「ほぼ日」にも行けない。

デスクトップ上に元々用意された
「WWWブラウザ」というエイリアスをダブルクリック。
IEが起動。

「あら、これ、どこを押したら出てきたの?
よく見てなかったわ」
おっと、これは一番重要な部分だ。
まずはこれを自分で開けないといけない。
今度は、じっくりと確認していただく。

そして、設定。
「だいたいこのままでいいと思いますけど、
いろいろと自分の好きなように設定できます。
なんのソフトでもまずはこういった「初期設定」で、
自分の使いやすいように変えるんです」

「この動いてるマークはな~に?」
「ツールバーのアイコン・アニメーション」である。
IEのマークがグルグルグルグルと回っている。
「『回る地球』っていうのもありますよ。ほら!」
今度はグルグルグルグル回る地球だ。目も回る。

「こっちの方がいいわね」
予想していた通りだった。
なにしろグローバル感覚あふれるミーちゃんである。
「これはデータの送受信しているときに回って
それを示すんですよ」

「ホームページ」の設定は、MS社には申し訳ないが、
デフォルトの「まずはうちのIEサイトへ」状態を変えた。
「使用しない」を選ぶ。

その他の設定も一通りご説明。

そして、ついに、IEのウィンドウ画面に。
さて、どこから始めよう。

あれ?
この画面、なんだか、どこかが自分のIE画面と違う。
なんとなく、見た目が寂しいのだ。
古いバージョンは捨てたはずだが、あれあれ?

「ちょ、ちょっとお待ちください」
バージョンの数字を確認。・・・合っている。
う~ん。何が足りないのか・・・。


この終わり方は、ちょっと心配かけるでしょう?
わざと、です。スリルを感じさせるための演出ね。
実はたいしたことないですから、安心してください。

(どうたいしたことないかは、明日につづく)

1999-07-22-THU

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