80代からのインターネット入門。 前橋の母Aが、Eメールで原稿を 送ってくるまでの物語。 |
第16章 あらためて、気楽に行こう(2) さて、翌日の午後。蒸し暑い曇り空。秋の気配、なし。 以前、うちの保育所生がくっついてきたことがあったが、 今回は、うちのサラリーマンを伴っての訪問となった。 彼愛用のPowerBookをミーちゃんにお見せしたいという。 その後に仕事が入っている彼はスーツ着用。 PowerBookの入ったケースを持ち、玄関前に立つ、 緊張したその姿はまるで新人訪問セールスマン? 「怪しいものではありません。私の夫です」 ミーちゃんとノリコさん、有り難くも歓迎してくださる。 タンジェリンiMac前のテーブルを囲む4人。 木陰のように心地よい涼しさ。 珈琲の香。 この時点でもう喫茶店にでもいるかのような錯覚に陥る。 そして海外旅行の話に大輪の花が咲く・・・。 開花したら最後、閉じることも、枯れることもなく、 そして散ることもなく・・・(笑)。 「シベリア鉄道をフルに、それも往復、 乗った人に会ったのは初めてだわー」と 喜んでくださるノリコさん。 15年以上前のロシア--ソ連にタイムスリップする男。 もう止まらない。今日は、特別、聞き手に恵まれている。 仕事の約束時間をもう過ぎているのではないか? と、ふと心配になる私も、それを切り出せない。 この「ミーちゃん's カフェ」では時を忘れてしまう。 しばらくして我に返る男、後ろ髪を引かれながら席を立ち、 自分が入ってきたのとは別方向の部屋に向かって進み出す。 タイムスリップからの帰還で目を回したのだろうか。 さあ、男よ、現実の世界へ出発だ。 笑顔で見送る3人の女。 さて、それではiMacの電源でも入れましょうか。 普通ならそのような流れになりそうなものだが・・・ 実際は、またそこからが長かった。 どうやら全員、野次馬根性の強い(好奇心の強い)人種 であることがますます明らかになり、話が終わらない。 iMacにチラチラと視線を投げかけながらも、 口から放出され続ける言葉を 自分でせき止められない私。 いくらおしゃべりをしに来たからといっても・・・。 「すみません、いっぱいしゃべってしまって。 そろそろちょっとだけMacをいじってみましょうか」 盛り上がっている飲み会の最中に 「さて、そろそろお開きにしましょうかねぇ」などと 切り出すのに似た、勇気と理性を必要とする発言。 丸いボタンを押してiMac坊やの眠りを覚ますミーちゃん。
こういう場面でのたったひとりの男性って、 |
1999-09-27-MON
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