最終章 そして卒業か (4)
なんとなく、レッスンらしい会話になってきて、
初心者がよく困ったりする問題についての
質問や解決という場面が見えてきている。
こういうこと、よくありそうですよね。
では、南波あつこ先生にバトンタッチ。
「あと、この間設定したルールは適用されてますか?
イシノさんからのメールはその指定のフォルダにちゃんと
入ってます?」
「あぁ、ええ。あ、でも・・・」
Yes, but...? 今度は何だろう。
「ある人からのメールが入らないんですよ」
「あの後、新しく別のフォルダを作ったんですね?」
「そうなんです。よくメールをくださるんで。最初は
入ってたんですけどね、途中で、奥さん用のと別の
アドレスにメールくださいということで変えたんです。
だからそのルールっていうところも修正しておいたん
ですけど、どうも入ってこなくなっちゃったみたい」
ふむふむ。
確かに彼からのメールには「今度からはこちらへ」と
メールアドレスが書かれている。
それでミーちゃんはそちらに送るようになった。
「ルール」を確認する。
確かに新しいアドレスになっている。
なのに、ルールが適用されないという。
人を選り好みするようなOutlook Expressでもない
だろうに、どうしたんだ?
もしかして・・・。
あ、やっぱり。
「ミーちゃん、わかりましたよ。
この方、元々のアドレスで送信してきてますよ。
ほら、差出人のアドレスのところを見ると最初のもの
だと思いません?」
「あら〜、本当だ」
「メールの最後に署名があって、そこには自分専用の
アドレスが書かれていますけど、実際には別の方で
送信されてるっていうことですよね」
「あ〜、そういうことね〜」
「あちらとしては受けるのは自分専用の方が都合が
いいでしょうけど、送る際にはどちらを使っても別に
構わないわけですから。
ミーちゃんがルールで振り分けてらっしゃるのも知ら
ないはずでしょうし」
「そうよね〜。じゃ、また元に戻しましょうかねぇ」
「お昼ですよ〜。お勉強は後回しで、どうぞ〜」
パティオ入り口=家の勝手口からノリコさんの声。
「じゃ、これはまたね。原因がわかってよかったわ。
iMac、消しといてくださいます?」
「はーい」
エサで釣られる二匹の魚、さっさと席を立つ。
今日はパティオではなく、本日休業のお店の店内。
普段は美味しそうなクッキー等が並んでいる
テーブルが寄せられ、ランチ用テーブルに変身。
その上には、ノリコさんからの「釣り」メール通り、
おこげの野菜あんかけ他の豪華ランチ。
途中でタイミングよくポートワインが届く。
お料理教室で使うものらしい。
「味見しておかないとね」と店主ハツミさん。
すでにビールで気分よくなっているところに
ワインのテイスティングまで加わり、ますます
心地よいお昼時。
お腹の満足さと適度なほろ酔い気分、店の造りや
調度品のバーチャルヨーロッパ感覚、そして楽しい
おしゃべり。女の隠れ家。
「殺伐」という言葉はミーちゃん周辺には存在しない。
さて、そろそろ午後のレッスンに移らないと、この
ままここに腰が据わってしまう。
美味しい「エサ」をどうもご馳走様でした。
まだ、明日につづきます。
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