ほぼ日乗組員、向江夢（むかえ ゆう）は、
「喫茶店のマッチ」を集めています。
その数、現在300個以上。
世の中にはもっとすごいマッチ収集家がいるのでしょうが、
彼女（現在22歳）はこれを４年で集めています。
コレクションの３分の２は、
じぶんが実際に行った喫茶店でもらったものだとか。
しかも、「行ったお店にマッチが無い」
というケースがほとんどなのだそうです。
なのに、約200個を手に入れている。
いったい彼女は何軒の喫茶店の扉をくぐったのか‥‥。
そこまで本気な向江夢が、
好奇心ひとつをひっさげて、
「喫茶店マッチ」にまつわるあれこれをめぐります。
最終的には、オリジナルマッチをつくっちゃうんですよ？
こんにちは、はじめての出張取材で
ドキドキしているほぼ日の
です。
福田利之さんとの
オリジルマッチ作りに協力してくださる
姫路のマッチ会社「日東社」さんへ来ています。
「日東社」さんのマッチ工場は３階建てで、
マッチ棒の製造や梱包などの工程によって
フロアがわかれていました。
まずは、マッチ箱を組み立てる３階から
案内していただくことに。
いざ、工場におじゃまします！
- 大西さん
- 階段、気をつけてくださいね。
- むかえ
- ありがとうございます。
もう、すでに、マッチの香りが‥‥。
- 大西さん
- ここがマッチ箱を作るフロアです。
- むかえ
- すごーい！
‥‥あ、印刷された福田さんの絵が。
- 大西さん
- これをセットした機械がこちらです。
見ててくださいね、いきますよ。
（スイッチを入れる）
- 機械
- ガシャーン！ ガシャーン！ ガシャーン！
- むかえ
- わーーー！
- 機械
- ガシャーン！ ガシャーン！ ガシャーン！
- むかえ
- 福田さんのイラストが
みるみるマッチ箱に！ 次々と！
- 機械
- ガシャーン！ ガシャーン！ ガシャーン！
- 大西さん
- 速いでしょ。
- むかえ
- はい？
- 大西さん
- （大きな声で）速いでしょ！
- むかえ
- （大きな声で）あ、はい、すごいです！
すみません機械の音でよく聞こえなくて。
- 機械
- ガシャーン！ ガシャーン！ ガシャーン！
（以下、しばらく機械の大きな音がしている）
- むかえ
- 一箱どれくらいの
時間でできあがるんですか？
（以下、しばらくふたりとも大きな声）
- 大西さん
- ここにある2500箱分が大体20分くらいで
できるので、２秒に１個くらいですかね。
- むかえ
- ２秒に１個！
- むかえ
- そうだ！
福田さんに見ていただきたいので、
テレビ電話してみます！
（電話の音：プルルル♪）
‥‥あ、出た！
- 福田さん
- （何かを話しているけど聞こえない）
- むかえ
- 福田さんおつかれさまです！
突然すみません！
いま「日東社」さんにきているんです！
福田さんのマッチ箱が
２秒に１個のスピードでできています！！！
- むかえ
- マッチ、見えてますか？！
- 福田さん
- （何かを話してくださっている）
- むかえ
- ‥‥すみません！ 機械の音で
わたしの声が聞こえないですよね！！
- 福田さん
- （何かを話してくださっている）
- むかえ
- ‥‥またご連絡させてください！！！
（通話終了ボタンを押す）
福田さんには、
あとでしっかりお伝えしておきます。
- 大西さん
- 機械の音がすごいですからね。
- むかえ
- ‥‥わあ～、どんどんできあがってます。
- むかえ
- 「くすり」って書いてあります。
ここに塗られるんですね。
- 大西さん
- そうです。
箱を作ったら、この側面に
マッチを擦る「くすり」を塗っていきます。
見に行きますか？
- むかえ
- ぜひお願いします！
- むかえ
- こっちは、わりと静かですね。
- 大西さん
- ええ。さっきの機械がとくに大きな音なので。
- で、ここで、さっき作ったマッチ箱の側面に
くすりを塗っていきます。
- むかえ
- マッチ箱がびっしり‥‥。
- 大西さん
- この機械で「くすり」を塗っていきます。
▲くすりが塗られた箱が、機械から出てきます。
- むかえ
- ‥‥わたし、マッチを集めているのに、
マッチに火がつく仕組みを
あまりわかっていなくて‥‥。
この「くすり」というのは？
- 大西さん
- 「リン」ですね。
側面に「リン」を塗っています。
- むかえ
- リン？
- 大西さん
- 「赤リン」という燃えやすい物質で、
それを「くすり」と呼んでいます。
マッチ棒の頭を「くすり」に擦りつけると、
「赤リン」がすこしはがれてマッチ棒に付きます。
それが摩擦熱で燃えて、
マッチ棒の頭に火がつくんです。
- むかえ
- そういう仕組でしたか‥‥。
- 大西さん
- 昔のマッチは、
マッチ棒の頭に「リン」がついていて、
どこで擦っても火がついたんですよ。
- むかえ
- ブーツとかでシュッと火をつける場面を
映画で見たことがあります。
- 大西さん
- そう。かっこいいんですけどね（笑）。
でもそれだと、ポケットの中などで
なにかの拍子に火がついてしまって危ない。
だから、安全に使えるように、
「リン」を箱の側面に分けたんです。
- むかえ
- だから「安全マッチ」って言うんですね。
- 大西さん
- そうです。
こうして、２度ほど
「くすり」を塗り重ねて乾かせば、
マッチ箱のできあがりです。
- むかえ
- いつも見ているマッチ箱が出てきました！
- 大西さん
- 次は、そうですね‥‥
マッチ棒を作るマシンをご覧になりますか。
- むかえ
- はい！
よろしくお願いします！！
（マッチ工場の見学は、つづきます！）
2024-12-19-THU
-
イラストレーター・福田利之さんが、
このコンテンツ「喫茶店マッチが好きだから。」のために
一枚の絵を描きおろしてくださいました。
その絵を印刷した、オリジナルマッチを作成。
渋谷PARCO「ほぼ日曜日」で開催中の
「大福田展」でお渡しします。
会場内の「純喫茶 大福」をご利用ください。
おひとり様に１個、差し上げます。
（ご用意した数が無くなり次第終了）また、TOBICHI東京のワンコーナーでは、
「喫茶店マッチが好きだから。」に登場している
向江夢のマッチコレクションを展示します。
ちいさな展示ですが、
オリジナルマッチのために描かれた、
福田利之さんの原画もご覧いただけます。