ずっとほしかった。
生まれ育った家を出て、
自分だけの部屋を借りた時、
私は20代の前半でした。
そこは、
とても小さな部屋でしたが、
時間を気にせず友だちと夜どおしおしゃべりしたり、
ひとり気ままに好きな料理を作ったり。
今までに感じたことのない自由を手に入れた気がして、
それはうれしかったものでした。
でもなによりうれしさを感じたのは、
その部屋にあるものすべてが
「好きなもの」であることでした。
ベッドは実家で使っていたものを、
白くペイントする。
棚を買うお金がない代わりに、
ワイン箱を重ねて。
という具合に、少しずつ少しずつ、
自分の気に入った空間にしていくのが
なによりたのしかったのでした。
台所道具、器、ベッドリネン‥‥。
暮らしをとりまくものをそろえていくうちに、
ハタと困った問題にぶつかりました。
毎日目にしても感じがよく、
部屋に馴染み、
一年眺めていても飽きのこないカレンダーが
なかなか見つからないのです。
あれこれ探しまわるうちに、
そうか、ないなら持たなければいい。
手帳だけでもなんとかなるんじゃない?
そう気持ちを切り替えて、
いらい、私の家にはカレンダーがありません。
今週のweeksdaysは、
私がずっと、
「こんなのがあったらいいなぁ」と思っていた、
カレンダーのような手帳のような、
「暦帖」をご紹介します。
たたずまいがさりげなく、
一年ずっとつきあえる、
やさしい手ざわりの暦帖。
新しい年をむかえる準備のひとつにどうでしょう?
伊藤まさこ
2019-11-01-FRI